テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

トラッパーの部屋の中に入ると同時に、腰が抜けた。

怖い…怖いっ…!


「うぅっ…ぅ…ぁああ!」


もう嫌だ…こんな事。

泣かないって決めたばっかりなのに…。


「全部ゴスフェのせいだ…!!」


殺してやる…絶対に!!


「でも……」


今の僕じゃ…ゴスフェは倒せない…ナイフ投げも上達してないし、そもそも無慈悲すら取れてない。


「このままじゃダメだ。」


僕は立ち上がり、2つ誓いを立てた。


「まずはゴスフェから距離を離そう。それから無慈悲を取るためにナイフ投げを頑張って…。」


最初は難しいかもしれないが、これも僕が自立するための試練だ。

それに…今は支えてくれる人はダメもいないんだし…。


「くじけるなよ、トリスタ!お前はすっごくクールで強いんだから!」


自分を励まし、僕はあの邪神の居る場所へ向かった。


「エンティティ様」



《なんだ?》



嗚呼、この声は嫌いだ。

まるで僕の心を全て見透かされている感じがして気持ち悪い。


「少し頼みがあるんです。」



《ほぉ。》



「僕の部屋を、別の場所に移させてくれませんか?」


まずはゴスフェから距離を離さないと。



《なぜ?》



「あなたも知ってるでしょう?僕がゴスフェに何をされたのか。それを知ってるなら理由なんて要らないと思うのですが。」



《ふむ…今は空き部屋はない。ここから少し離れた小屋になるが、構わないか?》



「もちろん!!」


やった!今は運が着いてる!



《なら貴様の使っている家具はそこへ移しておく。これは小屋の地図だ。》



そう言いながらどこからか地図を渡してくれた。


「ありがとうございます!」


ん?何か変だ…あの邪神が、こんなに易々と僕の要望を受け入れるなんて…。


「あの…」



《なんだ?まだ何かあるのか?》



その言葉に若干怖じ気づくが、勇気を出して聞いてみた。


「何故そこまで僕の頼みを聞いてくれるのですか?いつもなら対価を望んでくるはずなのに…」



《…ははっ!やはりお前は勘が鋭いな。いいぞ?答えてやる。》



そう言うと、彼は黒い霧のような物を僕の目の前に持ってきた。



《よぉく見てみろ。》



「ん?…あ!」


トラッパーとゴスフェ!?


「なんで二人が戦って…キラー同士の戦いは禁じられてるはずじゃ…!?」



《彼らは今、お前のために命を懸けて戦っているのだ。》



「僕の…ために?」


一体どうして?



《ゴスフェはお前を自分のものにするために。そしてトラッパーはお前を守るために戦っている。》



「そんな…」



《どうした?嬉しくないのか?》



「ぼ、僕は…もう誰も巻き込みたくないんです…。」



《じゃあどうする?己の身をゴスフェに捧げるのか?》



「そ、そんなこと…!!」


するはずない…でも最後まで言えなかったのはどうしてなのか…。



《一つ言わせて貰おう。お前は物事に逃げすぎている。》



「は?」


逃げてる?僕が?



《お前の発言は矛盾しすぎてるのだ。ゴスフェと距離を離そうと部屋を移動させたのに、別の者がお前を守ってくれると分かったら『誰も巻き込みたくない』?甘えたことを言うのも大概にしろ。》



正論だった。

やっと気づいた。

そっか…僕はずっと逃げてたんだ…。



《はぁ…ま、決断はお前に委ねるとするか。とにかく言えることは、お前は私と同じくらい強欲だと言うことだ。》



彼なりのジョークなのだろうか。

でも何故だろう。

その言葉が、さっきまでのモヤモヤを消してくれるような気がした。



《それで?お前はどうするんだ?》



「僕は…もう逃げない。何でも受け入れて見せる!」



《そうか。》



「ありがとうございます…」


一礼をしてその場から出ようとしたその瞬間…



《一ついいことを教えてやる。》



そう言って呼び止められた。


「はい?」



《ゴスフェは、そう易々と獲物を諦める様な質ではないぞ?》



「っ…はい」


その言葉に肌が粟立つが、受け入れることにした。



《はぁ…私も随分甘くなったものだな…。それにしても比奴ら、こんなに必死で戦うとは…相当あの男の事が気になるのだな。トリックスターも中々の鈍感だな。これからが楽しみだ。》

loading

この作品はいかがでしたか?

50

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚