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35 - 34話 今月の紙芝居ニュース

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2026年02月15日

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34話 今月の紙芝居ニュース(世界はゆるく滅びつつある)


夜  

焚き火がぱちりと小さく鳴る




ふっくらは丸い体を沈めて座り  

短い脚を投げ出している




腹がふよんと前に出て  

火の光をやわらかく映していた








琶が紙芝居の枠を立てる




大きな体  

長い首  

重なった鱗




畳まれた翼の影が  

ふっくらと焚き火を同時に包む








ふっくら  

「ねぇ琶、今月は平和?」




琶  

「おまえ基準なら平和だ」








ふっくら  

「わたし基準だと何でも平和になっちゃうよ!?  

もっと厳密に教えてよ!」




琶  

「では……厳密に“平和ではない”」








ふっくら  

「どっちだよ!!」  

(丸が震える)








琶は一枚目をめくる








その絵には  

半分だけ残った街が描かれていた




建物が欠け  

道が途切れ  

遠くに影が立っている








ふっくら  

「えっ!? 滅んでるじゃん!?  

全然平和じゃないよ!?」




琶  

「おまえの生活には影響しない」








ふっくら  

「それ読者が一番思ってるよ!」  

(読者も巻き添え)








琶は次をめくる








二枚目  

大地に裂け目が入っている絵




そこから  

なにか煙のような“色のないもの”が漂っていた








ふっくら  

「……これ……こわいやつだよね……?」




琶  

「気にするな。  

読者も気にするな」








ふっくら  

「読者にまで言うの!?  

巻き込みすぎじゃない!?」








琶  

「読者は知る必要がない」








ふっくら  

「わたしもだよね!?  

わたしも知らないほうがいいやつだよね!?」








琶は三枚目をめくる








そこには  

なぜか勇者がひとり立っていた




しかし  

顔がぼやけ  

装備が半分消えかけている








ふっくら  

「……勇者、壊れてない?」




琶  

「壊れていない。  

“足りなくなっている”だけだ」








ふっくら  

「なにそれ!?  

なにが足りなくなってるの!?  

顔!? 魂!? 人として必要な何か!?!?」








琶  

「すべてだ」  

(淡々)








ふっくら  

「全部ーー!?!?」








琶は最後の紙をめくる








そこには  

真っ白ではない  

墨染めの影のような模様だけが  

描かれていた








ふっくら  

「……これ……なんの絵……?」




琶  

「“残っていくもの”だ」








ふっくら  

「えっ……えっ……なにが……?」




琶  

「説明しても理解できない」




ふっくら  

「言い方ぁ!!  

読者に謝って!!  

読者もわからないよ!!!」








琶は紙芝居を閉じ  

さらに続けるようにしゃべった




「世界は滅びている最中だ。  

ゆっくり、気づかれないように」








ふっくら  

「え、世界が滅んでるって今サラッと言った!?  

そんな話“先に言うべきトップニュース”じゃない!!?」








琶  

「ふっくらの生活には影響しない」  

(また言う)








ふっくら  

「読者は!?  

読者に影響する!?」








琶  

「読者も……  

たぶん、今のところは影響しない」








焚き火がふっとゆらぎ  

影が大きく伸びた




一瞬だけ  

紙芝居の後ろに  

絵ではない“何かの気配”が動いた気がした








ふっくらは気づかず  

丸い体をぽよっと揺らす




「……まぁ……生きてるし……  

明日も起きるし……  

ごはんも食べるし……  

いいのかな……?」








琶はふっくらの頭を軽くつつく




「その調子だ。  

おまえはそれでいい」




そして  

読者へ視線を向けたように  

ほんの一瞬だけ目を細める




「……おまえもな」








焚き火がまた揺れた  

世界はゆるく  

確実に  

滅びつつある

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