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歌は命令であり、旋律は文明を動かす。“命を歌うもの”として生きる飛行種族・ハネラは、樹と機械が融合した世界で、歌と共に命令を送り、街を、空を、記憶さえも動かしてきた。
しかし、一羽のハネラ——シエナは「歌うことができない」。
命令を持たず、光と匂いでしか感情を伝えられない彼女は、操作士としての道を断たれ、光使として辺境で過ごしていた。
ある日、都市の中心樹が沈黙する。
記憶を刻む虫たちは一斉に巣を捨て、通信は分断され、コード歌は拒絶を始める。
“歌が響かない”世界が崩れ出したとき、シエナだけが反応を受け取った。
彼女に共鳴したのは、記憶を宿す小さな虫・ウタコクシ。
音のない彼女の「沈黙」が、かつて世界を動かした旋律の鍵だった。
都市の記憶を取り戻すため、
忘れられたコード歌を辿るため、
そして、“命令を持たぬ者”の声を世界に響かせるために——
シエナは、声なき命令を携え、羽ばたく。