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「・・・これは何です?」
「あれだよ、卒業文集に載せる卒業生からの言葉?というか3年間、部活をやってきてのことを書くやつ。あるだろ?」
ある。そうか、自分が書かないといけないやつだ。
家に帰るとそのまま机の上に紙を出してペンを持った。
「・・・何を書けばいいのか」
しばらく考えるのだけれど、結局、自分がどうだったのかを書けばいいのだからそんなに大したことはないのだけれど。
「やっぱり大会の事とかそれに向けての事とか・・・」
ではない気がする。なんかもっと違うことを思っている。こう考える理由としてあるのはきっと、高校入学時点の僕が、卒業時に大学へ進学するということを決めたことの大きな要素になっているから。
「だと思う」
そんな独り言を言いながら書き始めると割とすんなり書き上げ、次の日には提出することが出来た。
そうしてついにやってきた卒業式。中学の時の卒業とは違って、なんというか「感動」というよりも「次のステージへ」というようなイメージが強いのが印象的だった。
それは校長先生、保護者代表、生徒代表の話している端にそれを感じるようなものがいくつもついていたような、そんな気がするからかもしれない。
式が終わると教室へ。担任の先生からの話が待っている。
そう思っていたのだけれど。
「卒業おめでとう。〝要領よくやってくれ〟僕から言えることはこれだけ」
本当にそれだけで終わった。他のクラスは先生が話をしているのだけれど、何だろうか、この短さは。
その後、部活に向かう。一応、関本先生と後輩が出迎えてくれてはいたものの、実は卒業式が終わったからといって部活が終わったわけではない。
大学に行く手前までは部活に出たほうがいいと先生に言われていたからで。当然、卒業式の後もいつも通りの練習が待っていた。
そしていつも通り練習が終わり、一応、自分の荷物を少しまとめ、カバンに入れる。体育館を出ていつものように玄関に向かい、自分の靴を手に取った時、後ろから声をかけられた。
「おい、真本」
「はい?」
振り返るとそこには国語担当の先生、神野先生が居た。どうしたのだろうか?先生は確か剣道部の顧問。武道場はこことは別のところにあるのだけど。
「お前の書いた、卒業文集。一番出来がよかったぞ」
それだけ言って先生はどこかに行ってしまった。まさかこれを言うために待ち構えてたというわけでもなさそう。たまたま見つけたから声をかけられたのかもしれない。
こうして僕は大学に向かう引っ越しの日を迎えることになった。
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