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#普通
野々さくら
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ありあ
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忍は、少し記憶を辿るように目を細めた。
「ある日の放送回の話さ」
皆の視線が自然と忍へ集まる。
「御船愛子は、とある失踪事件の被害者遺品を
霊視していたんだが、その失踪事件に
『天縁教団関係者』が関与してると口にしてしまったんだ」
「てんえん?」
聞き覚えのない名前に、信愛は首を傾げる。
「聞いた事ないな」
「教団って言うくらいだから
宗教団体か何かでしょうか?」
朝陽の問いに、忍が答えるより先に焔垂が口を開いた。
「天縁学園なら知ってるけどな」
茜が思い出したように声を上げる。
「天縁学園ってあれだよね? 野球部が有名だったトコ」
さくらも納得したように頷いた。
「ああ、あれね!」
その反応に、忍が感心したように声を上げる。
「御名答!」
「え?」
焔垂が目を瞬かせる。
「天縁学園は天縁教団が管理運営してる学校なんだよ」
「え?そうだったんですか?」
初めて知った事実に驚きながら、信愛はさらに問いかける。
「その天縁教団ってなんなんですか?」
忍は一度言葉を区切ると、ゆっくりと説明を始めた。
「天縁教団──『天からのお導きが人の縁を
育んでくれる』と謳って活動していた宗教団体でね」
その名を知る者は少なくとも、かつての規模は決して小さなものではなかった。
「信者数は全盛期で40万人を
オーバーしていたと言われてる」
「40万人・・・」
想像していた以上の数字に信愛が思わず呟く。
だが、忍の話はそれだけでは終わらない。
「また、天縁教団は宗教活動だけじゃなくて
医療施設や学校施設、宿泊施設の管理運営を行っていてね。更にはテレビ番組のスポンサー業までこなして、幅広く活動していたんだよ」
「なるほど・・・」
焔垂は腕を組み、話を整理するように頷いた。
「そんな大口スポンサーが失踪事件に関与してる
なんて生放送で言ってしまったから・・・」
「そう・・・それからだよ」
忍の声が僅かに重くなった。
「天縁教団はメディアに圧力かけて
御船愛子を 総叩きにして迫害させたんだよ」
その言葉に、部屋の空気が一変した。
「その結果『インチキ霊媒師の』の烙印を押された
御船愛子は、表舞台から姿を消したんだ
程なくして未解決事件調査隊もスポンサーから
見放された事でたった2年で打ち切りになったんだ」
「ひ、酷すぎる・・・」
茜が低い声で呟く。
「いくらなんでもやり過ぎじゃん」
朝陽も険しい表情を浮かべた。
「今だったらSNSで大炎上ですよ」
忍は苦笑するように頷く。
「そうだろうね・・この頃はSNSなんてなかったし
ネットだって今ほど家庭に普及してなかったからね」
忍は、当時を振り返るように言葉を続けた。
「この一件は世に『千里眼騒動』と言われていたから
今だったら『#千里眼騒動』で炎上していただろうね」
「千里眼騒動・・・」
信愛は、その言葉を確かめるように呟いた。
すると茜が、不思議そうに首を傾げる。
「でもなんで御船愛子さんは
そんな大口スポンサーが関与してる
なんて言っちゃったんだろ?」
「御船愛子は96年当時は20歳だったと
言われていたからね。 多分世間を
知らなかったんじゃないか? って言われてるよ」
忍の言葉にさくらの顔が引き攣る。
「ハタチって・・私たちと
あんま変わんない年齢だし
そんなのまるでいじめじゃん・・」
さくらはメディアの恐ろしさを噛み締めるように目を見開く。
「でもその天縁教団って何者?
今そんな名前一切聞かないけど」
茜の素朴な疑問に忍が答える。
「それもその筈さ」
忍の表情から、僅かに笑みが消える。
「なんせ今の天縁教団は、宗教団体としては現存
しているものの、事実上の『解体』に近い状態だからね」
「ああ、なるほど」
茜が納得する一方で、信愛は腑に落ちたように小さく頷いた。
「だから名前を聞いた事無かったんだ」
だが、朝陽は別の疑問を抱いていた。
「でも編集長さんの話を聞く限りだと
その天縁教団はかなりの力を持ってた
組織の様に感じましたけど、そんな組織が
何でそんな状態になっちゃったんだろ」
「そうだよな、メディアを
動かせる程の力があったのに」
焔垂も同意する。
二人の疑問に、忍は静かに答えた。
「それは天縁教団が水面下で行っていた
『悪事の一部』が露見してしまったからだよ」
「悪事?」
信愛の表情が曇る。
これまで語られてきた話だけでも、天縁教団が御船愛子を社会的に抹殺したことは分かっている。
しかし、忍の口ぶりはそれすらも、教団が抱えていた闇の一端に過ぎないと言っているようだった。
コメント
1件
×××さん、第241話読みました。天縁教団の背景がじわじわ明らかになってきて、一気に世界観が広がった感覚がありますね。特に「千里眼騒動」という実在のオカルト事件を彷彿とさせる語り口がリアルで、つい引き込まれました。40万人の信者を抱えていた組織が、今は事実上の解体状態——その落差に、水面下で何があったのか想像が膨らみます。登場人物たちの反応も自然で、特に茜の「酷すぎる」にグッときました。続きがすごく気になります!