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ここまで頑なに言い張る瑠衣に、侑は真っ直ぐに瑠衣へ眼差しを向ける。
彼女の全てを受け入れる覚悟を決めて。
「瑠衣。教えてくれ」
侑は腹を括り、真剣な表情を見せながら落ち着いた声音で問い掛けると、瑠衣の瞳から大粒の涙が溢れ出した。
身に纏っている黒のTシャツワンピースに、ポタリ、ポタリと雫の跡が広がっていく。
黙ったまま上目遣いで虚な瞳の色を見せた後、瑠衣は蚊の鳴くような声色で打ち明けた。
「…………不特定多数の……男たちに…………輪姦された……」
「っ!!」
瑠衣の告白に侑の鋭い瞳が見開かれると、高所から突き落とされたような感情とともに絶句した。
そこから瑠衣は、溜まっていたものを全て吐き出すように侑へぶつけた。
SNS上で、瑠衣と交接する男たちを募集する闇バイトの広告が、彼女の画像付きで掲載されていた事。
十枚ほどあった瑠衣の画像の中に、撮られた覚えのある画像が一枚だけあった事。
約四日間、媚薬を飲まされ、不特定多数の男たちに避妊せずに陵辱された事。
その後、三日間は一歩も外に出られず、何もしないまま監禁され、それは恐らく緊急避妊薬を飲ませず、瑠衣を確実に妊娠させるためではないか、という事。
闇バイトを応募した男の中に、見張り役の男が実は娼婦をしてた頃に世話になった男で、彼が瑠衣を連れて逃げ出し、東新宿まで送ってくれた事……。
「もしかしたら……私…………父親が誰か分からない子を……妊娠しているかもしれない……」
瑠衣が瞼を伏せても雫は溢れ続け、瑠衣の服に涙の痕跡が広がっていく。
「せんせ……元カノが他の男とセックスしているのを見て…………その場で関係を切ったんでしょ? 私も先生がいながら…………他の男たちと……。だから——」
「あの女と瑠衣の状況は全く違う! それに……俺は瑠衣の過去を全て受け止めるって決めた。だからもう『私を捨てて』なんて言うな……!」
瑠衣が言い切る前に、侑は彼女の言葉を遮り、抱き竦める。
「俺はずっと瑠衣の側にいるし……俺の側に瑠衣がいて欲しい……。瑠衣。すごく辛かったよな……。何よりも……お前が生きて帰って来てくれて…………本当に良かった……。お前を助けてくれた彼には……感謝してもしきれない」
少し伸びた瑠衣の髪に触れながら、小さな額に唇を落とす侑。
更に華奢になってしまった身体を抱きしめながら、瑠衣の存在を確かめるように、侑は彼女の背中をそっと撫で続けた。