君になりたくて

ー放課後 涌井家ー

針を刺してしまい、光の親指から出血した。

2人は春高に向けてお守りを作るため、裁縫中だ。

ー春高 地区大会 前日ー

部員たちは「はい」と言って陽真の周りに集まる。

明里は片手を上げて声を上げた。

すると光は紙袋を持って、明里の隣に並んだ。

明里は凌と修也にお守りを手渡した。

凌は明里の手をじっと見つめた。

凌は優しく微笑んで明里の頭を撫でた。

じーん、と心が熱くなるのを感じた。

明里は2人の元を離れ、遠くで待つ一颯の元へ歩み寄った。

一颯は明里からお守りを受け取った。

一颯は表情を固くして頷いた。

明里は一颯の顔を覗き込んで口を開く。

一颯は目を丸くさせた。

去年、尾瀬先輩と初めて会った時は

尾瀬先輩はバレーが嫌いで

"楽しくない"って言ってたのに＿＿

光は陽真にお守りを渡した。

陽真はお守りをギュッと優しく握りしめた。

光はギュッと陽真の手を握った。

すると陽真は光の背中を押した。

遠くで2人の様子を見ている優成とバチッと目が合った。

陽真は優成のところへ走っていく光の背中をじっと見つめていた。

光は優成にお守りを手渡した。

優成は頬を緩ませ、お守りを見つめていた。

光は頬を赤くさせた。

優成は光に歩み寄った。

試合開始まで15時間を切った。