康
龍樹ぃー!
康
俺ってかっこいいかぁ?
龍樹
んだよ急に……
康
答えろよー!
康
ほらほら、俺の顔をよく見てみろよ!
龍樹
お前の顔がかっこいいかって?
龍樹
うーん……
龍樹
龍樹
顔は……まあ、中の上ぐらい?
龍樹
ま、でもお前性格の時点でモテねえとは思うよ
康
おい最後の方余計だろ
龍樹
んでなんだよ
康
ああ、龍樹。「木村鈴音」って子しってるか?
龍樹
えーっと……隣のクラスの子?
康
合ってるけど違うんだなー
龍樹
どういうことだよ
康
「学校のマドンナ」の方が合ってるかな
龍樹
で、その子がなんだよ
康
俺……
康
康
鈴音に恋したかもしれない…
龍樹
あっそ
龍樹
てか親しくもない子を呼び捨てにすんなよキモいぞ
康
マドンナだし、絶対狙ってる男子多いと思うんだよ
康
だから、彼女に少しでも覚えてもらえるぐらいの顔してるかなって
康
てか、龍樹はマドンナとかに興味ねーの?めっちゃ美人なのに
康
あそっか龍樹ペラペラ好きだっけ
龍樹
ペラペラって言うな二次元と言え
龍樹
てか、ほんとに好きなのかよ
康
ああ、もちろん
龍樹
んじゃあ、どこがいいんだよ
康
まず、超美人だろ?
康
んでー……
康
……
龍樹
結局、顔かよ
康
あ、あと、彼女から香る爽やかな香水の香り
龍樹
気持ち悪…
康
あーいつ告ろうかなー
龍樹
(あぁ、疲れたな…… )
初音
龍樹!
龍樹
んあ、初音?どうした?
初音
龍樹の部活帰り?一緒に帰らない?
龍樹
ああ、いいよ
初音
初音
学校で、康と何話してたの?
龍樹
え?いや、別に大層なことは……
初音
木村鈴音の話、してたの?
龍樹
え……?なんでそのこと……
初音
単刀直入に言うよ
初音
彼女には手を出すな
龍樹
は?
初音
龍樹は知らない?彼女の噂
龍樹
噂?なんだそれ
初音
彼女に恋をしたら最後……
初音
死ぬ
龍樹
なんだそれ…一体、どういう噂なんだよ
初音
どういう仕組みかはわからないけど、彼女に恋をした男子は殆ど死んでる
龍樹
何で…
初音
何か、子供の頃のトラウマがあって、大の男嫌いになったとか聞いたことある
龍樹
嘘だろ
初音
嘘じゃないからアンタに言ってるの
初音
康に警告しときな。危ないってさ
龍樹
じゃあ初音が言えば…
初音
アイツ、あたしのこと嫌いでしょ
初音
それに、一番アイツのことを引き止められるのは龍樹、アンタだけ
龍樹
なあ、康……
康
んあ、龍樹じゃぁん!どした?
龍樹
マドンナの…話。どうした?
康
なんだよ!龍樹も気になんじゃんかよぉー
康
実は今日の放課後、呼び出して告るんだよ
龍樹
ああ、そう。成功するといいな
康
お!じゃ、待ってろよ!良い報告するからよ!
龍樹
(あんなの、嘘…だよな)
康
たつき
龍樹
ん?何
康
たのむ たすけて
龍樹
どうした!?
龍樹
お前の家に行けばいいか?
康
たすけt
龍樹
康?
龍樹
入るぞ?
龍樹
康?なんだよ、助け、てって……
龍樹
な!?
そこには刃物でギタギタにされ血だらけになった康が倒れていた。
龍樹
康!?おい、康!!
龍樹
頼む!!反応してくれ!頼むから…!!
龍樹
は、初音が言っていたのは…本当だったのか……!!
初音のことを信じて、康のことを守れなかった悔しさや悲しさで涙がとめどなく溢れ出す。
龍樹
ううぅ……ゴホッゴホッ…気持ち悪い…
嗅いだことのない悪臭で、つい咳き込んでしまう。
気持ち悪さが全身を包み込む。
ただ、
爽やかな香りが微かにしたような気がした。