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「実は…………婚約破棄になった。それも昨日、向こうから婚約解消してくれって言われた……」
「…………え? クリスマスイブに婚約破棄? どういう事!?」
千夏は、勢い良く起き上がると、デュべを胸元まで引き上げた。
「どこで知ったのか定かではないが…………俺たちの関係が婚約者にバレた」
「…………ウソ……」
女が表情を濁らせ、圭の顔色を伺う。
「嘘なんて言ってどうするんだ。さらに言うなら、婚約者にバレる前、俺と千夏が一緒にいるのを、弟と、弟の彼女に見られた。いつか、南町田のアウトレットモールに行っただろ?」
「うん。わりと最近だよね?」
「あの時、弟カップルもいたんだ。俺、思いっきり目が合ったし」
圭は、前髪を荒々しく掴んで、後ろに撫で付けると、ワシャワシャと後頭部を掻きむしる。
「そっか。そうなんだ……」
面差しを曇らせたまま、女はベッドの下に落ちたままの服を見やると、唇をうっすらと震わせながら、何かを考えている。
「ねぇ、圭」
女は身体を横たえながら、奥二重のクールな瞳をまっすぐに向けてくる。
「どうした? せっかくのクリスマスだし、この後、最上階にあるバーに行って酒でも飲みに行くか?」
「ん…………止めておくよ」
圭の誘いに、千夏は、おぼつかない様子で首を数回横に振る。
「いいのか?」
「うん……。それよりも……」
女は、もったいぶるように、瞳を伏せた。
「どうかしたのか? さっきまで、ベッドで、やらしく喘いでたじゃないか」
圭が千夏を抱き寄せようとすると、華奢な指先が彼を拒むように、筋張った腕を押し返す。
「ねぇ、圭……」
彼に今一度呼び掛け、何かを言い淀んでいた千夏が、赤く染まった唇を妖艶に開きながら、身体を起こした。
「私たちの関係だけど…………圭に会うの、今日で終わりにするね」