電車の音にもイラつく。
振動にも、このくそったれな状況にも、あんなところに行ってしまったことにも、あんな場所を生み出した林とかいう老いぼれにも、簡単に電車に乗り込んだあの男にも。
ケイを止められなかった俺にも。
何度も何度もドアを叩くが、俺の手の皮膚が裂けて血を流しても、ドアは開かない。爪が 剥(は)がれるほどにドアの隙間を力づくでこじ開けようとしてもダメだ。
「くそったれ!」
そう叫んで俺は走って先頭車両に戻った。
そこにいた人を押しのけて、運転席のドアに取りつき狂ったようにドアノブを動かして、力づくでドアをこじ開けようとした。
だが、一向にドアは開かない。
漆黒の窓からはなにも見えない。
「おい……学ラン」
そんな声が聞こえたが、俺は 執拗(しつよう)にドアを揺らし、何度も蹴りを入れる。
「止めろ、電車を止めろよ! 止めろってば!**************************
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