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少女達の声がする
何もかもが崩れたような……
いや
しかし
だんだんと、治ってきた
わかる
理解るぞ
そうだ
ここは、新城賢太郎邸だ
そして、そこに居る人たちは…
……か
……ですか
大丈夫ですか?
加賀春樹
新城秋穂
加賀春樹
新城賢太郎
加賀春樹
新城秋穂
新城秋穂
新城貴恵
新城賢太郎
加賀春樹
新城賢太郎
加賀春樹
いつも形すら掴ませぬこの男が 家内や母親から嗜められている姿を見るのは愉快で、なんとも新鮮であった
陰鬱な印象から一転して 僕は徐々に明朗とした気分になっていた
私達は客室に向かった
新城綾香
新城綾乃
客室は一階にある
そのため ウェーブのかかった階段を降り ホールに至る
そこで がやがやと騒々しい声がした
隣を歩いていた新城さんは立ち止まり その様子を窺った
僕も自然に目をやると 相手側もこちらに気付いたようで 2人は駆け寄ってきた
金田直斗
金田涼子
新城賢太郎
金田直斗
金田直斗
男は快活そうに歯を見せて笑う
一体、この人たちは誰なんだろうか?
加賀春樹
新城賢太郎
新城さんが少し言い淀んだ
何かあるのだろうか
金田直斗
金田直斗
金田直斗
金田直斗
金田涼子
金田直斗
金田涼子
金田涼子
加賀春樹
加賀春樹
金田直斗
金田涼子
新城聡太郎
新城聡太郎
その時、いつの間にか長身で白髪の老人がこちらを凄んで立っていた
僕は面食らって少し身を引いた
見ると、その老人の腕をスーツにネクタイといった出立ちの男が掴んでいる
またまた、見知らぬ者の登場だ
新城聡太郎
新居宗介
新城聡太郎
新城賢太郎
新居宗介
新城賢太郎
新城聡太郎
加賀春樹
金田直斗
新城賢太郎
新城賢太郎
新城賢太郎
新居宗介
加賀春樹
金田直斗
金田と名乗った男は会釈した
それに倣って礼をする
新城聡太郎
新城聡太郎
金田直斗
金田はあからさまに動揺した
お金……?
一体なんのことだ?
夫の焦燥を隠すかのように すかさず、金田涼子が反論した
金田涼子
僕はその様子をヒヤヒヤしながら見ていたが、聡太郎はニヤリとして言い放った
新城聡太郎
金田涼子
新城聡太郎
金田涼子
今や金田夫妻は 新城賢太郎の父親という聡太郎によって心を見透かされていた
好奇心を抑えきれず なんのことなのかを尋ねることにした
加賀春樹
新城聡太郎
新城賢太郎
新居宗介
新居という男が鋭い声をあげる
新城聡太郎
新城聡太郎
新居宗介
新城聡太郎
新城聡太郎
新城聡太郎
新居宗介
新城聡太郎
新居宗介
加賀春樹
新城聡太郎
新城聡太郎
聡太郎はまたニヤリと笑い
大声でこういった
新城聡太郎
加賀春樹
新城聡太郎
金田直斗
金田涼子
金田涼子
涼子の悲痛な叫びが響く
しかし それはホール内にこだましてもすぐに泡のように消えてしまった
むしろその叫びこそが 如実に目的を示してしまっていた
その反応を楽しんでいるのか 聡太郎は大笑いをした
新城聡太郎
新城聡太郎
新居という執事に指を指す
新城聡太郎
新城賢太郎に指を指す
新城聡太郎
新城賢太郎
金田直斗
金田涼子
各々が静まり返ってしまった
僕はどう返したものか分からず その様子を見ているしかなかった
新居が言葉を出した
新居宗介
新城聡太郎
新居宗介
新城聡太郎
聡太郎は馬鹿にしたように見返した
それからこちらを見て 意地の悪そうな顔で吐き捨てた
新城聡太郎
新城聡太郎
新城聡太郎
新城賢太郎
加賀春樹
この邸宅は……聡太郎が建てたのか
確かに、一攫千金で財をなして建てなければこれほどの豪邸は立たぬだろう
一学者が巨万の富を得ているのは滅多にあるはずがないのだ
そして その資金源となる財宝がこの邸宅内に安置されている
これを狙う金田夫妻という客人や 新城家内部の者たち 執事である新居宗介
なるほど、つまり……
新城聡太郎
新城聡太郎
新城聡太郎
金田直斗
声は消え入る
ようやく事態が飲み込めてきた
誰もがこの男の遺産を狙う立場にあるということなのだ
だからこそ この男は高圧的になり、周囲の人間を信用しようとはしない
そして 遺産に関する話をしたがらないのだ
僕に話したのは 恐らく、この状況に対する半ば自棄になった態度の現れだろう
嫌な雰囲気だった
先程まで 異界に迷ったような錯覚を覚えていたものの、今では随分と下世話で俗的な話に成り下がっている
しかし 今はそちらの方が安心感を覚える
と、そこで唐突に新城さんが口を開いた
新城賢太郎
新城賢太郎
新城聡太郎
新城賢太郎
新城賢太郎
新城賢太郎
新城聡太郎
聡太郎は両手をあげておどけた
新城聡太郎
新居宗介
怒りで少し声が震えている
心配になって目で追っていたが
やがて 新居は聡太郎を伴って消えた
残された私達に会話はなかった
ホールを抜けて、長い廊下にまた出る
床には絨毯が敷かれている
これも、聡太郎のお金で……
そんな嫌な考えを振り切り 視線を前に移した
横目で金田夫妻を窺うと 幾分と憔悴している
あれだけ 露骨に金に執心しているようなことを言われると、心身ともに疲れるだろう
前を歩く 新城賢太郎の背中を見る
肩幅が広く、がっしりとしている
落ち着き払った足取りで 悠々と進むその仕草に、いつもの飄々とした雰囲気があった
しかし どことなく元気もなさそうに見えた
それは 自身の印象でしかないが……
無意味な推量をするうちに 新城は立ち止まって、目的の客室についた事を告げた
新城賢太郎
加賀春樹
新城賢太郎
新城賢太郎
加賀春樹
加賀春樹
新城賢太郎
金田直斗
金田直斗
金田涼子
加賀春樹
新城賢太郎
……
どっと疲れてしまった
備え付けのシャワールームへ向かう
身を清めて 即座にベッドに転がり込む
ふかふかで居心地が良かった
すぐに眠れそうだった
しかし 頭の中では色々なことが渦巻く
新城夫妻、その娘であるあの双子、新城老夫婦、金田夫妻、新居という執事
この人間達の間に軋轢を生んでいる 新城聡太郎の見つけたと言う財宝 それがこの邸宅に……
そしていま 上階では聡太郎の財産を巡る話し合いが行われている
財産はこの邸宅自体を構えるほどある その額、約1000億円と言っていた
とんでもない額である
皆が意識するのも当然なのだ
当然……
そう思いながら 僕は意欲的になどなれない
客人にチャンスがあろうとなかろうと 身近にいる者達と敵対しながら 金を取り合うゲーム
以前からそういった人同士の揉め事に関わるくらいなら、こちらから願い下げだと言う考えでいる
だから、この問題については 少し意味も変わってくるが新城さんの言った通り全くもって無関係の立場なのだ
無関係ではある それはそうだが、一方で人間心理には興味が湧いてきている
新城賢太郎のいわゆるお気に入りとしてここに来ているのだから、それなりに大学でも心理学は嗜んでいる
不謹慎ながら、その知的好奇心が渦中の問題のなかにいる人々の心について目が向き始めてしまっている
それを考え出すと、眠れない
加賀春樹
加賀春樹
僕はため息をついた
飲み物でも取ろうと顔を上げる
その時
???
加賀春樹
目の前に見知らぬ男がいた
顔に皺が刻まれて、柔和な笑みを湛えている
高価そうなスーツに白い手袋
彼は一体……
???
加賀春樹
???
???
加賀春樹
加賀春樹
???
加賀春樹
客室の扉は内側から鍵がかけられる 無理に外そうとすれば音が鳴るはずなのである
つまり ここに居ること自体がおかしい
一体どうやって入ったのだ
???
加賀春樹
???
加賀春樹
???
加賀春樹
???
加賀春樹
???
???
加賀春樹
???
加賀春樹
???
加賀春樹
僕は恐怖した
この男は確実にここの執事などではないだろう
ずっと隠れていた未知の男
思考も全く読めなかった
???
???
加賀春樹
ありえない
考えていたことが 全くそのまま読み取られるなんて
絶対にありえない!!
???
???
加賀春樹
???
加賀春樹
???
加賀春樹
こいつの、正体
それは何だ?
???
???
加賀春樹
???
加賀春樹
???
加賀春樹
ガチャ
男はそのまま クローゼットに入っていってしまった
ガチャ
クローゼットの扉が閉まる
僕は呆気に取られた
しばらく立ち竦んでいたが 慌ててその扉を開ける
……が
加賀春樹
加賀春樹
男の姿は
どこにも見当たらなかった