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侑が連れてきたのは、羽田空港のすぐ横にある、通称『ウィングパーク』と呼ばれている公園。


夕刻のせいか、海が茜色に染まりながらキラキラと輝いている。


飛行機の離陸と着陸がすぐ目の前で見え、所々に飛行機の離着陸を撮影しているカメラマンの姿も見えた。


海風に乗って潮の香りが鼻腔を掠め、二人の髪を微かに揺らしていく。


「凄い! こんな間近で飛行機の離着陸が見られるなんて!」


手摺りに掴まりながら子どものようにはしゃいでいる瑠衣に、侑が薄らと唇を緩める。


「…………羽田に降り立ち、日本での生活も、もう九ヶ月になろうとしているのか。早いものだな」


「響野先生と再会して…………もうそんなに経つんですね……」


飛行機が離陸する様子を見ながら、瑠衣がさり気なく呟いた。




約九ヶ月。日本に帰国した日の夜に瑠衣と再会し、色々あり過ぎたな、と侑は思う。


ベージュブラウンの髪を揺らし、滑走路を見ながら笑みを浮かべる瑠衣が愛おしい。


「先生は昨年の夏に帰国した時は、羽田で降りたんですか?」


「ああ」


「私、海外って行った事ないんですよね。高校の修学旅行は沖縄だったし。大学の卒業旅行は……家があんな状態だったから行かなかったし……」


先ほどまで嬉々として飛行機の離着陸を見ていた瑠衣が、伏目がちで言葉を濁した後、力無く笑う。


(そう言えば、彼女の家は自営業で、卒業間近に会社をたたむと言われ、大学院進学を諦めたと言っていたな。卒業旅行も諦めていたとはな……)


侑の表情が曇り、眉間に皺が刻まれる。


「先生」


瑠衣が侑を見上げながら呼ぶ。


彼女は互いの想いを通わせてからも、ずっと侑の事を『先生』や『響野先生』と呼んでいる。


せめて二人でいる時くらいは『先生呼び』をやめて欲しいと思う。


大学時代から現在も師弟関係とはいえ、想いを結び合った恋人同士なのだから。


「…………なぁ瑠衣。 『先生呼び』止めないか?」


「え、だって、響野先生は私から見れば師匠だし……いくら互いに好きだって分かってても、先生の名前を呼ぶのは、何というか…………その……」


瑠衣が頬を薄紅に染めながら瞳を泳がせていると、侑は彼女を強く抱き寄せた。

もう一度、きかせて……

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