これは去年の冬のことだ
橋本優樹様 残念ながら不合格といたします。
優樹
はぁ…まあ受かるはずもないか
俺、橋本優樹は受験に失敗した。
テストの手応え、今までの模試からまぁ落ちるだろうとは思っていたが
それでもやはりショックだった。
優樹
お母さん、お父さんごめんなさい
優樹
浪人させてください!
優樹
もっと誠意をこめて言わなきゃ
俺は部屋で何度も口にした。
ガラガラ
優樹
お父さん、お母さん
優樹
落ちました。
優樹
だから、来…
父
おおそうか。じゃあ、滑り止めのA大学生となるんだな。
父
俺の後輩じゃないか笑
母
流石にM大は難しいわよね。でも、よく頑張ったわ!A大でも十分よ!
母
春から、A大生だね!入学式のスーツでも見に行きましょ!
優樹
…
俺の気持ちとは裏腹に両親は喜んでいた。
優樹
僕、M大落ちた。
元クラスメイト
そっか。
優樹
〇〇は?
元クラスメイト
受かった…
優樹
おめでとう
元クラスメイト
ありがとう
〇〇は受かったのか。
母
入学おめでとう!
優樹
ありがとう
こうして俺はA大生となった。
涼介
A大生?イン◯タ交換しよーぜ!
直也
俺も俺も!
俺は、早くも二人の友達ができた。
涼介
やっと、講義終わった!
直也
遊びに行こーぜ!
涼介
いいね!
涼介
優樹、お前も行かね?
優樹
いや、俺はいいよ。
涼介
用事?
優樹
授業の復習をしようかなと
涼介
真面目だなww
直也
大学生になったんだし、勉強はテスト前だけでいいだろ?
優樹
でも、僕頭悪いから単位落とすか不安で…
直也
それなら、俺先輩に知り合いいるから過去問取ってこようか?ノートとかも写させてもらえるし
優樹
あ、ありがとう
涼介
じゃあ、ちょっと遊びに行こーぜ!
涼介
たまには、息抜きも必要必要!
直也
俺らは息抜きばっかりだけどな笑
優樹
う、うん
そして、結局僕は流されるままに遊びに行った。
優樹
もう、9時か。
優樹
流石に勉強しないといけないよな。
優樹
よし、やるぞ!
父
優樹ー!ちょっと手伝ってくれ!
優樹
はーい
父
大学はどうだ?
優樹
楽しいよ。友達もできたし
父
そうだろう。父さんたちが大学生の時はな、本当遊んでばっかりだったな笑
父
大学のうちしかこんな遊べねーから遊んどくんだぞ!
優樹
はい
父
もっと、遅く帰ってきても何も言わないからな!もう大学生だし。
優樹
そうだね笑
こうして僕は、大学では友達と遊びふけ、家に帰っても少ししか勉強しない
そんな毎日が続いた。
そんなある日のことだ。
涼介
ごめん、俺今日遊べない。バイト入った。
直也
俺も先輩のにーちゃん家行くから、今日はパス
優樹
おっけー!じゃあね。
直也
またな。
涼介
またな。
優樹
自習でもするか。
優樹
一応教材は持ってきたし。
俺は一応少しは勉強しようと教材を毎日持ってきてた。
杏奈
…
優樹
うわぁ、えらい美人な女の人だな。
優樹
そんなこと言ってる場合じゃない!やらなきゃ!
優樹
カリカリカリ
優樹
仮面浪人だ…って思われないかな
そうして俺は教材を広げつつキョロキョロ辺りを見回した。
杏奈
ねぇ!
俺は慌ててノートで教材を隠す
優樹
な、なに?
杏奈
あなた、仮面浪人生?
優樹
い、いや
杏奈
正直に言ってくれていいから。
杏奈
わたしは否定しない
優樹
実はそうです。
杏奈
やっぱりね
杏奈
わたしもそうなの。
優樹
えっ?
杏奈
M大に落ちちゃって。
優樹
ぼ、僕も。
杏奈
よかったら一緒に勉強しない?
優樹
うん!もちろん!
それから僕は毎日放課後杏奈さんと自習室で閉館まで勉強するようになった。