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あれは、19歳の時。
友達とルームシェアをしていたが、ある日一人暮らししてーなと思いたった。
それで、A不動産でとにかく安いとこで探してもらったんだ。
「事故物件とかでもいいですか」
担当の営業さんから、そう言われて、全然大丈夫っすよー、と俺は答えて住み始めた。
2つ。
2つの怪奇現象は住んで初日から起き始めた。
別に大した事はない。
1つは、夜中23時くらいに、天井からギシギシと、古い家の床を歩く時の軋むような、そんな音がする。
2つは、下駄箱からカリカリと音がする。
これで駅まで徒歩5分、1LDK3万なら全然住んでられる。得したー、なんて事を思ってた。
だってそうだろ。
天井からギシギシなんて、家が古いだけだろうし。下駄箱からカリカリなんて、ネズミかなんかだろうし。
考えすぎだよ、なんでもかんでも幽霊な訳ない。
そう思ってた。
住んでどれくらいが経ったろうか。
不定期に下駄箱からカリカリ聞こえるのに、次第に苛立ちを覚えた。ネズミなら退治して終わりだ。
俺は下駄箱に入れてた靴を取り出して、隙間が無いか確認する。そこから、ゴキジェットを吹きかけてやろうと思って。
隙間は無かった。
しばらく下駄箱と睨めっこしてて、ある事に気付く。
この下駄箱、外せるなと。
つまり、壁と一体化しておらず、壁に穴を開けて下駄箱を収納してると言えばいいだろうか。
俺は下駄箱を外した。
そこには扉があった。一枚お札が貼ってあった。
これはあれか。よく古びたホテルとかで聞く、飾ってる絵の裏にお札をして、霊を鎮めてるとか、そううやつか。
カリカリカリカリカリカリカリカリ
情けないがマジで小便チビッたかも分からん。急に扉の奥から誰かが爪で引っ掻いてるような音が鳴り響く。
俺は急いで、下駄箱を元に戻した。
その日からだ。
とんでもない恐怖に襲われたのは。
続く