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まるで誰かの背中を追うように、グレイス嬢が退室した扉を見つめたままの父王に、その場の皆が声をかけるのを躊躇った。
しばし緊張感を伴った静寂に包まれる。と、視線は逸らさず、父王が口を開く。
「……お前達がまだ小さい時分、グレイス嬢が城によく訪れていた理由には気づいているな？」
唐突な話だった。だが、無論、その理由には気づいている。
表立った体のいい理由の中に紛れて、彼女は王子である俺の婚約者候補の筆頭として城を訪れていたのだと、今では既にわかっている。
「はい、存じております」
「しばらくして、妹のリネット嬢も城にやって来るようになった」
「はい」
「……嫌な言い方だが、お前の相手とするのには、家格的に姉妹のどちらでも良＊＊＊＊＊＊＊＊
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