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古流斬
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チタコロ
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第三章 はぐれ者編プロローグ「英雄の遺した名」
七つ大罪との戦いから十二年。
世界は平和を取り戻した。
しかし、人々が語り継ぐ英雄の名は、本名ではない。
「古流斬」。
それは、一人の少年が戦場で名乗ったコードネーム。
本当の名を知る者は、ごくわずかだった。
⸻
雨が降る墓地。
墓石には静かに刻まれている。
黒のラン
享年二十七歳。
墓の前で花を供える一人の女性。
黒のはるか。
「もう十二年経ったね……ラン。」
その隣には、一人の少年が立っていた。
「お母さん。」
「この人が父さん?」
はるかは優しく頷く。
「ああ。」
「でも世界のみんなは、お父さんを『古流斬』って名前で知ってる。」
少年は墓石を見つめる。
「古流斬……。」
「父さんは、そんなにすごい人だったの?」
「世界を救った英雄だよ。」
「でも私にとっては……大切な家族だった。」
少年は静かに手を合わせた。
その名は――
黒のユーマ。
英雄・黒のランの息子。
そして、新たな時代を生きる少年だった。その頃。
誰も近づかない山奥。
崩れ果てた神殿の地下深く。
何本もの黒い鎖が一本、また一本と音を立てて砕けていく。
パキッ――。
バキンッ。
静寂だった空間に、一人の男の笑い声が響いた。
「……そうか。」
「ようやく死んだか。」
男はゆっくりと目を開ける。
長い年月、封印され続けた肉体が静かに動き出す。
「十二年……か。」
床には無数の封印陣。
その中央には、一つの名が刻まれていた。
――傲慢。
男はそれを見つめ、小さく笑う。
「なるほど。」
「私を封じていたのは、お前だったか。」
「傲慢。」
「だから、お前が死んだ今……封印も消えた。」
最後の鎖が砕け散る。
男の足元から赤い血が流れ出し、まるで意思を持つように形を変えていく。
一人。
また一人。
男と同じ姿をした分身が現れる。
男は静かに腕を広げた。
「七つ大罪は終わった。」
「だが……私は違う。」
「私は七つ大罪ではない。」
「私は――虚飾。」
「はぐれ者。」
「誰にも従わず。」
「誰にも支配されない。」
[傲慢殺した奴死に
「今度は、この世界が私を知る番だ。」
その笑い声が、静かな闇へと響き渡った。第3章はぐれもの編
コメント
1件
読みました!「英雄の遺した名」というタイトル、十二年の時を経て英雄の墓前での家族の情景と、封印が解ける“虚飾”の対比がすごく良いですね。黒のランという英雄が「古流斬」として語り継がれる一方で、遺された妻・息子の視点が切ない。そして最後の「傲慢が死んだから封印が消えた」という因果関係には背筋がゾクっとしました。新章への期待が一気に高まるプロローグです!