テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
10
#オリキャラ
ゼロ・ウルフ
1,952
#ぺいんと愛され
Nera🍀︎❄🐈⬛
118
#CR
兎ゞ亜 @はじめたばかり
16,294
「どう? 元気してる? ”イノチシラズ”」
俺───トラゾーの問いかけに怪訝そうな顔をしたのは、目の前に転げている”イノチシラズ”だ。
風が吹き抜ける屋上で、ドアは風により勢いよく閉まった。耳を塞ぐほどのうるささが耳を貫通した後、俺は日向ぼっこをする相手に近づいた。
「……クロノアさんと話し終えたの?」
眩しい太陽から逃げるように、それでもどこか受け止めるように、相手は両目を伏せて大の字で転げた。
その話題については触れてほしくなかったけれど、これは相手との約束なのだから仕方がない。
「うざいやつ扱いされたけどねー。でもしにがみさんの方は上手くいったよ」
「おー、おけ」
レジ袋から覗ける相手の顔は、なんともとれなさそうな顔だ。眠そうで、だるそうで、でも何も考えてなさそうな、そんな表情だった。
風でレジ袋が飛びそうになるたびに手で押さえながらも、相手の隣にあぐらをかいて座った。
「は、何してんの。単位落ちるよ??」
ジロリとこちらを見た相手の視線から逃げるように、目を伏せた。きっと相手からはこちらの目なんて見えないけれど、それでもその視線から逃げた。
その後には言い訳のように聞こえる本音を伝えた。
「───こっちの方が楽しそうだから」
相手の隣で同じく日向ぼっこをしようと転げながら軽く言ってしまえば、相手は「ふーん」と興味なさげにこぼしただけだった。
風の吹き荒れる音、どこからか聞こえるクロノアさんとしにがみさんの話し声、怒る先生の声、生徒の笑い声、レジ袋の揺れる音、フェンスの揺れる音、隣から聞こえる寝息。
「寝たフリするなよ」
「は? なんでわかったの?」
「ははは!! いやあ、なんとなく」
「くそ」
「ざんねん」
小さな会話だけをして終わりか、なんて思った。いつもそうだから。
話すことはたくさんあるが、相手は朝から放課後まで毎日ここにいるため流石に放課後ともなれば話す話題が尽きる。だからか、いつもしりとりやら山田手線ゲーム、遊ぶ予定を決めたりしているだけだ。
「ねえ、いけると思う?」
「何が」
突然の問いかけに、そう質素な答えしかできなかった。
「───ケガせず、仲良く」
“イノチシラズ”はそんな素朴な疑問をした。仲良く、とはクロノアさんとしにがみさんのことで間違いないだろう。
けれど、ケガに関しては知らない。それは相手が頑張るべきことで、俺が制御できることでは無い。
ただ、もしそんなに悩むのであれば。
「───ケガすればいい」
「は、何それ、嫌味?」
「ちげえよ!(笑)」
怪訝な顔をしながら言う相手にツッコミながらも、天を仰いだ。
ビニール袋から見る太陽の光は眩しく、ひどくぼやけていて、空の色すらわからない。
「───ケガが怖いからっていつまでもそうやってるなら、お前は自分から歩いてないよ。今はただ、背中をムリヤリ押してもらって歩いてるだけなんだから」
無言になる相手のこの無言は、どうやら図星の証拠らしい。自身よりかはあまりだが、少し負けず嫌いな彼はどこか不貞腐れた顔をしていた。
なんともバカバカしく、どこか初心な相手は、ひどく面白い。
「トラゾーだって押してきてくれるくせに」
「はいはい、”イノチシラズ”さんは黙ってくださーい」
「だーっ! その呼び方やめろよな?!」
“イノチシラズ”の本音は、いつ自分に話してくれるのだろう。相談してくれるのだろう。頼ってくれるのだろう。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!