テラーノベル
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ライブ会場では、TAMAYAこと種松摩耶が本番に向けてリハーサルを行っていた。
ステージから響く歌声を聞きながら、信愛は客席へと視線を巡らせる。
そして、ある一点でその目が止まった。
「いるか?その霊は」
龍河の問いかけに、信愛は小さく頷く。
「はい・・・椅子に座って
TAMAYAさんを見てます」
信愛の視線の先。
誰もいないはずの客席に、一人の女性が座っていた。
生前と変わらぬ姿で、ただ静かにステージ上の摩耶を見つめている少女。
佐敷千秋。
信愛は緊張から小さく唾を飲み込むと、意を決して千秋へと歩み寄った。
すると信愛気づいた摩耶が、リハーサルを中断して近寄ってくる。
「あっ!君はさっきの高校生だよね?」
摩耶は信愛の姿を確認すると、気遣うように尋ねた。
「あの男の子は無事?」
「は、はい・・・そんな重症じゃないみたいです」
「よかったぁ〜・・・」
摩耶は心の底から安堵したように表情を緩めた。
「私も明日お見舞いに行かせてもらうから。
本当だったらすぐに行くべきなんだけど
リハーサルが結構大変で時間取れなくってさ」
「いえ、そんな・・・」
信愛が戸惑っていると、摩耶は優しく笑った。
「なら、私はこれからバックバンドと
打ち合わせだから。ゆっくりしてってね」
「は、はい・・・ありがとうございます」
信愛は反射的に頭を下げる。
それを見た摩耶は、信愛たちに軽く会釈すると、そのまま会場から出ていった。
信愛はその背中を見送ると、再び客席へと視線を戻した。
そこには変わらず、千秋の姿がある。
信愛はゆっくりと彼女の前まで歩み寄った。
「佐敷千秋さんですよね?」
突然名前を呼ばれ、千秋は不思議そうに信愛を見つめる。
「・・・・誰?」
「私・・・信愛っていいます」
その名前を聞いた千秋の表情が、わずかに変わった。
「ノア?」
「はい・・・」
「というか何で私が視えてるの?霊感があるとか?」
「はい・・・」
千秋は信愛をじっと見つめたあと、どこか納得したように息を漏らした。
「ふー・・・ん」
そして、少しだけ首を傾げる。
「で?その霊感ある信愛ちゃんが
私に何か用でもあるの?」
信愛はまっすぐ千秋を見つめた。
これから話すことが、彼女にとって決して簡単に受け入れられるものではないと分かっていた。
それでも、伝えなければならない。
「あなたを救いたいんです」
「救う?」
千秋の表情に困惑が浮かぶ。
信愛は静かに言葉を続けた。
「TAMAYAさんの曲って
千秋さんが作詞作曲したんですよね?」
その問いに、千秋はすぐには答えなかった。
しばしの沈黙のあと、怪訝そうに尋ねる。
「なんでそう思うの?」
信愛は千秋の目をまっすぐ見つめたまま答えた。
「順を追って話してもいいですか?」
千秋は少し考えるように信愛を見つめる。
やがて、小さく頷いた。
「うん・・・いいよ」
静まり返ったライブ会場で、二人は向き合う。
◇ ◇ ◇
信愛は、これまで自分たちが辿ってきた経緯を、一つずつ千秋に語り始めた。
「私たちはTAMAYAさんのマネージャーを
やってる美沙さんからある相談を受けました」
千秋は黙ったまま、信愛の話に耳を傾けている。
「TAMAYAさんの周りで起こる
怪奇現象の原因を突き止めて欲しいって」
千秋は黙ったまま信愛の話を聞く。
「そして、あの照明が落下する事故に出会いました。
その現場で千秋さん・・あなたの姿を視たんです」
千秋の表情から、先ほどまでの軽い雰囲気が消えていく。
信愛は少し迷ったあと、意を決して尋ねた。
「あの照明の落下の原因は、千秋さんなんですか?」
しかし千秋は答えなかった。
長い沈黙のあと、彼女の口から出たのは別の問いだった。
「あの男の子は無事だった?」
「はい・・さっきTAMAYAさんにも
言ったように重症じゃありませんでした」
その答えを聞いた千秋は、ほっとしたように目を伏せた。
「ごめんね・・まさかあの男の子が
助けに行くなんて思ってなかったから」
そして、申し訳なさそうに呟く。
「巻き添えだよね・・ごめんね・・・」
「千秋さん・・・」
「それから?」
千秋は信愛の言葉を促した。
「何で私が作詞作曲したって思ったの?」
「あ、はい・・・話を元に戻します」
信愛は改めて、ここまでの調査について話し始めた。
「それから、その霊が佐敷千秋さんだと教えてもらって
TAMAYAさんの元アシスタント兼
マネージャーだったって聞かされました」
一瞬、言葉を詰まらせる。
「自殺をしたってことも聞かされました・・・」
千秋は何も言わなかった。
「それから私たちは、千秋さんが勤めてた
事務所に向かいました。千秋さんに関する資料が
何かしら残ってるかもしれませんから・・・」
だが、そこで待っていたのは不自然なほど何も残されていない現実だった。
「けど、事務所には千秋さんが居た痕跡が
全て破棄されてました。法律で保管が
義務化されてるものまで何ひとつ・・」
その事実から、信愛たちの胸に一つの疑念が生まれた。
「そこで私たちの中で、千秋さんの自殺には
事務所の人間が関わってるんじゃ無いか?
そんな疑問が生まれました」
千秋は目を閉じて信愛の言葉に耳を傾ける。
「そして、その疑問は確信に変わりました」
千秋が僅かに顔を上げる。
「後から事務所にやってきた社長が
私たちが千秋さんについて調べていると知った途端に
ゴルフクラブで私たちを襲ってきたんです」
千秋は何も言わない。
ただ、その表情には、どこか複雑な感情が浮かんでいた。
「私たちは知り合いの助けもあって
何とかことなきを得ました」
そして、最後の手掛かりへと辿り着いた。
「そして最後に、友達から聞いたんです」
信愛は千秋の目を見つめる。
「TAMAYAさんの曲のスタイルが
『こころクリーニング』のリリース後から
180度違うスタイルになったって」
と点が、一本の線へと繋がっていく。
信愛は静かに息を吸った。
「これらを全て繋げて、導き出した答えは──」
その言葉を聞いた千秋が、初めて自ら口を開いた。
「私が作詞作曲した歌を、摩耶ちゃんが盗んだ」
そして、静かに続ける。
「その事にショックを受けた私が自殺した・・・」
そして、わずかに寂しそうな笑みを浮かべる。
「それから私は、摩耶ちゃんに復讐してる」
信愛は思わず息を呑んだ。
千秋はそんな彼女の反応を見つめながら、問いかける。
「そう言いたいの?」
「は、はい・・・」
自信なさげに頷く信愛。
それでも確かめなければならない。
信愛は恐る恐る千秋の顔を見つめた。
「違いますか?」
コメント
1件
うわあああ、これヤバい…!😭💦 千秋ちゃんが「作詞作曲した歌を盗まれた」って認めたのに、その表情が寂しそうで複雑で…絶対何か隠してるよね!? 信愛ちゃんの推理がまっすぐすぎて胸がギュッとなる…「違いますか?」って聞くシーン、息できなかった😢 真相が気になりすぎて今夜眠れない…!! 早く続き読ませてください×××さん!!🔥
#普通
野々さくら
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ありあ
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