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拓人は、スマートフォンの電源を入れると、相変わらず、送迎役の連中からメッセージが頻繁に届いている。
「…………相変わらず……うぜぇ」
ヤツらのメッセージを全て消去した後、彼は発信履歴をタップすると、大学時代の友人、松山廉に電話を掛けた。
呼び出し音が八コール目で、廉が応答する。
『…………もしもし』
「…………久しぶりだな」
『…………ああ』
二人の間には、優子を巡ってトラブルがあったせいか、電話での挨拶も、どこか気まずい。
拓人は、スマートフォンを握り直すと、ハァッと短く息を吐き出す。
「…………この前は……あんな事して…………本当に……すまなかった……」
『…………いや、いいんだ。もう…………終わった事だ』
「…………本当に終わったと……思ってるのか?」
廉の言葉に、拓人は訝しげな表情を映し出す。
『…………どういう意味だ?』
廉が質問返しをしてきたが、拓人は、敢えて答えない。
その代わりに、彼は、ここ最近、考えていた事や感じていた事を、友人に打ち明けた。
「廉。あんな事をした俺が言うのも、おこがましいんだが…………頼みがある」
『…………頼み?』
「…………ああ」
調子のいいヤツだ、というのも、拓人は自覚している。
本来、廉に頼むなんて、失礼極まりない事だ。
だが、友人は画面の向こう側で、何も言わずに、拓人の話を聞いてくれている。
彼が真摯に、ひと通り話をした後、廉が長いため息をついた。
『お前…………正気か? 後悔しないか?』
「ああ。前々から考えていた事だ。これは、廉にしか頼めない事だし、俺は、後悔はしない」
廉が、ようやく口を開き、問い掛けると、拓人は、キッパリと言い切った。