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#ハッピーエンド
れもん データ飛んだ人
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どうして、神様はこんなに意地悪なんだろう。
どうして、思うようにいかないことばかりなんだろう。
誰も傷つけたくない。死んでほしくない。
守りたい。守らせて欲しい。
(たったそれだけのことしか望んでないのに……)
ベルはレンブラントに背後から抱きしめられた状態で必死にもがき、暴れ、その腕に噛み付いた。
でも、背後からの温もりは消えてくれない。手加減なくそうしているから、ものすごく痛いはずなのに。
「離して!!」
「無理だと言っているのが、聞こえないのか。いい加減諦めろ」
レンブラントの声は、とても苛立っているくせに、ベルの背中と脇腹の傷に触れないよう気を遣ってくれている。その配慮が癪に触る。
この人は、まだまだ余裕があるのだ。ならその余力を、逃げることに使って欲しい。でも彼は今、仕事中だ。
(そっか。なら、護衛対象を見捨てても咎められない理由を作ってあげればいいんだ)
不測の事態が続き過ぎてとても混乱しているベルは、呆れるほど見当違いな方法を選んでしまった。
「私、変態ロリコン軍人に触られたくなんですよっ。気持ち悪いっ、不快なんですっ。今すぐどっか行って!!」
(我ながらなんてひどい言葉を吐いているのだろう)
ベルは良心が痛むが、激高したレンブラントが今すぐ自分を捨てて逃げてくれと必死に祈る。
けれどベルの毒に慣れているレンブラントが、この程度で怯むことも、激高することも、まして見限ることもするわけがない。
「……黙れ」
「嫌だ!!」
「黙れっ」
「やだ!!」
まだそんなことを言うのかと呆れ交じりの息を吐くレンブラントは、癇癪を起こすベルを抱き込みつつ、忙しく視線を動かす。
この騒ぎで、手練に居場所を突き止められてしまったのだろう。
雨音に紛れた足音は、まっすぐこちらに向かってきている。しかも手練の数は増えている。
ダミアンの身に何かあったのだろうか。
それともラルク達がいる軍管轄の宿屋の方でだろうか。
得られる情報は皆無に近い。けれど今のレンブラントは、その僅かな情報だけで迅速な判断が求められている。
「……ベル、頼むから黙ってくれ」
懇願に近い口調で、レンブラントはベルに囁く。
今すぐベルが口を噤んでくれなければ、強硬手段を取らなければならないからだ。
だがしかし、ベルは激しく首を横にふる。そして再び「離せ」と叫び出す始末。
レンブラントは咄嗟にベルの口を手のひらで覆う。すぐに「うーうー」と、言葉にならないうめき声が漏れる。
これ以上言い聞かせても無駄だと判断したレンブラントは、やむを得ず口封じの強硬手段を取ることにした。
ベルを正面から抱き直したレンブラントは、片手でベルの口を塞いだまま、素早く反対の手で顎を掴んだ。
「黙らないあんたのせいだかからな……悪く思うなよ」
ベルの耳に落とされたそれは、最後通牒にしては、随分と責任転嫁した内容だった。けれど、ベルはそれに対して文句を言うことができなかった。
なぜなら、物理的に口を塞がれてしまったから。
レンブラントの手のひらではなく──唇で。
コメント
1件
うわっ、第52話…めっちゃ熱い展開だった!ベルの「毒舌で突き放そうとするけど実は相手を守りたい」っていう心理、すごく伝わってきた。しかもレンブラント、完全にベルの本音を見抜いてて「黙れ」って言いながらも傷に気遣ってるの、解像度高すぎる…。最後の口封じ、まさかアレで来るとは思わなくて悶えたわ🔥 続きが気になる!