主。
主。
主。
主。
Q.「愛してる。」というのはあなたにとってどんな言葉ですか?
A.それは、俺にとって大好きな彼を壊してしまう言葉です。
問われた質問に目を伏せて 内なる激情を抑えながらそう答えた俺は、考えにふける
もしも俺が「愛してる。」を口にしたらどうなるだろう
いつも屈託なく笑う可愛らしい彼は、 俺の言葉を拒絶するか受け入れるかすると思うけど
彼が俺を受け入れようが受け入れまいが、 俺の重すぎる愛はいずれ彼を壊して押し潰してしまうに違いない
そのたった一言で誰よりも大切な彼を 俺の底なし沼のような狂愛に引き摺り込まないように、 俺はこの気持ちを言葉にしないのだ
だから、“愛してる。”とは言えない。
Mz
At
Mz
At
Mz
二人で楽しいおしゃべりを満喫したカフェから家路を辿っている俺は、 帰るためには電車に乗る必要がある俺を 見送ってくれるらしいMzと一緒に駅に向かって歩いていた
いつも通りニコニコと微笑みながらMzと会話をしている俺であるが、 その脳内は現在たった一つの事柄で埋め尽くされている
At
カフェで俺がミルクとシロップを取るために席を外した時、 Mzが俺の背中に吐き捨てた言葉がいつまでも頭の中でリフレインして、 その声は俺の思考回路を惑わせる
At
At
At
At
そんなことを一人で考えながらMzの隣を歩いていると、 彼が不意に足を止め、俺もそれに合わせて立ち止まる
何やら大きな葛藤を抱えているような顔で 彼が一つ大きなため息をついたので、俺はMzの体調が心配になった
At
Mz
At
At
Mz
At
At
Mz
At
俺の素朴な疑問に彼は「うっ」と言葉を詰まらせると、 少しうつむき加減で俺の質問に答えを返してきた
Mz
At
Mz
At
予想外の方向からの攻撃に 俺は思わず自分には似合わない間抜けな声をあげてしまう
確かに俺はMzのことがそういう意味でも好きであるし、 彼をぼーっと見つめることなど日常茶飯事に他ならないので、 今この瞬間俺が彼を見つめていたんだとしても何ら不思議はない
いつも通り「何言ってんのさ、気のせいだよw」と 誤魔化して仕舞えばよかったものを、まだ思考が追いついていなかった俺は 馬鹿正直に彼の言葉にわかりやすく反応してしまった
At
ちょっとだけ頬がじわりと赤く染まった俺の顔を 彼に見られるのが恥ずかしくて手で口元を抑えながらそっぽを向くと、 Mzは目を点にして俺のことを凝視しながら固まる
見たことのないMzの反応に俺は焦り、 ものすごい勢いで明後日の方向に向けて自身の視線を投げた
At
俺はあんな幻聴をしてしまうくらいMzのことが好きであるが、 Mzがそうではないことなどとっくのとうにわかりきっている
そもそも男が男に恋をする時点で珍しいことであるし、 俺がどんなに彼を口説いても彼はてんで無反応であることだって 今までの会話を思い返せば火を見るよりも明らかだ
これ以上気持ちがバレたら恋愛対象としてはおろか 彼にとっての仲のいい相方ですらいられなくなってしまう
そんな以前からたまに俺の脳裏をよぎっていた悪夢が 現実になりかけてしまっている今、俺にできることといえば さらにボロを出す前にさっさと彼の前から撤退することぐらいだ
At
At
At
At
Mzが俺の失言に何かコメントをする前に この場から離れようとした俺が早足で歩き出すと、 俺の右腕が何かに掴まれてぐいっと強い力で後ろに引かれる
At
俺が驚いて反射的に自分の右腕に目をやると、 それは地面に目線を落としているMzに がっちりとホールドされていて動けなくなってしまった
At
Mz
At
Mzのよくわからない言動に、 今度は俺が目を点にして彼のことを凝視しながら固まる番だ
脳みその処理が追いついていない俺が呆然している間に、 うつむいていた彼は顔を上げて俺の瞳を射抜く
その美しい蜂蜜色の瞳には見たことのないくらい真っ黒な執着が揺れていて、 俺は本能的に何かを感じて思わずひゅっと喉を鳴らす
彼の瞳に映り込んでいる激情は、俺の瞳が彼を見ている時に 無意識に揺らしてしまう狂愛を鏡写しにしていると説明されたら 納得してしまいそうなほどに重くて濃くてドロドロだった
自分がかなり重い自覚がある俺ですらそう思うくらい、 彼に埋め込まれた琥珀を染め上げるナニカは異常なまでに狂っていた
At
Mz
彼は俺の腕を捕らえている手に力を込め、 依存性のある愛という名の薬物を俺の体に注ぎ込むように握りしめる
合わせた目線から注がれる愛が、彼の手から伝わってくるその体温が、 こいつの危険性を今更俺に教えてきた
だけどもう既に彼に溺れてしまった俺は手遅れで、 注ぎ込まれた愛と熱は俺をさらなる狂愛へと飲み込んでいく
Mz
蜂蜜色の瞳をドロドロに溶かしている彼はそう言うが、 その瞳にはかすかな罪悪感が滲んでいた
そんな彼を見て笑った俺は、Mzにとある提案をする
At
Mz
At
Mz
At
Mz
At
Mz
さっきまでの真っ黒な本能を少しだけ抑えた彼は、 きっと俺の目論見に全くもって気がついていない
その瞳に揺れる激情を目にしてそれに感化されてさらに彼に堕とされた俺が、 彼に残るかすかな理性をぶち壊そうとしていることなど、 彼は微塵も予想していないのであろう
At
At
駅前広場から歩き出して数分後、Mzを連れて公園にやってきた俺は まずは彼を近くのベンチに座らせて自分もその隣に腰掛ける
At
Mz
At
Mz
At
Mz
Mz
Mz
At
Mz
全然動揺しないんだよ、と続けた彼に俺は笑いかけ、 その綺麗な顔面を覗き込みながら問いに問いを返す
At
Mz
At
At
At
Mz
Mz
At
Mz
Mz
At
Mz
At
At
Mz
At
俺の言葉を聞いたMzはしばらく考える素振りを見せるが、 結局思いつかなかったのかふるふると首を横に振る
At
Mz
At
Mz
At
Mz
答えが気になるのだろう、 ちょっとそわそわしている彼を可愛いだなんて思いながら俺は笑う
At
Mz
At
Mz
At
Mz
未だ不思議そうにしているMzの表情に 彼に対する愛おしさが込み上げてきて、 俺は自分の瞳をどろりと甘く熱く重く溶かしながら正解発表をする
At
目を見開いた彼の顔に手を滑らせて、俺は目を細めながら 火傷をしそうなほどまでに熱い溶けきったチョコレートを流し込むように 大好きなこいつの美しい二つの琥珀に俺の愛を流し込む
その耳元に唇を寄せて、俺は普段よりもいくらか低い声で囁いた
俺の言葉の意味、わかった?
Mz
At
At
At
俺が彼の頬に添えていた手を すっと動かしてその首筋をゆっくり撫ぜると、 彼はちょっとだけ体を跳ねさせてピクリと反応した
At
Mz
彼はその愛を他人に注いで拒絶されて閉じ込めるばかりで、 その身に自分のそれと同等の熱量の狂愛を注がれた経験がないのだろうか、 真っ赤になって瞳を潤ませながらこちらを見ている
そんな彼に対して浮かんだ言葉を、 俺は彼の耳元で声に温度計が壊れてしまいそうなほどまでに熱い 狂いきった恋心をのせて甘く色っぽく俺なりの最上級の愛の言葉を告げた
At
言葉の続きを聞いたMzの瞳が計り知れない真っ黒な狂愛と 隠しきれない歓喜の色で染まったのを見て、 俺の心は完全に掌握されて彼の元まで堕ちていく
俺の瞳に揺れる熱すぎる二色の炎を目にしてしまった彼の心も、 俺の思惑通りに俺の元まで堕ちてくる
第三者から見れば明らかに異常な執愛であるのに、 今この瞬間がどうしようもなく幸せで、 俺は愛おしくてやまない彼に甘く妖しく笑いかけた
「愛してる。」とは言えない俺は、
“狂おしいほど、欲しいかも。”って言うんです。
ーAtの場合ー
コメント
15件
全話通知来なくて、やっと今見た! テラーさん…私のこと 嫌いなんですか…?w 各ペア全然違う感じで!!! やばすぎるっ!? ほんとに虹椿ちゃんのかく 作品大好き…♡ 個人的にはあきぷりが良かった✨️ あとまぜのも好きだけど、、、 あのなにっ!?ムズムズする感じっ!? 尊いって…✨️ まじで毎回神作品をありがとう✨️
うおおおおおおきたぁぁぁぁ!この6人の中で一番攻めたんじゃない!?自分は重いからって線引きしちゃうからすれ違いが起きるんだよなぁぁぁ!でももうこれはね!告白ですよ告白!まぜ太くんの執着をみて少し照れてるの可愛いし、あっとくんに可愛いって言われてさっきまで余裕そうだったのが崩れていくまぜ太くんも可愛すぎる🤤
あっとくんのキタァ!! 独占力強め…うわぁぁぁ!凄い!!(語彙力消えました) 最後に、「お前のこと狂わしいほど欲しいかも」って言うのが またかっこいい… 全メンバー、それぞれの思いなどが想像出来て凄いです!