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この国には魔法が存在しており、魔術師と呼ばれる者達がいる。そのリーダー的存在が最初に対面した初老の男性━━師長様だそうだ。
手に持っていたはずのスマホはどこを探しても見つからなかった。召喚されたという事を信じるならば、その時にこちらの世界へはもって来られなかったのだろう。
ソファーにゆったりと腰掛けて物思いにふけっていると、扉がノックされた。
「サヤカ様、エレナです。
師長さまより許可をいただきました。」
「え? 外に出てもいいんですか?」
「はい。師長様がサヤカ様のお心が少しでも晴れればとおっしゃっていました。」
「ありがとうございます!エレナさん」
サヤカは満面の笑顔でエレナへお礼を伝える。
「もし、サヤカ様さえよろしければ、私もご一緒いたしましょうか?」
「……エレナさん、ごめんなさい。 ちょっと、一人で出かけてみたいので。でも、必ず帰ってきますから、心配しないでください」
「サヤカ様、決して知らない人についていかれませんように。」
「はい、子供ではないんですから大丈夫です。」
心配してくれるエレナさんの見送られて、私は城から出てとりあえずまっすぐに歩いて行く。
聖女様のお世話係として召喚されたというものの、魔法が使えたり何か特別な能力が発揮されたりはしなかった。
こんなにあっさりと外に出られたことに拍子抜けする。
あんなにどうやって逃げだそうか悩んでいたのに…
万が一いなくなっても構わないと思われているのかな。
しかも、お小遣いまで持たせてくれた。
好待遇で逆に申し訳なくなる。
城門を出ると、西洋風の建物が並んでいた。
この景色を見るとさすがに、セットではないのだと実感する。
本当に異世界にきてしまったんだ……
あぁ、私も魔法が使えたらな。
街並みを見て歩くのは思いの外楽しくて、夢中になって歩き続けた。
元々歩くのは苦ではなかったので、ひたすら歩き続けるといつの間にか街を抜けていた。 そうして気がついたら、鬱蒼と木々がしげる森の中を彷徨っていた。
道に迷ったら大変。
そろそろ引き返した方がいいかもしれない。
と思った時にまた、あの時のような感覚に襲われた。
「!!」
一瞬の出来事だった。
地面が突然消え失せたかと思うと、急降下していく。
叫び声を上げる余裕もなくどんどん転落していく。
助けて! 今度は本当に死ぬのかもしれない……
恐怖から目をつぶっていると、
身体中にありえないくらいの激痛が走った。
落ちたのだと認識したものの、
そのままぷつりと意識が途絶えた。