キミヤス
ベランダの外から、 けたたましい怨念の声が響く
虹雨(コウ)
キミヤス
虹雨(コウ)
キミヤス
地響きと風。 窓の外から唸るような音が鳴り響く
虹雨(コウ)
由貴
虹雨(コウ)
二つの怨霊がぶつかり、 部屋の中は暴風と化す
親と子の憎悪、 恨み、 怨念が ぶつかり合い、 部屋中に渦を巻く
虹雨(コウ)
由貴
虹雨(コウ)
他所でせえええええええええええ!!!!
虹雨の一喝が炸裂する。 その瞬間、 怨念の渦はベランダから吹き飛び、 夜が一気に明ける
夜が明けた頃、部屋には静けさだけが残っていた。
体力を使い果たした二人はそのまま、昼過ぎまで泥のように眠ることとなる──
夢の中。 山で遭難したあの日。 由貴は血まみれで倒れていた。
そこへ、影が降り立つ。 大きな男が、無言で由貴を抱き上げる
???
由貴
今でも思い出す、あの返事。 後悔してないとは言えないけど、 否定もできない。
幽霊が見えるようになり、 いろんなものを背負うことになった。 だけど──
由貴
由貴
目を覚ました由貴、ベッドの上。 横には虹雨が涎たらして寝ている
部屋は……異常なし。 あんなに暴れたのに窓も割れてないし、 家具も無事。 むしろ整ってる。 そして──
由貴
虹雨(コウ)
由貴
虹雨(コウ)
由貴は立ち上がって部屋を見渡す。 和室にも、浴室にも…… 何もいない。 全ての気配が消えていた。
由貴
虹雨(コウ)
虹雨も肌着姿で、ボクサーパンツ姿。 無言で部屋着を着る
ぐぅぅぅぅぅ……
虹雨(コウ)
由貴
虹雨(コウ)
由貴
するといい匂い。 目玉焼き、ベーコン、スープの香りが 台所から……
由貴
虹雨(コウ)
由貴
2人、ゆっくりとキッチンへ向かう