テラーノベル
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作戦を決めた後、俺は3人と別れた。一人で行動するためだ。
ひたちさんにはいつもの様にセポナの警護。同時に今回は咲江ちゃんも残した。
最後の最後では必要になるかもしれないが、教官組があえて見逃すと言っているんだ。わざわざ意味も無く敵対させるつもりは無い。
そんな訳で、俺は単独で最初の目的地へと向かっていた。
その場所は、さほど厳重な警備もされていない町の一角。だけど普通の建物ではなく、やはり翡翠色の高層ビルだ。高さは数千メートルある点も同じ。
ここは大聖堂関連の建物ではあるが、特に重要な施設では無い。あえて言うなら支部の一つ。
以前聞いたけど、上部は農業などのプラント。他は居住地や店舗。ビル一つが全て大聖堂なんてのはあそこが特別な場所だったからで、大体は複合施設となっている。
ここは要するに、聖堂も入っている雑居ビルだ。
そしてその聖堂には、今一人の人間が囚われている。
大聖堂が再建された時、処刑されるという。それも大事な儀式なのだと聞いているが、人柱か何かなのだろうか。
その人の名はヨルエナ・スー・アディン。前神官長にして、痴女神官。まあ俺の敵だな。
雑居ビルの入り口には特にセキュリティは無く、普通にフリーパスだった。入った感じはデパートの入り口って様子だ。
実際に下は様々な商店街で、夜遅いとはいえ、まだ結構開いていた。
特に飲み屋はほぼ24時間営業だそうだ。まあそうだろう。利用者は、この高層タワーに住む住人だ。多数の人が住み、働いている時間もまちまち。ここはもう、建物一つが一つの町だと言っても過言ではない。
それにしても、こうやって改めて散策すると美しい建物だ。外見もそうだが、中の床や壁もピカピカ。天井の光は俺達の世界より自然で、少し眩しさも感じるが目に負担が無い。
これも、この国が豊かだからそうなのだろうか? 他の国もいつかは行ってみたいものだ。
俺の目的地は322階。居住区の上にある聖堂フロア。セポナが書いてくれたメモ通りにエレベーターのボタンを押す。
以前使った時は高山病のような症状が出て散々だったが、正しく使えばちょっとゆっくりな普通のエレベーターだ。
ただ俺がそのまま行けば入ったと同時にバトルに突入。阿鼻叫喚の地獄絵図の中、壁も床も真っ赤に染めて最後はビルとその周辺を倒壊させることになる。それでは前と同じだ。
だから今回は、ちょっとした策を弄することにした。セポナとひたちさんで考えてくれた方法だ。
まあ、上手くいかなかったら普通に逃げよう。
目的のフロアに到着するが、特に受付があるわけではなかった。
この国の国教であり、広く一般に開放されていると聞いていたがその通りだ。
エレベーターの先はもう聖堂で、翡翠色の美しい柱の先には見慣れた塔が立っていた。
但し時計は無い。当たり前か。
夜も遅いせいか、人はまばら。教団の人間らしき者や、塔に祈りを捧げている人が何人かいる位だ。信者だろうか。
教団の人間は皆同じ法衣を着ているが、一般人は一様にローブを纏っているだけだ。
セポナが言うには、それが自然な姿だそうだ。
そんな訳で、俺もそのローブ姿。更に髪は青く染め、目の方は木谷の様なサングラス。これは特に何の力も無いけどな。普通の物だ。ただ濃い紺色のグラスで、瞳の色は隠せる。
これで誰がどう見ても一般人だね。
なんて嘘です、ハイ。同じ召喚者が見れば、他人との違いは一発だそうだ。それに見慣れている人間も見破るという。人間としてはさほど差はなくとも、やはりスキルという未知の力の影響は隠し切れないという訳だ。
だけどここにいる人間は、全員普通の人であった。人口比を考えれば、召喚者を遠目にすら見た事の無い人間が殆どだ。案外、一人もいないかもしれない。
聖職者もいるが、特に神通力も神の加護も無いって事か。
俺は誰に見咎められる事も無く、奥への扉へと辿り着いた。
扉には予想通り鍵がかかっていたが、スキルで簡単に外して音もなく中へと入る。
ここから先は一般人立ち入り禁止。だけどすぐに牢屋って訳じゃない。
スキルを使いつつ警戒も怠らず、何とか人に遭わないようにエレベーターへ。
更に上った先が目的地ではあるが、もうここからの展開が予想できた。
龍平の時と同じだな。スキルから選択肢を感じない。避ける事の出来ない確定エンカウントの始まりだ。
無用な殺生はしたくないが、まさか死刑囚へのアポなし面会が認められるとは思わない。そもそも言葉も通じないしな。
だけど、可能な限り殺さない努力はしよう。
扉が開くと同時に、間抜け顔でこちらを見た男の腹を思いっきり殴る。
白目を剥き泡を吹いて倒れたが、まあ死んではいない。
というより、殴った右手が痛い。いや、よくある罪悪感とかじゃない。こいつローブの下に金属の鎧を着込んでいやがった。
今は無惨に拳の形に凹んでいるが、これ着てなかったら殺してしまったのではないだろうか? ちょっと怖かったな。
だが門番はこいつだけ。もっと物語に出てくる刑務所の最深部の様な状況を想像していただけに拍子抜けだ。
お偉いさんだし、助けに来るような信者や世話をする人間が沢山いると思ったが、そんな事は無いらしい。
案外、人望はないのだろうか? 微妙に同情するな。
むる

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ばたっちゅ
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コメント
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第158話、読み終わりました。単独潜入って緊張感がありますね。主人公が「♡♡♡ない努力をする」と言いながら、門番を殴ったら鎧が凹んでて「ちょっと怖かった」と素直に言うところ、すごく人間味があって好きです。ヨルエナとの対決がどうなるのか、そろそろ本格的に動き出しそうでワクワクします。続きが気になる!