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イルミネーションを楽しんだ二人は、豪の自宅マンションへ戻り、リビングでマッタリと過ごしている。
ソファーに腰掛けながら、豪は缶ビール、奈美は烏龍茶を飲みながら、コンビニで購入したお菓子をつまみ、他愛のない話をする。
大概の恋人たちのクリスマスは、イブに高級レストランで食事を楽しみ、互いにクリスマスプレゼントを交換して高級ホテルのスイートルームで熱い夜を過ごす、というのが定番なのかもしれない。
恋愛経験が皆無の奈美には、豪がそばにいてくれるだけでも嬉しいし、何気なく過ごしている時間が楽しいのだ。
カップルの数だけ、クリスマスの過ごし方も多様にあると思っている。
「豪さん、これ、クリスマスプレゼント」
ひと息ついたところで、奈美は傍に置いてあった高級な紙質の袋を手に取り、彼に贈った。
「お、奈美からのプレゼントか。ありがとう。さっそく開けてみてもいいか?」
「もちろん」
豪に渡したのは、色々と悩み抜いた結果、定番のネクタイにした。
海外ブランドのネクタイで、ボルドーのシャドーストライプ柄。
一見無地のように見え、光の当たり具合や見る角度によって、ストライプ柄が浮かぶ。
一本三万円以上だったけど、普段デート代は全て豪が出してくれるので、デートでお金を使う事がほとんどない。
こんな時だからこそ、彼への感謝の気持ちも込め、奮発したというのもある。
彼が、丁寧に包みを剥がしていき、ネクタイを取り出した。
「おっ……! ワインレッドのネクタイか。いいな。俺、ワインレッドのネクタイって持ってねぇから、けっこう新鮮かも」
彼が白い歯をチラリと覗かせて、贈ったネクタイをしげしげと見ている。
「ネクタイは仕事柄必要だし、奈美からのプレゼントだと思うと、余計に嬉しい」
豪が、さっそく服の上からネクタイを締めている。
「ってかさ、このネクタイって無地なのかと思ったら、ストライプ柄になってるのか! 奈美のセンス、すげぇいいし本当に嬉しいよ。ありがとうな」
彼が顔を綻ばせてお礼を言ってくれた。