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コメント
1件
第2試練、始まりましたね。死んだ人の記憶が薄れていく設定が本当に怖くて切なかったです。菜々美と穂乃花が別チームになってしまった場面、胸がぎゅっとなりました。クイズのルールも単純そうでいて、誰を代表に立たせるかという選択が重くのしかかってくる…。それぞれのチームがどう動くのか、すごく気になります。続きを楽しみにしています🌷
第1試練が終わっても、白い部屋にはしばらく誰の声もなかった。
助かった――
その事実だけが、36人の身体に遅れて染み込んでいく。
けれど、安堵はすぐに別のものへ変わった。
床に残った血の跡。
運ばれていった身体。
最後に響いた悲鳴。
たしかに、ここにあったはずだった。
生徒の誰か
生徒の誰か
生徒の誰か
言葉が、途中で途切れる。
菜々美は息を呑んだ。
凪津美。
玖玖瑠。
雷良。
菜々美には、3人の名前も声も、最後の表情も、まだはっきり残っている。
凪津美が「助かったはずなのに」と泣いていたこと。
玖玖瑠が「ウサコちゃあん」と叫んだこと。
雷良が「いい子になりますから」と震えていたこと。
全部、覚えている。
それなのに、周囲の記憶では、3人の輪郭が少しずつ白く滲んでいるように見えた。
新倉穂乃花
新倉穂乃花
菜々美は答えられなかった。
このゲームは、人を殺すだけではない。
死んだ後も、その人がここにいたという感覚まで削っていく。
【SYSTEM】
ロボットを正面に見て、左側の壁の中央が音もなく横へ滑った。
その先には、動く歩道のように進み続ける床が現れた。
【SYSTEM】
誰も逆らわなかった。
逆らえばどうなるか、全員が知っている。
生徒たちは順に、開いた壁の向こうへ進んだ。
動く床は、人が走るほどの速さで進む。
1分ほど直進すると、新たな入口に着いた。
全員が着くと、正面の壁がスライドして開いた。
菜々美たちは次の間へ入っていく。
生島菜々美
広さは先ほどの“白の間”と変わらない。
床。
壁。
天井。
どれも同じ無機質な素材で作られている。
だが、違う点が3つあった。
1つ目は、天井の無数の穴から照射される光の色。
白ではない。
灰色だった。
部屋全体が、薄い灰を被ったように沈んで見える。
2つ目は、天井から吊られた巨大なスクリーンが一面の壁を覆っていること。
3つ目は、中央に高さ1メートルほどの演壇が9つ、等間隔で円形に並んでいることだった。
各演壇にはAからIまでの文字が刻まれ、その上に半透明のタッチパネルが浮いていた。
全員が入ったのを見計らったように、冷たい声が響く。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
生徒たちが、互いの顔を見合わせる。
次は何をさせられるのか。
今度は誰が死ぬのか。
不安が、また部屋に広がっていく。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
その言葉に、菜々美は息を止めた。
反映。
死んだ3人が、ただの人数調整に使われたかのような言い方だった。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
生徒たちは、言われるままに携帯端末を確認した。
菜々美の画面には、Cと表示されていた。
ほどなく、巨大なスクリーンにチーム分けが映し出される。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
菜々美は、自分のチームの名前を見つめた。
工藤珂瑛来。
土橋怜那。
三島海凜。
名前を知っている同級生だ。
けれど今は、ただの同級生ではない。
同じチーム。
同じ運命を背負わされた相手。
そして、穂乃花は別のチームだった。
Gチーム。
生島菜々美
新倉穂乃花
生島菜々美
たったそれだけの会話だった。
けれど、2人の間に見えない壁ができたように感じた。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
生徒たちの間に、低いざわめきが広がる。
4人で相談できる。
それだけなら、第1試練より優しいようにも思える。
だが、代表者だけが命を懸ける。
その仕組みに気づき、菜々美の背筋が冷えた。
正解がわからない時、誰を死ぬかもしれない場所へ立たせるのか。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
淡々とした声に、生徒たちの表情が強張る。
その中で、生徒ナンバー19・田所孔美が小さく手を挙げた。
真面目な優等生タイプ。
年間100冊以上の本を読む、生粋のインドア派だった。
田所孔美
【SYSTEM】
田所孔美
何人かの生徒が息を呑んだ。
たしかに、そうだ。
3問。
4人。
1問ごとに1人脱落しても、最後に1人残る。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
田所孔美
おそらく、他の生徒たちも理解した。
この試練は、1人だけが強ければいいわけではない。
知識。
判断力。
説得力。
誰を代表に立たせるかという選択。
すべてが命に直結する。
菜々美は、Cチームの名前をもう一度見た。
工藤珂瑛来。
土橋怜那。
三島海凜。
そして、自分。
誰かが答え、間違えれば死ぬ。
3問すべて間違えれば、全員が死ぬ。
菜々美の指先が、わずかに冷たくなった。
第1試練は、運だった。
けれど今度は違う。
知恵を絞れと、声は言った。
だが、本当に試されるのは純粋な知恵だけではない。
誰を信じるか。
誰に背負わせるか。
誰を、危険な場所へ送り出すか。
その選択そのものが、すでに試練だった。
#推理
鬼霧宗作
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