テラーノベル
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「……あのエレベーターを取り替えた業者によると、他の霊媒師を呼んでお経をあげてもらってから取り替え作業をしたと」「ふええええええ」
「……奥様のことをもっと調べたのですがどうやら彼女はあなたの不倫に相当怒りを募らせていて呪いのサイトに登録されていたと」
「……呼び出されていた時、部屋の中に何点もパワーストーンやお札、お守りがたくさんあった……昔からあいつはそういうのを信じていて、ムカつくママ友やわしのムカつく上司、近所の人を呪いと称してパワーストーンやサイトを利用して消し去っておった。だから今回はわしを呪ってたんだ……」
虹雨はふぅむ、とうなずく。たしかに管理人さんの妻は呪いのサイトの常連。そのサイトの運営者である呪術師とコンタクトを取り、管理人さんの妻の依頼メールを開いた。
「この呪術師さんはインチキですな。こういうのいるからうちら霊媒師の営業妨害、名誉毀損になるんや。だから今までの呪いも単なる偶然です。長年金蔓になっていた奥様も不憫ですがねぇ。あとインチキでも呪いをかけた方も如何なる場合でも自分に跳ね返ってしまう」
管理人さんは頭を抱える。
「節子はわしを恨んでおったのか。別居してから毎日のように頭痛やめまいが起こってな」
「だからインチキ呪術師ですしね、そして奥様が恨んでいたのは不倫してた女性の方です」
「ほえ?」
虹雨は画面を見せた。
『夫をたぶらかすA子を呪ってほしい。夫は婿養子で気弱だが優しい人。きっとそそのかされてしまったんでしょう。A子が憎い!』
「せ、節子……!!!」
「あなたのことは呪ってないんですよ」
「……そんな!!!」
「奥様……節子さんはエレベーターで帰るあなたたちをまた説得しに行ったところをあなたが隠し持っていたナイフで節子さんを刺して、A子さんも刺して自分も複数箇所を自分で刺して節子さんにナイフを握らせた……」
ドン!
と虹雨が机を叩く。
「なぜそれをっ……エレベーターもカメラはなかった、知ってるのはわしだけじゃ!」
「いえ、知ってるのはあなただけじゃない。節子さんとA子さんです」
「はい?」
「あなたの横に座ってるお二人に全部聞かせてもらいました」
実は図書館から菓子屋に移動したのちに、虹雨と由貴はエレベーターで2階へ向かった。そこが事件現場であった。その場に節子とA子がが幽霊の状態でいたのだ。
「普段俺は二階にはエレベーターで行かないから今まで会わなかっただけやった……」
管理人さんは失神して泡を吹いて倒れた。そして横にいた節子とA子は一緒に消えた。
管理人さんを乗せた救急車がアパートから去った。数人ほどアパートから覗いているものがいたが、彼らも今後アパートの取り壊しで住む場所を無くして彷徨うのかと思うと由貴と虹雨は不憫だと思った。
もともと管理人さんの妻、節子の所有となっていたアパート。世間的には妻に刺された管理人さんは生き延びて妻の所有していたアパートを管理する側として戻ってきたものの、その事件のせいで何軒か退去者がいた。
しかし元々からの住人であるあのルームロンダリングの部屋の家族をはじめ数軒ほどまだ住み続けていた。
節子さんの資産を切り崩してエレベーターを新しくしたりルームロンダリングをして再起を図ろうとしたがやはり経済面的に厳しかったようだ。
取り壊せばある程度のお金も入る、事件も風化される……だがそんな浅はかな管理人さんの計画は由貴と虹雨によって白紙になる。だがのちの話、取り壊されある程度お金はのこって管理人さんは退院後、田舎に帰っていったそうだ。
「うーむ……」
「どうしたん、由貴」
「これこのまま公開したら節子さんの名誉回復になるだろうけども管理人さん、警察に連れていかれるのかな」
「5年前の事件やからなぁ。でも2人の家族はとうに亡くなってるしお子さんもいない、特に友人もいなかったからなぁ……節子さんの名誉回復で喜ぶのは生きてる人の中にはいないやろ」
「このまま俺らが公開したら社会的死になるだろう。だけどあの事件の目撃者はいない。だから管理人さんが拒否したらそれで終わりだが……まぁ事件、出てくる人たちの名前は特定できないように編集して配信しよか」
「……虹雨、優しいな」
「そか」
「節子さんを騙してたあの霊媒師は許さんけどな」
虹雨が由貴を見た。
「……俺らもみえない人たちにとってそういう人間の1人や。そりゃいい営業妨害やけどもさ、節子さんにとってはその霊媒師は心の拠り所だったかもしれんな」
「なるほどねー」
アパートはボロいがその周りはとても綺麗で花もたくさん咲いていた。2人は幽霊の節子さんから聞いた。
曰く付きのアパートになってしまって管理人さんも負債を抱えて大変だった、でもせめて周りだけは掃除をして綺麗な花を咲かせようと毎日管理人さんは手入れをしていた……反省してるのよ、だから多めに見てやってくださいって。
「優しいのは節子さんや」
「そやな」
「本当の虹雨は鬼畜や」
「おう、じゃあ家はもう別で探せや」
「ほらぁー」
「うそやて。母ちゃんが物件情報送ってくれたで探そや」
「ほら母ちゃん頼み、マザコン虹雨」
「おい、いい加減にせえや」
「こわーい!!!」
コメント
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あおいです🌷 第15話、読み終わりました! 管理人の妻・節子さんが実は夫を呪っていたのではなく、不倫相手を恨んでいたという真相、そして実は夫が加害者だったという展開に驚きました。虹雨が節子さんとA子さんの幽霊から話を聞いていたという伏線回収も見事でした。 最後に「反省してるのよ、だから多めに見てやって」と節子さんが管理人をかばうところが切なくて……人間の優しさと業の両方を感じるエピソードでした。虹雨と由貴のやりとりもほっこりしますね。次回も楽しみにしています!
#衝撃のラスト
山根利広
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