賽原保育園 階段の踊り場
健
健
健
僕は陽子さんにペコリと頭を下げた。
陽子
少しうつむいてフルフルと頭を振る陽子さん。
やっぱり声を聞かないと、どういう意味か分かりづらい。
健
健
健
健
陽子
こちらをじっと見つめる陽子さん。
陽子
腕を引いてその場から離れた。
陽子
教室の黒板の前に立ち、チョークをもって僕の方を見る陽子さん。
健
健
陽子
陽子さんの手で、黒板に文字が書かれていく。
私の声、本当に嫌じゃなかった?
健
健
陽子
陽子
ごめん、かんじだとわからないよね
わたしのこえ、ほんとうにいやじゃなかった?
健
健
陽子
陽子
ほめてくれてありがとう
でも、じぶんではどうしてもそうおもえないの
健
わたしのおかあさん、すごくナイーブなひとで
わたしがわらうたび、なくたびにおこって
「だまれ」ってどなってきた
だから、わたしはなにもはなせなくなった
いまでもおかあさんがおこるすがたが
わたしが人のまえではなそうとするたび
うたおうとするたびにうかんでくるの
健
もとのせかいにもどるためにも、はやくなおそうとはおもってるけど
じぶんでもどうしたらいいかわからないの
健
陽子
そうか、いってなかったっけ
わたし、ほんとうはしんでないの
健
ぐあいがわるくてもかぞくにいえなくて
それでびょうきがおもくなって、からだじゅういたくなって
そしてきがついたら、たましいだけここにいたの
いつまでもここにいたら体がしんじゃうから
もどるなら早めにしなさいっていわれてるけど
健
陽子
おかあさんがこわくなくなったら、かえりたい
ザック先生
陽子
突然教室の外から声がして、陽子さんはビクッと振り返った。
ザック先生
ザック先生
健
鬼塚先生
鬼塚先生
愛斗
優
桜
桜
ザック先生
ザック先生
鬼塚先生
鬼塚先生
鬼塚先生
鬼塚先生
陽子
陽子は鬼塚先生に会釈して、ザック先生とその場を離れて行った。
ザック先生は、職員室に私を連れてきた。
普段園長先生が座る席の、一番上の引き出しを開けると
古びた手鏡が出てきた。
ザック先生
ザック先生
ザック先生
ザック先生
そう言って先生は、私に手鏡を差し出した。
陽子
陽子
陽子
陽子
陽子
ザック先生
ザック先生
ザック先生
ザック先生
ザック先生
陽子
陽子
陽子
ザック先生
ザック先生
手鏡越しに見えたのは、小児病棟らしく壁に装飾のされた病室だった。
そこのベッドに寝ていたのは、私の体。
それに縋って、シクシク泣いているのは……
陽子の母親
陽子の母親
陽子の母親
陽子の母親
陽子
陽子の母親
陽子の母親
陽子の母親
陽子の母親
陽子の母親
陽子の母親
陽子の母親
陽子
陽子の母親
陽子の母親
陽子の母親
陽子の母親
陽子の母親
陽子の母親
陽子の母親
陽子の母親
陽子
陽子
陽子
陽子
ザック先生
陽子
陽子
陽子
ザック先生
ザック先生
陽子
陽子
陽子
陽子
コメント
1件