「どうせ、時間が経ったら関係も自然に修復してるだろ。」 かつて、誰かがそう言っていた。 本当に、頭悪い発言だよな。
そう言ったのは、紛れもない俺だ。
いやまあ、....俺が世界一の国なのは事実だし、そこに疑問や不信は抱いていないけれど、 ....俺は、俺を過信し過ぎたのかもしれない。
どんな大国でも、 自然に勝てる訳なんてない。
日本は自然災害が多い、勿論知っていた。 地震というものは恐ろしい。勿論知っている。 でも、まさか、...今だなんて思わないだろ。
いつまでも、いつまでも、そのような言い訳を続けて、 自分に反吐が出るが、言い訳はやめられなかった。
責任から逃れたい。 逃れられない。 考えているうちに、「責任」とはなんの責任なのかも分からなくなる。
俺が、日本を一人にした責任だ。
.....もう、何も分からないけれど、 ただ、ただ、
あいつを、 どうしようもないくらい孤独で、 どうしようもないくらい弱くて強いアイツを、 ...今すぐに、抱きしめて、
「ごめん」
ただそれだけ、言いたい。
アメリカ
....そう言いながら、部屋に入る。
...一瞬、幻覚だと思った。
確かに、そこに、日本が居た。
花や折り紙、...その他諸々の品々と見覚えのある袴に身を包んで、 ベッドの上で静かに座っている、
....日ノ丸の、彼が、居た。
日本
今すぐに、飛んで抱きつきに行きたかった。 だけど、俺が抱きつきに行くよりも、
日本が抱きついてくるスピードの方が、圧倒的に早かった。
日本
アメリカ
俺はびっくりした。 他の国々もびっくりしていた。 日本という国は、あまりボディタッチの激しくない国民性だから、日本の方から抱きついてくるなんてめったになかった。
俺は、びっくりした半面、とても嬉しくなって、日本の頭を優しくなでた。
日本
今だ。 言わなきゃ。
日本
俺が口を開くよりも、またもや早く、日本がそう言った。
アメリカ
俺は意味が判らなかった。 日本が謝る必要なんて、ミリもないからだ。
アメリカ
日本
日本は、顔を俺の胸元に押し付けながら、 ぐしゃぐしゃの声で言葉を紡いだ。
日本
日本
日本
日本
日本
俺の心に、ズキッと、ヒビの入るような痛みが走った。
日本を追い詰めたのは?嫌っていると勘違いさせたのは? 俺だ。 日本の父さんを殺したのは? 日帝も、江戸も殺したのは? 俺じゃん
謝りたかった。 今すぐに、土下座してでも。 ...でも、何故か、俺の身体は動かなかった。
日本
日本
日本
...俺の心に、また、痛みが走った。 だけど、これは”あの”痛みじゃなかった。
心を”射抜かれた”ときの痛みだ。
俺は、日本を、...強く抱きしめた。
アメリカ
アメリカ
涙がもろそうな俺だが、今は不思議と涙は来なかった。 代わりに、大量の感じたことのない”気持ち”が押し寄せて、頭がこんがらがっている。 ...だけど、言うべき言葉だけは、脳の中に道しるべが置いてあるように、するする出てきた。
”こっちだ” そう、脳の中のナニカが俺の神経を言葉へと導いていく。
アメリカ
アメリカ
日本は、「うぅ」という情けない声も出さなくなった。 だけど、未だ俺の胸元に頭を押し付けて、ズビズビ言っている。
途端に、周りの景色が鮮明に見えるようになった。 国達は、固まって、俺達の方を見ている。
イタリアとドイツは二人で「よかった」と繰り返しながら泣いている。 極東組は、お互い抱きつきながら俺たちの方をまじまじと見ている。
すると、日本は俺の胸元から頭を上げ、 手で目をこすった後、皆の方を向いて話し始めた。
日本
ずずっ、と一回。
日本
日本
日本は、また目から涙をこぼして、 「すみません」と弱々しい声で言ってから、両手で顔を覆い泣き始めた。
そこに、パラオが歩み寄って、日本の背中をさする。
パラオ
日本は、小さく頷いた。
パラオ
パラオ
その一言で、耐えられなくなった国達が、
「おかえり~!!」 だとか、 「やっと起きた」 「遅いぞ」 「お前なら起きると思ってた」 だとか、 ヘンに場を盛り上げながら、日本の所へ群がった。
日本は、突然の襲撃(?)と勢いに頭をくらくらさせていた。 だけど、...まんざらでもないようすだった。
確かに、みんな、笑い合っていた。
日帝が死んだときは、 誰も、こんな、悲しまなかったのに。
コメント
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まじで神作品ありがとうございます…!!!!!🥺🥺アメリカの葛藤してる時とか、考えすぎて分からなくなる感じも現実的ですごい引き込まれました!!!💖✨日本治ってよかった…!!!😭✨
うっわぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁぁぁ涙腺がぁぁっぁあっぁっぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ