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イタリアは口を固く閉ざしていた。

だが、震える手が膝を掴み、爪が食い込むほどに力を込めていた。

頭の中では葛藤が渦を巻いていた。

イタリア(イタリア王国)

(言っちゃだめ。日本は……ioの友達。でも…でも…)

視線を上げると、イギリスの瞳が無慈悲に光っていた。

イギリス

さあ、時間をかけるつもりはありませんよ。

イタリア(イタリア王国)

…。

イタリア(イタリア王国)

……わかったよ…。

掠れた声が喉の奥から漏れ出す。

イタリア(イタリア王国)

言う…言うから……。

イタリア(イタリア王国)

だから…お願い……もう…これ以上は……。

イギリス

言うなら早くしてください。

イタリア(イタリア王国)

…。

イタリア(イタリア王国)

実は…日本は…

それから、イタリアは語り始めた。

時に躊躇いながら、それでも止められずに、知っている限りを。

日本の行動。裏でのやりとり…

止まらなかった。

自分が今、何をしているのか、理解していながら。

――日本を、売っている。

降伏したあの日。日本を、そしてドイツを見捨てて連合国に寝返った、あの時と同じだ。

やがて、すべてを話し終えた。

イタリア(イタリア王国)

ゔぅ…グスッ

イタリア(イタリア王国)

ごめん……ごめん、日本……。

イタリア(イタリア王国)

ごめんなさい…。

言葉を吐くたびに胸が裂けそうだった。

イギリス

なるほど。よく分かりました。

イギリスは、満足げにメモを閉じた。

イギリス

ご協力、感謝します。

イタリア王国さん。

最後まで徹底的に追い詰めた。

イタリア(イタリア王国)

…ゔっ…。

(ガチャ)

イタリアは手で口を抑え、そのまま会議室をあとにした。

会議室を出た瞬間、イタリアは崩れ落ちるように壁にもたれかかった。

脚は震え、喉の奥が焼けるように痛んでいた。

呼吸がうまくできない。なのに、喉の奥から言葉が漏れ出る。

イタリア(イタリア王国)

バカ……ioはバカだ…ッ!

自分の頭を何度も引きちぎるようにかきむしる。

イタリア(イタリア王国)

なんで言った!?

イタリア(イタリア王国)

なんで喋っちゃったんだよォ!!

声が廊下に響いた。

誰かに聞かれても構わなかった。

もう何もかも手遅れだった。

イタリア(イタリア王国)

言ったらダメなのに……ッ。

イタリア(イタリア王国)

日本は信じてくれてたのに……!!

壁に拳を叩きつけた。

痛みはすぐに来なかった。

次に殴ったときには、皮膚が割れ、血が滲んだ。

イタリア(イタリア王国)

違うんだよ……違うんだって……!

喚きながら、床に倒れ込む。

拳を握りしめ、胃の中のものを吐き出しそうになるほど泣きじゃくった。

イタリア(イタリア王国)

ioはただ……怖かったんだ…あの時と……同じだよ……ッ!

あの時と、同じだった。

仲間を裏切って、自分の身を守ったあの日。

イタリア(イタリア王国)

またやっちゃった……また……!

肩を震わせ、声にならない嗚咽を漏らし続ける。

背中が上下し、喉が擦れて、声が潰れても、泣き続けた。

イタリア(イタリア王国)

なんで…なんで…こんなに情けないの!ioは……ッ!

涙と涎でぐちゃぐちゃになった顔で、床に突っ伏す。

イタリア(イタリア王国)

日本……ごめん……ごめん、ごめん、ごめん……ッ……!!

叫んでも、泣いても、何も戻らない。

その場でただ呻き、もだえ苦しむしかできなかった。

イタリア(イタリア王国)

ぅ…あ…

イタリア(イタリア王国)

あ゛…ぁあ゛…

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!

会議室にいても、イタリアの泣き声が聞こえる。

イギリスは、椅子に深く腰を沈めたまま、わずかに目を伏せた。

冷たい目に、微かに光が宿る。

イギリス

…。

イギリス

ふぅー…。

しばらく何も言わず、ただ静かに息を整える。

だが――指先は震え、抑えきれない。

イギリス

ふふっ…。

イギリス

ふふふっ…。

口元が、わずかに吊り上がる。

その口角は徐々に、不自然なほどに上がっていく。

薄ら笑い。いや、快感に近い。

イギリス

…こんな感覚、いつぶりでしょうか。

低く、かすれたような声。

誰に言うでもなく、誰に聞かせるでもなく、ただ漏れ出た。

それはまるで、封じ込めていた“自分”をゆっくり解き放つようだった。

イギリス

情報を握って、相手を揺さぶる……。

イギリス

言葉の裏に罠を仕込み、引きずり出す……。

イギリス

そして…屈服させる。

指先がピクリと動いた。

それは、まるで切っ先を研ぐ仕草のようにも見えた。

イギリス

ふふ……まるで、戦時中の駆け引きではないですかっ!

(ガタッ!)

背筋を震わせながら、イギリスは静かに立ち上がる。

イギリス

おっと…私としたことが…。

そして、テーブルに置かれた紅茶に目を落とすと、少しだけ首を傾けた。

イギリス

変わりませんね……結局、私も。

その目には、喜びと興奮、そして暗く冷たいものが宿っていた。

まるで、獲物を追い詰めた猟犬が、止めの瞬間を想像して悦に浸っているように。

イギリス

ふふっふふふ…

イギリスはゆっくりと室内を歩く。

床に響く靴音すら、何かを踏みしめるようで――気味が悪い。

イギリス

たった数言の問いかけで、相手が壊れていく様を見るのは……実に、愉快。

テーブルに指を滑らせる。

まるで戦地の地図をなぞるように。

イギリス

日本について、これでようやく次の一手が打てます。

イギリス

徹底的に楽しませてもらいますよ。ふふっ…。

にやけながら快感を抑える姿、もはや…ただのイギリスではなかった。

(つづく)

貴方(日帝)に会いたくて…。

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