テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
圭がDTM事業部に移動して三日目。
出社してパソコンを起動させ、メールチェックをすると、受信トレイにHanaからのメールが届いている。
「お。さっそく来たか」
彼は、太字で表示されているHanaからの未読メッセージをクリックする。
『ハヤマ ミュージカルインストゥルメンツ DTM事業部 葉山様。初めまして。Hanaと申します。メール、ありがとうございます。また、私が投稿している楽曲をお聴き下さり、ありがとうございます。開発中の楽曲制作アプリの件、私で良ければ、ぜひお受けしたいと思います』
圭は、唇を緩めつつ、メールをスクロールさせていく。
『他社のスマートフォン向け楽曲制作アプリも使用した事がありますが、正直、あまり使い勝手が良くなかったので、ハヤマ ミュージカルインストゥルメンツ様の開発中のアプリを使って音楽制作できるのが楽しみです。よろしくお願いします。Hana』
いい返事をもらえた事で、彼は、ホッと安堵のため息を漏らす。
そこへ、同期の上司である柏木が出社してきた。
「部長、おはようございます。Hanaさんから返信が届いて、OKの返事を頂けました」
「おはよう葉山。朝から幸先がいいな! 低迷している我が部署に、一筋の光が見えたよ」
柏木は、一重瞼の切れ長の瞳を、さらに細めて、圭の肩をポンッと添える。
「まずは、Hanaさんに一度来社してもらい、スマートミュージックのレクチャーをする。それと、Hanaさんにインタビューしたいと思っている。そうだな。来月の頭に、来社できるか、メールで確認してもらってもいいか?」
「了解しました」
「なぁ葉山」
圭が、デスクに腰掛けようとすると、柏木から声を掛けられる。
「俺とお前は同期だ。ここでは表向き、俺がお前の上司だが…………二人でいる時は、普通に話してもらって構わない。今、俺とお前は、DTM事業部の同志なんだからな?」
「…………ああ。そうだな。ありがとう」
柏木に穏やかな面差しを向けられた圭は、驚きの色を滲ませた後、口元を緩ませた。
副社長の座から陥落し、課長になってから、彼は社員たちに好奇の眼差しを向けられているが、同期の柏木は、以前と変わらずに接してくれている。
圭はそれが嬉しく、また、ありがたく思いながらパソコンに向かった。