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10年越しの復讐 -シーズン2-

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10年越しの復讐 -シーズン2-

3 - 10年越しの復讐 -シーズン2- 第3話

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2021年04月09日

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あるドヤ街の簡易宿所。

大柄な男が、のしのしと受付の前を通りすぎる。

受付のおばちゃん

おかえりー

大柄な男は『うん』と返事をした。

男性客

なんだい、あいつは宿泊費払わんのか?

受付のおばちゃん

え、あんたここじゃ新顔かい?

受付のおばちゃん

あの子の宿代は、もう貰ってるの

受付のおばちゃん

ね、原口君!

原口

うん

男性客

…この辺であのナリ。無一文にしか見えんがな

受付の女性は、小声で男性客に話しかけた。

受付のおばちゃん

あの子は、こわーい人が目をつけてんのよ

受付のおばちゃん

あんた、間違ってもあの子いじめんじゃないよ

男性客

おお…なるほど…くわばらくわばら…

受付のおばちゃん

今日もゆっくり休みなよ!原口君!

原口

うん

原口は、受付から自分の部屋へと向かった。

原口

(俺は、いつも寝る部屋が、ある)

原口

(ここの街のやつら、みんな毎日部屋探してる)

原口

(俺は、特別)

プルルルルル…

原口のズボンのポケットでスマホが鳴った。

男性客

…着信音?

男性客

あのガキ、スマホなんてもんも持ってんのか

受付のおばちゃん

あれは…首輪みたいなもんよ

バタン!

原口

だだだ誰…あ、姉御か…!?

原口は、スマホの画面に表示された名前を見て

一瞬がっかりしたような表情をしてから、

通話ボタンを押した。

原口

…もしもし?

安藤

よお…久しぶりだなあ…原口ぃ…

原口

…久しぶり…電話、嬉しいぞ!

原口

姉御の、次くらいに、嬉しい!げぇへへっ!

安藤

嬉しいとか今どうでもいいんだよ…

安藤

テメェにぶっ殺してほしい女がいるんだ…

原口

ぶ、ぶ、ぶっ殺してほしい!?

原口

俺!俺の力、必要なんだな!?

安藤

そうだ。いいかよく聞けよ?

安藤

10年前、俺たち3人でブチ犯した女がいたよな?

安藤

一ノ瀬里穂…思い出せるか?

原口は安藤の言葉を聞いて、

一瞬沈黙するとブツブツと話し始めた。

原口

…一ノ瀬里穂。1×歳。▽▽学校〇年。両親と3人家族。■■町〇丁目※番地。20××年〇月△日、■曜日、晴れ。制服、白い靴下、ピンクの下着上下、ポニーテール、右手薬指に透明の絆創膏。20××年〇月□日、雨、裸、俺、15回殴る、黒瀬、8回殴る、安藤22回殴る、痣の場所──

安藤

うるせぇ!そこまで思い出せって言ってねえ!!

安藤

あのな、一ノ瀬里穂は俺たちを殺そうとしてんだよ

原口

ええ!ど、どうして、里穂が俺たちを殺す?

安藤

…お前、記憶以外の頭の出来は相変わらずだな

安藤

お前にゃわからないかもしれないが…

安藤

あいつは自分が暴行された恨みを晴らす気だ

安藤

俺はあいつにハメられたんだぞ!

安藤

思い出したら腹立ってきたぁ!!

安藤

あのブス女にも復讐してやるからなぁあ!!

原口

ブ、ブス、女…?

安藤

…興奮しすぎて話が逸れたが…

安藤

つまり、一ノ瀬里穂は俺たちを恨んでるってことだ

原口

…俺、わからない

原口

俺は、姉御やみんなに褒められたくて

原口

みんなが教えてくれたように里穂を痛めつけた

原口

それなのに!恨まれるとかおかしい!ムカつく!

安藤

…ああ、そうだよなあ、ムカつくよなあ

安藤

あのな、お前の姉御は里穂が大嫌いなんだよ

安藤

もし里穂が今元気だってわかれば

安藤

姉御は俺らを嫌いになるよ…な?

原口

き、嫌い!嫌われるの、嫌だ!

安藤

だからよお、尚更里穂は死んだほうが良いよなぁ…

安藤

姉御も里穂がいなけりゃ喜ぶぜぇ…?

原口

…里穂殺す…姉御喜ぶ…俺、やる…

安藤

よおおおし…いい子だぁ…

安藤

…だけどな、このことは姉御には内緒だぜ

安藤

姉御に心配させないためにこっそりやるんだ…

原口

わかった!こっそり!里穂を殺す!

原口は、記憶の中にある里穂の住所を頼りに、

里穂の自宅へとやってきた。

原口

こ、こ、こ、ここが、一ノ瀬の家のはず…

原口は、一ノ瀬家の表札をじっと見つめる。

原口

この形、一ノ瀬里穂の名前と同じ、漢字

原口

この家で合ってる

原口

里穂、出て来い

…ピンポーン…

原口は、里穂の家のインターフォンを鳴らした。

原口

…………

ピンポーン…ピンポーン…

原口

…………

ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポーン…

原口

出てこない!おかしい!

原口

ここを押せば人が出るのに!

原口

くそっ!くそっ!

そんな時、原口は安藤からの言いつけを思い出した。

『俺と黒瀬がやられた事件について』

『ネットに記事が出てるから読んでおけ』

原口

事件の、記事…どこだ?

原口

…わからない

原口

か、漢字は難しい…

原口

…でも…これ、この字、見たことある

原口

これは『よしむらはると』だ…この名前は…

原口

吉村春人。19××年△月□日生まれ、血液型■型。〇〇県××町生まれ。■■大学卒業。20××年、新聞社記者になる。20××年結婚、新婚旅行は──

原口

──20××年、神宮寺家の隠し子疑惑を調べた

原口

20××年〇月◇日、里穂の暴行事件の記事を書いた

原口

こいつは、里穂のことも隠し子のことも詳しい

原口

…だ、だけど、それがなんだ?

原口

それで、一ノ瀬の居場所は、わからない…?

原口

…安藤に、聞く

原口

もしもし?

安藤

…お前さあ、気軽にかけてんじゃねーよ

安藤

こっちは、簡単に電話取れねーんだぞ?

原口

里穂、ピンポン押しても出ない

安藤

…あ?そりゃおめえ…いないんじゃねーか?

安藤

姿くらませたのかもな…2人ハメりゃあ無理ねえわ

安藤

いいか、どこに里穂がいるか突き止めろ

原口

か、考えるのは俺には無理…

原口

で、で、でも、覚えてること話すの、得意

原口は、吉村について覚えていることを

安藤に話した。

安藤

吉村って、あの神宮寺家にちゃちゃ入れた野郎か!

安藤

思い出したぞ!あいつも俺らを恨んでる…

安藤

へへへ…嫁さんの事、相当悔しかったみたいだからな…

安藤

なーるほど…里穂と吉村…

安藤

恨みを抱えたもの同士が結託しててもおかしくない…

安藤

お前、なかなかいい推理じゃねえか!

原口

ほ、ほ、ほ、褒められた!嬉しい!

安藤

吉村の情報で、まだ覚えていることはあるか?

原口

覚えてる、10年前のこと全部

原口

あいつの家で見たもの、全部覚えてる

安藤

そうか、そりゃ良かった

安藤

あいつには子供がいただろ。それで脅せ

安藤

『子供と里穂を交換だ』ってなあ…へへへ…

原口

20××年〇月△日、吉村の両親からの手紙──

原口

──『春人、翔ちゃんは元気ですか。まだまだミルクおむつとお金もかかるし、夜泣きも大変でしょう。いつでも助けに行きますからね』

原口

『馬鹿な両親だと思うかもしれないですが、今から翔ちゃんとランドセルを選ぶのが楽しみなのです』

原口

『翔ちゃんは、■■小学校に通うだろうと言っていましたね。今から入学式が楽しみです』

原口

…翔ちゃんは、■■小学校に通う

原口

…吉村翔、20××年■月生まれ、今小学生

原口

行く、俺、翔の小学校行く…

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コメント

6

ユーザー

自分たちが先に人に恨まれるような事したくせに、何でいざその復讐をされて酷い目に遭うと逆恨みするのかな

ユーザー

完全に頭が病んでますね。かなり強力な権力が絡んでますね。

ユーザー

記憶力えぐすぎ笑

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