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俺はにこやかな笑みを浮かべて、フェリクス王太子に対して貴族らしい返しをする。正直に言うとこういうやりとりが俺は得意だが、好きではないのも事実。アルヴィアンが重んじるのは誠実さと透明性、そして実利主義であるのがその理由だろうか。アルヴィアンではアルヴィアン家当主に対しての敬礼義務が廃止されたが、その理由も実利主義によるものである。
外国からの出稼ぎ労働者、国内の他の地域から来た文化人や芸術家も多いアルヴィアンでは、個人主義と実利主義が重んじられていて、その傾向は俺の統治下でより加速した。クレイトンの保守的な気質とアルヴィアンの自由な気質は正反対だが、カルム王子が国王になればこの都市の保守的な気質は少し変貌するかもしれない。俺はそう考えている。
「俺のことをどう評価する、ジョー・アルヴィアン?」
フェリクス王太子はそんな俺に質問をする。次期国王になることを目指しているフェリクス王太子にとってはそれは質問しなければいけないことであるようだ。
「フェリクス王太子の高潔さには憧れます。私はフェリクス王太子ほど高潔ではないですから。ご安心ください。アルヴィアンは王位継承件争いに介入する気力も意図もありません。アルヴィアンの王位継承権争いに対しての歴史的放任主義が変更されることはないと宣言いたします。」