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~2年後~
研究は進み、僕が求めていた半導体に近いてきていた。この半導体が出来上がれば、僕の夢に近く大きな一歩になる。今日僕は鈴原教授とともに、ある研究者に会いにいく。彼はロボットと人の関係のあり方について研究をしており、僕の夢を実現させるための必要な話が聞けるのではないかということだそうだ。
彼の名前は常田といい、都市はずれの一軒家に住んで研究を行なっている。彼の家に着くと、教授がこう言った。
「常田さんは物腰柔くていい人なんだけど、自分の研究の話になると一気にヒートアップするから圧倒されないようにね。」
会う前にそんな話聞いたら緊張してしまうじゃないか。そう思いつつ家のドアをノックした。すると家の中から、常田さんが出てきた。
「お久しぶりです鈴原教授。と、お連れさんですね。どうぞお入りください。」
常田さんは初老の男性で家の中はあまり新しいものはないように見える。居間に案内されると常田さんが僕たちにコーヒーを持ってきてくれた。常田さんが口を開く。
「今日はお互いの研究内容についてのお話でしたね。鈴原教授から話は聞いていますよ。半導体の研究をされているのですね。まだ若いのにとても素晴らしい研究をなされている。」
「僕の研究内容を見てもらっていたのですね。ありがとうございます。」
「まだ課題はあるみたいですね。でもこの短期間でここまでの結果が出ているのであれば、きっと半導体の完成は近いでしょう。」
にこやかに話す常田さん。確かに教授から聞いていたとおりの人柄だ。しかし急に彼の笑顔が消え、こう話し始めた。
「正直なところ、私が和也くんに聞きたいのは研究の話じゃなくてね。和也くんの夢の話を聞きたいんですよ。」
なるほど。教授は僕の夢についても常田さんに話していたらしい。
「私はね。もう40年近くロボットについて研究をしてきた。その中で私が一番力を注いだ研究が人間とロボットの関係についての研究です。正直答えはまだ見つかってません。その分私は和也くんに期待している。私の研究の答えを示してくれるのではないかと思ってね。」
「期待してくださるのは嬉しいです。でも僕の夢が叶ったとき、常田先生の研究の答えが出るというのは、どういうことですか。」
「和也くんの夢は感情のあるロボットを世の中に溢れさせたいというものでしたよね。その夢が叶うということは、人間とロボットが真に一緒に暮らし始めるということ。その世界がどうなるかが、私の研究の答えなのです。」
「そういうことでしたか。その世界の実現のためにも早く半導体を完成させないといけませんね。」
僕がこう返すと常田さんは頷いた。ここまでの会話は予想通りだ。