そして失礼だと承知の上で、ボソッと言った。
「意外と、女子高生とか好きじゃないんですね」
そう言うと、彼は目を剥いて私を見てきた。
「お前、俺をどういう目で見てる訳? マジでガキには興味ねぇよ。女子大生も論外」
「女子大生ならワンチャンあるんじゃないですか? ふがっ」
口答えすると、また鼻を摘ままれた。
「あのなぁ、お前が世の男にどういうイメージを持ってるか知らねぇけど、俺は色気のある大人の女しか興味ない訳。これぐらい……」
「わっ」
尊さんが話しながら、私のお尻を鷲掴みにした。
「これぐらい脂肪がのってるほうが好み。なんなら巨乳で、ふるいつきたくなるような体だと尚いい。……そんで、クールそうでちょっと生意気で、ちょっと抜けてると最高」
「っ~~~~」
私の事が好きだと言われ、不意打ちを受けてカーッと赤面してしまう。
なのでつい、照れ隠しで憎まれ口を叩いてしまった。
「脂肪って言うな」
ボスッと軽く彼に腹パンすると、尊さんは肩を揺らしてクツクツと笑う。
「ネクタイの結び方、教えてやるよ」
彼は私の両手を掴み、ネクタイを結び始めた。
「こうしてこう、巻き付けて……、こう」
「……複雑、ですね……」
私はできあがった結び目を見て、目を瞬かせる。
「俺、割と古風なの好きなんだけど。玄関で『あなた、曲がってますよ』ってちょっと直すやつとか」
「ええ? ああいうの好みですか? じゃあ私、着物で割烹着だ」
「やべぇ、それめっちゃ滾る。着崩してぶち込みたい」
「エロばっかり!」
私たちはポンポン言い合い、クスクス笑う。
彼とそんな関係になれたのが堪らなく嬉しく、この時間が愛おしかった。
そうやって、しばらくイチャイチャしていたけれど、チェックアウトの時間が近づいてきた。
私たちは服を着て帰り支度をすると、一晩お世話になったゴージャスな部屋に別れを告げる。
「また来ような。他のホテルでもいいし、ここを贔屓にしてもいいし」
エレベーターの中、尊さんが私の手を握って言う。
「はい。今度はこんなに立派な部屋じゃなくてもいいですよ」
そう言うと、彼は繋いでいた手を放し、両手を壁について私をその中に閉じ込めてきた。
「躾その二は?」
言われて、私はゾクゾクしながら答えてしまった。
「『遠慮しない』」
「Exactly.忘れんな」
彼はそう言ったあと、チュッと私の額にキスをしてまた手を握ってきた。
ロビーまで行って宿泊客の姿を見ると、二人きりの時間が終わったのを感じた。
半分安心し、半分寂しく思っていると、尊さんは「あそこで座って待ってな」とソファを示し、清算のためにフロントへ行った。
(忘れられないクリスマスになったな……)
私はロビーのソファに座り、金色のシャンデリアに照らされた空間と、大きなクリスマスツリーを見る。
(ツリーの前で記念写真撮りたいって言ったら、嫌がるかな。言うだけ言ってみよう)
そんな事を考えていると、コンシェルジュが歩み寄ってきた。
(忘れ物でもしたかな?)
目を瞬かせると、彼は私の側にしゃがみ、手に持っていた紙袋を渡してきた。
「こちら、当ホテルのマカロンとショコラでございます。お土産にどうぞ」
「わ……、わぁ! ありがとうございます!」
私は素敵なサプライズに、一気にテンションを上げた。
スイートルームにはウェルカムスイーツがあり、めちゃくちゃ美味しくて感動した。
(『また食べたい』ってはしゃいでたから、尊さんが手配してくれたのかな。……もぉぉ……。痒いところに手が届く男……)
こうなったら、セーラーを着る事も考えなければならない。
「ありがとうございます」
もう一度コンシェルジュにお礼を言うと、彼は折り目正しくお辞儀をして立ち去っていった。
そのタイミングで、尊さんが戻ってきた。
コメント
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和服繋がりで、アカリンの花魁も綺麗😍だな。。。✨
着物で割烹着… ミコティ〜「よいではないか」 アカリン「あ〜れ〜」 ぐるぐる帯回しもしたいでしょ?😂