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買い物を終えてマンションへ戻ると、花純は夕食の下ごしらえをする。

それから、洗濯物を取り込みリネン類に丁寧にアイロンをかけた。

プロのクリーニング店みたいに完璧にはいかないが、まあまあの出来だ。

外干しして何よりも嬉しいのは、お日様の香りがする事だった。


花純は壮馬と自分のベッドにリネン類を丁寧にセットしていった。


夕方まではテレビを見ながら少しのんびりした。

自分が持ち込んだ植物の手入れもする。


テレビが夕方のニュース番組に変わると、


(そろそろ夕飯の準備をしよう)


と思い立ち上がった。


その時花純のスマホが鳴る。見ると壮馬からメッセージが入っていた。


【午後6時頃に帰ります】


それを見て花純は飛び上がった。

まさかそんなに早いとは思っていなかったので、慌ててキッチンへ向かう。

昼間に下ごしらえをしていたのでなんとか間に合いそうだが、花純は必死に料理を仕上げていった。


この日は、壮馬の母親が持って来たと思われる回鍋肉の素があったのでそれを一品作り、昼間作っておいた餃子を焼く。

それに玉子とネギの中華風スープとザーサイとキャベツの和え物を作った。

餃子は多めに作ったので残った分は冷凍しよう。

時計を見ると午後5時50分だったので、花純はテーブルセッティングを始めた。


その時インターフォンが鳴った。


(あれ、もう? 早い)


花純はエプロンをつけたまま、パタパタと玄関へ向かった。

そしてドアを開けようと手を伸ばした瞬間、鍵が勝手に開いてドアがスーッと開いた。


花純は壮馬が自分で鍵を開けたのだと思い、


「お帰りなさい」


と声をかけた。

するとそこに立っていたのは、60代位のとても上品な女性だった。


「あっ…」

「えっ?」


女性は驚いて、一旦後ろへ下がるとドアの横の部屋番号を確認する。

そして番号が間違っていないとわかると驚いた顔のまま言った。


「えっと…あなたは? 壮馬のお知り合い?」


そこで花純はハッとする。


(この人、副社長のお母様だわ!)


咄嗟に分かった花純は、一歩後ろに下がるとお辞儀をした。


「あ、はい…現在副社長と一緒にお仕事をさせてもらっている藤野花純と申します」


そう言ってもう一度ペコリとお辞儀をした。


「あ、そうなのね…びっくりしたわぁ、いきなり女性が出て来るんですもの。私は壮馬の母の高城百合子です」


百合子はニッコリと笑った。


「お邪魔してもいいかしら?」


花純は慌ててスリッパを出すと答える。


「もちろんです……どうぞ」


そして花純は百合子を案内した。


リビングに入った百合子は、ダイニングテーブルの上を見て感心したように頷く。


「あら、このお料理は花純さんが?」

「あ、はい…実は私、先日火事で住まいを焼け出されてしまったんです。それで副社長にお世話になっていて……」

「まぁ、火事で? それは大変だったわねぇ…で、お住まいはどうなったの?」

「それがほぼ全焼に近いというか…もう戻れないみたいで」


それを聞いた百合子は、気の毒そうな表情を浮かべる。


「それは可哀想に…でもお怪我とかがなくて本当に良かったわ。どうせ壮馬は独り身なんだし、遠慮せずにいつまでもここにいたらいいわ」


百合子はそう言って微笑んだ。


「ありがとうございます。次の住まいが見つかったらすぐに出て行きますので……」


花純の申し訳なさそうな様子を見て、百合子は言った。


「ううんいいのいいの、いつまででもいて頂戴。それになんだか部屋がとっても綺麗! まさか花純さんがお掃除して下さったの?」

「あ、はい……今日は仕事が休みだったので……」

「お休み? あら、確か壮馬の会社は土日が休みよね?」


そこでまたインターフォンが鳴った。

今度こそ壮馬が帰って来たようだ。


花純は百合子に「ちょっと失礼します」と言って、またパタパタと玄関へ向かった。

その可愛らしい後ろ姿を見ながら、


(壮馬がねぇ…まさか部屋に女性を入れるなんて……フフッ、すぐパパに報告しなくちゃ!)


百合子は心の中でそう呟くと嬉しそうな笑顔を浮かべた。


慌てて玄関を開けた花純は、


「お帰りなさい、あの……」


昨日とは違う花純の様子に気付いた壮馬は、玄関に置かれている女性物のヒールを見る。

そしてすぐにピンときたようだ。


「おふくろが来てる?」

「はい」

「ったく、タイミングが悪いな」


壮馬はそう言うと、スリッパをはいてすぐにリビングへ向かった。

部屋に入ると、百合子が振り向いて言った。


「お帰りなさい、お邪魔してるわ」


百合子はそう言ってニヤッと笑う。


「こんな時間に珍しいな。何か用?」

「お友達と銀座にお芝居を観に行った帰りなの。会社に電話したらあなたはもう帰宅したっていうから…でもお食事の心配はいらなかったわね」


百合子はテーブルに並んだ料理を見て言った。

そして手にしていた紙袋を掲げる。


「『大洞天』のシュウマイか。ありがとう、ちょうど今日の料理に合うな」


壮馬がテーブルに並んだ花純の手料理を見て言った。


「偶然だけれどぴったりでしょう?」


百合子は嬉しそうにフフッと笑う。

そして、


「花純さん…ううん花純ちゃんでいいわね、ねぇこれ美味しいから是非食べて頂戴」


と言い、袋を花純に渡した。


「ありがとうございます」


そのシュウマイは花純も知っている有名店のものだった。

花純は食べた事がなかったので嬉しかった。


そこで壮馬が花純を紹介した。


「彼女は今うちのビルの一階のフローリストで働いているんだ。で、それと並行してうちの庭園改良プロジェクトにも加わってもらっている」

「まあ! あの青山花壇さんの人?」

「はい、そうです」

「この前の母さんの誕生日のフラワーアレンジ、凄く気に入っていただろう? あれは彼女が作ってくれたんだよ」

「あらぁ、そうだったの? 嬉しいわ! あのアレンジ、今まで壮馬から貰った花の中で一番私の好みに合っていたの! あれをあなたが作ってくれたのね! それはそれはありがとうございます」


百合子はニコニコして言う。

そこで花純は急に思いついたように言った。


「あの、よろしかったらお母様もご一緒にお夕飯をいかがですか?」


その声に百合子の顔がパァッと明るくなる。


「あら、いいの?」


そして息子の顔をチラッと見る。


壮馬は本当は花純と二人だけの時間を過ごしたかったが、花純が気を利かせてくれたので仕方がない。


「うん、花純がいいって言うならどうぞ…」


そこで百合子は壮馬が花純の事を呼び捨てにしたので、一気にテンションが上がる。


「まあ嬉しい! 今夜はパパが接待で遅いからお言葉に甘えちゃおうかしら」

「是非」


花純は笑顔で歓迎した。


その時、再びインターフォンが鳴った。思わず三人が顔を見合わせる。


「今度は誰だ?」


壮馬は玄関に向かおうとする花純を制止すると、自ら玄関へ向かった。



クールな御曹司はフラワーショップ店員を溺愛したい

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