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ひより
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夏目萌*優しい彼~コミカライズ
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#大人ロマンス
瑠璃マリコ
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重田💋(omoda)
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「……やっぱり、相手を特定するのは難しいよね」
「そうですね。今の段階では何とも言えません」
少しの沈黙の後、亜佑美は意を決したように口を開く。
「それなら、もう一度……私が一人になってみた方が相手を見つけられるのかも……」
その言葉が終わるより早く朝陽はきっぱりと言い切った。
「駄目です。それは危険すぎます。そんなこと、許可できません」
真っ直ぐな眼差しには一切の迷いがなかった。
「亜佑美さんを危険に晒すようなことは絶対にさせません」
「……朝陽くん」
彼の強い口調に驚きながらも、その言葉には自分を守ろうとする真剣な想いが込められていることが伝わってくる。
「今は焦らず、様子を見ましょう。職場ではできるだけ誰かと一緒に行動してください」
「……うん。分かった」
相手が分からない以上落ち着かない日々はまだ続くだろうけれど、朝陽が居てくれれば乗り切れる気がして、亜佑美の不安な気持ちは少しだけ薄れていた。
亜佑美が朝陽の部屋に身を寄せる生活が始まってから平日も休日も朝は「おはよう」と笑い合い、夜は「おやすみ」と言葉を交わす。
当たり前のように隣にいてくれる存在は亜佑美の心を少しずつ満たしていて、その結果それは表情にも表れていたようで職場の同僚からは、
「最近、何か良いことあった?」
そう尋ねられることが増えていた。
「実は、ちょっと事情があって……今彼氏の部屋に泊まらせてもらってるんだ」
その話を聞いた同僚は目を丸くしたあと、にやりと笑った。
「え、それってほぼ同棲じゃない。いっそのこと本当に同棲しちゃえばいいのに」
その思いがけない言葉に亜佑美頬が熱くなる。
(それも、悪くないかもしれない)
そんな考えが頭を過り自分でも驚くけれど、その思いをすぐに打ち消した。
今こうして一緒に暮らしているのは自分が誰かに付け狙われていて、それを心配してくれている朝陽の厚意から。
問題が何一つ解決していない今、そんな話をするべきではない。
そう自分に言い聞かせた亜佑美はその気持ちを胸の奥へしまい込んだ。
そして、一週間が過ぎたある日の夕方、迎えに来てくれた朝陽と並んでマンションのエントランスへ向かっていた、その時だった。
「…………っ」
ふいに背筋を這い上がるような悪寒が走り、亜佑美の肩がびくりと震えてその場で足が止まる。
異変に気づいた朝陽がすぐに声を掛けた。
「亜佑美さん、どうかしましたか?」
すると亜佑美は青ざめた顔で朝陽の服を掴む。
「朝陽くん……今……誰かに見られてる気がして……」
怯えた声を聞いた瞬間、朝陽の表情が引き締まり、周囲へ鋭い視線を巡らせるものの不審な人物の姿は見当たらない。
(やっぱり、ここも知られていたのか……)
自分の自宅ならまだ安心かと思っていた朝陽だったが、ここまで知られているのなら相手がいつ接触してきてもおかしくないことを悟る。
今はとにかく亜佑美を安心させて安全な場所へ連れていくことが先決と、
「亜佑美さん、大丈夫です。何があっても俺が守ります」
そう言ってそっと肩を抱き寄せる。
「とりあえず部屋へ入りましょう」
「……うん」
朝陽の言葉には小さく頷いた亜佑美は彼の腕に寄り添うように歩き出した。
エレベーターの中でも朝陽は亜佑美を安心させるように肩を抱いたままで部屋へ向かい、部屋に入るとすぐにドアへ鍵とチェーンをかけた。
ようやく密室になったことで緊張の糸が少し緩んだのか亜佑美の強ばっていた表情からはわずかに力が抜けていて、そんな彼女の様子を見つめながら朝陽は安堵した。
「朝陽くん……やっぱりこのままじゃいけない気がする……」
「それは俺も思っています。でも、相手が誰なのか分からない以上対処のしようがなくて……」
少し考え込んだ亜佑美はゆっくりと言葉を続ける。
「そのことなんだけどね、視線を感じるようになった頃から、よく見かけるようになった人が一人いることに気づいたの」
「えっ?」
「うちの会社の取引先の営業の人なんだけど、最近担当が変わったみたいで会社で見かけることが増えたの。それで、その人を見た時、『どこかで見たことがあるな』って思っていたんだけど……思い返したら、うちの最寄り駅の近くでも何度か見かけていたの」
その話を聞いた朝陽の表情が険しくなる。
「ということは、やっぱり亜佑美さんが自宅へ戻るのは危険ですね」
「うん……。でも、会社で会うのは仕事だし、駅で見かけたのだって本当に偶然だったのかもしれない。確証は何もないの」
「それでも、今の話を聞く限りでは、その人が一番怪しいのは間違いありません」
「うーん……視線を感じ始めた頃から見かける機会が増えた気がする、っていう程度なんだけどね」
証拠もなければ決定的な根拠もない。
相手を疑うことは出来ても行動を起こせるだけの材料は揃っていないからこそ、今出来ることは警戒を続けるしかない。
「とにかく、この家に居ることが知られてしまった以上亜佑美さんは絶対に一人で行動しないでください」
「うん……分かった」
怪しい人物に心当たりは出来たものの確証がない以上は慎重に様子を見るしかない。
亜佑美はこれまで以上に不自由な生活を送ることになったのだけど、朝陽が居る心強さが有難かった。
しかし、そんな緊張の日々の中、困った事態に陥ることに。
数日後、朝陽は上司から一つの業務命令を告げられた。
「……出張、ですか?」
日帰りではあるものの仕事の都合で関西へ出向かなければならない予定が入ってしまったのだ。
それは亜佑美の安全を最優先に考えていた朝陽にとってあまりにも間の悪いものだった。
コメント
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うわっ、52話読み終えた!朝陽の「危険すぎる」って断言するところ、マジでカッコよかったわ。そして亜佑美が同僚に「彼氏の部屋に泊まってる」って言ったときの照れ方とか「それも悪くないかも」って思っちゃう気持ち、めっちゃ分かる~。でもそんな甘い雰囲気の中に、最後の出張の話が不穏すぎる…このタイミングで朝陽が離れるのヤバくない?次が気になりすぎるわ🔥 お疲れさまです!