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………

わからない…

なんで部屋にこもってるのか

なんで部屋から出たくないのか

わからない…

いや、忘れた

部屋にこもってる理由も

部屋から出たくない理由も

忘れた…

忘れたくないことも

忘れちゃいけないことも

忘れた…

全部忘れた…

……………

???

ジ……

何かきこえる…

???

ジュン…

誰だろう…

???

ジュン、起きてる…?

ジュン、起きてる?

ジュン

…。

ジュンに声を掛ける母に対し、 ジュンは布団にくるまり 黙り込んでいた

……

今日は8月10日、
お祭りみたいよ

お母さんとまわらないかい?

そう母はカーテンを開け、 窓の外を眺めながらジュンに話した

ジュン

…。

しかし、ジュンは布団にくるまった まま返事をしなかった

外の空気が吸えていいわよ…

あと、ご飯ドアの前に置いたから
食べていいからね…

母はそう言ってカーテンを閉め、 ジュンの部屋を出た

ジュン

…。

…。

母はどんよりとした姿でリビングに 入って行った

どうだ、ジュンの様子は

父ははっぴを着ながら母に聞いた

いつもと変わりませんよ、

そうか、

父は残念そうな顔をしてそう言った

あれから丁度1年経ったのか…

はい…

ジュンだってもう中学3年生

来年にはもう卒業だ

もう大人になって立ち直れる頃だろう

そうかしら…

そうだったらいいわね…

いや、そうするのが俺らの仕事の1つでもあるだろう

そうですね…

父はそう言うと玄関に向かった

それじゃあ俺は行ってくる

はい、お気を付けて

「ガチャ」

「バタンッ」

父は祭りの準備に向かった

はぁ…

母はぐったりとソファーに座り込んだ

ジュン…

何を考えて何を思ってるの…

母さん、心配で心配で、

生きてる心地がしないわ…

そう母は1人で呟いた

………

祭り…

『私と、一緒に、祭りを、 まわってください…!』

祭り、まわる…

『本当に!約束してくれる?!』

『ああ、約束するよ』

約束…

祭りの約束…

忘れたくないこと…

忘れちゃいけないこと…!

忘れたくない人…!

会いたい人…!

「タッタッタッ」

誰かが階段を降りて来る音が 廊下に響き、リビングまで届いていた

ジュン…?

ジュン

…。

なんとジュンが部屋から出てきた

ジュン!

すると母はジュンに抱き着いて 泣き始めた

ジュン

か、母さん…

ジュン…!もう、どうなるかと…

ジュン

ご、ごめん、母さん

ジュンは母を突き放した

ジュン…?

ジュン

僕、行かないといけない場所が、
ある、と思うから…

ジュン

ちょっと、で、出掛けて、くる…

まっ

するとジュンは急いで家を出て行った

置いて行かないで…

母は手を伸ばしながらそう言った

ジュン

はぁ、はぁ、

ジュン

(誰だろう、会いたい人って…)

ジュン

(約束、誰とした…)

ジュンはいろいろと考えながら 提灯で灯された夜道を 走っていた

この辺りには屋台がなく提灯が飾ってあるだけだ

少し進んだ先の一本道には屋台が ズラっと並んでいて、

一本道を真っ直ぐ進んだ先には 神社がある

ジュン

(忘れたくない人…)

ジュン

(忘れちゃいけないこと…!)

???

ジュン…?

ジュン

…?

ジュンは突然、すれ違った人に 声を掛けられた

???

お前、ジュンだよな?

ジュン

え、あ、その

???

俺だよ俺俺!

ヒカル

ヒカルだよ!
覚えてるよな?!

ジュン

ヒカル…さん?

ヒカル

そうそう!
ってか、なんでさん呼び?

ジュン

え、いや…

ジュンは目をものすごく泳がせた

ヒカル

お前、今まで何してたんだー?

ジュン

いや、今、い、急いでるんで…

ヒカル

そー言わずに、
ちょっと世間話でもしよーぜ!

そう言ってヒカルはジュンの 腕を掴んだ

ジュン

や、やめて…ください

ヒカル

おいーなんだよぉ

ヒカル

昔みたいに仲良くしてくれよー

ヒカル

ま、昔っつってもそんな
経ってないかー

ジュン

(昔…?)

ジュン

(誰だろう…?
全然覚えてない…)

ジュン

ひ、人違いじゃ、ないですか…

ヒカル

なんだよ、その言い方…

ヒカル

だいたい何様なんだよお前

ジュン

い、痛い…

だんだんヒカルのジュンの腕を掴む 力が強くなった

ヒカル

なぁ…お前今まで何してたんだよ

ヒカル

俺らが声掛けても無視するしよぉ

ジュン

は、離して…

ヒカル

どうせあの事で記憶喪失とか
抜かしてんだろぉ

ジュン

あの事…

ヒカル

ああ、あの事だよ
1年前のよぉ

ヒカル

あー、そんな事言っても
覚えてねぇかぁ…

ヒカル

記憶喪失だもんなぁ

ヒカル

仕方ない仕方ない…

ジュン

痛っ…

ヒカルの掴む力が どんどん強くなってく

ジュン

(1年前…)

ジュン

(いったい僕に
何があったんだ…?)

ヒカル

お前が守るんじゃなかったのかよ

ジュン

(守る…何を…)

ジュン

い、痛いです…

ヒカル

あぁ?

ジュン

い、い、

ジュン

痛いって!

ジュンはヒカルの手を払った

ヒカル

…!!

ジュンは神社の方に 走り出した

ヒカル

おい、待てよ…

ヒカル

逃げんなよ…

ヒカル

ずりぃなぁ、お前は…

ヒカル

俺だって逃げてぇのによぉ…

そう呟くとヒカルはその場に 座り込んだ

ジュンは屋台や提灯の明かりに 照らされた一本道を走り続けた

ジュン

(うわ、人がいっぱいいる…)

必死に走っているジュンに 周りの人は少し冷たい視線を 向けていた

???

あの走ってる子って、
飯間さんのお宅の子よね

???

確かに…
もう元気になったのかしら

???

あれ、ジュン先輩じゃね?

???

ジュンくん?

???

あれは、ジュン、暗黒世界に導かれしものと呼ばれた…
ジュンなのか…!

???

あんたが勝手に呼んでた
だけでしょ

???

飯間くん…!?

???

なぁなぁ、あれジュンじゃね

???

ほんとだ!あれ!
元気になったのか!

すれ違いざまにジュンに対しての コソコソ話が聞こえてくる

ジュン

(なんだよみんなして
1年前1年前って…)

ジュン

(いったい1年前に何があったって
言うんだよ…)

ジュン

(思い出せない…)

ジュン

(思い出さなきゃ…!)

『ジュンくん!』

すると突然、ジュンの頭に女の子の 顔が過ぎった

ジュン

…!!

ジュンは思わず立ち止まってしまった

ジュン

(誰だろう…
思い出せない…)

???

大丈夫?

ジュン

…!

ジュンの前に突然 不思議な少女が現れた

見た目は小学6年生くらいの 不思議な少女は心配そうに ジュンの顔を見つめていた

ジュン

だ、大丈夫だよ…

不思議な少女

でもお兄さん、泣いてるよ?

ジュン

えっ、

なんとジュンの目からは 涙が流れていた

ジュン

なんで…

するとジュンはその場に座り込み、 大きな泣き声をあげだした

不思議な少女

よしよし…

不思議な少女はジュンの頭を 優しくそっと撫でた

不思議な少女

心配ないよ。わかってるから。

不思議な少女

兄さんの不安や抱えてること。

ジュン

え…?

するとジュンは違和感に気付き始めた

ジュン

(な、なんだよ、これ…)

なんと周りの人全員の動きが 止まっていた

ジュン

(人が、止まっている…)

ジュン

(いや、人だけじゃない…)

焼肉屋の燃え上がる炎や 公園に生えてる木の葉っぱ、

女性が落としたたこ焼き、 すくわれまいと飛び跳ねた金魚、 音さえも止まっている

ジュン

(時間が止まってる…?)

不思議な少女

どう?ちょっとは楽になった?

ジュン

うん…

不思議な少女

ほんと!よかったぁ

少女は嬉しそうに笑みを 浮かべていた

ジュン

あり、がとう…

不思議な少女

ううん!なんもだよ!

ジュンはもう1つの違和感に 気付き始めた

ジュン

な、なんで君は
動けるんだい…?

不思議な少女

そうだねぇー

不思議な少女

かんたんにいうとぉー

不思議な少女

兄さんを救いたいから!

ジュン

え?

ジュン

なんで…?

不思議な少女

それが、エマの使命でもあり、
約束でもあるからね…

ジュン

(使命、約束…?)

不思議な少女は寂しそうな 表情を浮かべた

ジュン

君、エマって言うのかい?

エマ

うん!

ジュン

エマちゃんね、覚えておくよ

エマ

ほんと!ありがと!

エマはまた元気そうな姿に戻った

エマ

そーいえば兄さん

エマ

なんで神社の方に向かって
走ってたの?

ジュン

えっ、

ジュン

(そういえば、何でだろう)

エマ

あの女の子に会いたいから…?

『えへへへ。』

するとまたジュンの頭に今度は 笑みを浮かべた女の子の 顔が過ぎった

ジュン

うん…

ジュン

誰だかはわからないけど、
なんとなく会わなきゃって、

ジュン

思い出さなきゃって、
思うんだ…

エマ

そうだよねぇ…

ジュン

それより、知ってるの?!
その人のこと…

エマ

エマの顔はまた寂しそうな表情を 浮かべた

エマ

知ってるよ…

ジュン

…?!

ジュン

それは本当かい?!

エマ

うん、ほんとーだよ

ジュン

教えてくれないか…?

ジュン

1年前、何があったのか

ジュン

なんで僕は記憶を
無くしてしまったのか

ジュン

今まであった事を
全部教えてくれ…

エマ

いいよ…

ジュン

ほんと!

エマ

でも、また兄さんの心を
傷付けてしまうかもしれない…

ジュン

…!

エマ

それでも、1年前のこの日
何があったか

エマ

知りたい…?

ジュンは少し不安になった

それでもジュンは唾を大きく飲み込み 覚悟を決めた

ジュン

うん…!

エマ

わかったよ

エマ

それじゃあ時間を巻き戻すよ!

エマ

彼女と初めて会う
あの日まで…!

ジュン

えっ、

ジュン

う、うわぁぁあ!

ジュン

な、なんだよこれっ!

ジュン

お、落ちてく…!

しかし、下は真っ暗で何も見えない

エマ

それじゃあ巻き戻すよ

エマ

彼女と初めて会う
『4月6日』まで…

ジュン

う、うわぁぁあ!

???

ジュンー

???

おーい

???

ジュンー!

???

起きろぉぉ!!

ジュン

えっっ!

ジュンは隣の席の 坊主頭の男に起こされた

???

お前朝から寝るって、
やばいな笑笑

ジュン

(ここは…)

ジュン

(学校…?)

???

そーいえば今日転校生
来るらしいねー

???

えー!来んの!
こんな田舎に!?

ヒカル

へぇー

ジュン

(ん?)

ジュン

(あの人は確か僕の腕を
掴んできた人だ…)

???

女?!男?!

???

なにぃーツグター
女だったら狙うのー?笑笑

ツグタ

いやぁ?まあ?もし仮に?
女だとして?可愛かったら?

ツグタ

狙ってあげないでも?
ないけどね!?

そう言うとヒカルはツグタの頭をガシッと掴んでこう言った

ヒカル

ハゲには無理だろ

ツグタ

おいぃ!

???

そー言ってるヒカルはどーなのよ

ポニーテールの女の子は ヒカルに聞いた

ヒカル

いやっ、転校生可愛いとか
ほとんど無いだろ笑笑

???

この学校に転校生とか
来たことないでしょ
何都会っ子ぶってんのよ

ヒカル

しかももう可愛いやつ居るし、
要らないだろ

???

え、それって誰のこと?

そう聞かれたヒカルはポニーテールの女の子の頭に手を乗せてこう言った

ヒカル

お前

???

はっ…?!

???

いや、ヒカル、
ちょっと顔がかっこいいからって、
私、そーゆーのに騙されないからね!

ポニーテールの女の子は少し顔を 赤くしていた

ヒカル

うん、だって冗談だもん

???

え、

ツグタ

え、ユリ、なにちょっと
落ち込んでんだよ笑笑

ユリ

え、いや、べ、別に!
照れてないし!

ツグタ

誰も照れてるとは言ってないだろ笑笑

ユリ

も、もーー!!

ユリ

これだから男って生き物は…

ジュン

(ヒカル、ツグタ、ユリ…)

ジュン

(駄目だ、全然思い出せない…)

???

ジュンくん、大丈夫?

ジュン

えっ、!

ジュンはポニーテールのメガネを 掛けた女の子に話しかけられて少し ビックリしてしまった

???

今日なんか元気なくない?

ジュン

え、いや、そそんな事ないですよ

???

なんで敬語なの?

ツグタ

なんだぁ!マコ!
ジュン今日元気ないのか!

ジュン

え、

ツグタとユリとマコは 心配そうにジュンの方を見た

???

それは恐らく、ダークマターによる
侵略のものだろう…

すると突然後ろの席に座っている 眼帯と指だけはみ出る手袋を付けた 男が喋りだした

???

いや、厨二病、
普通に風邪とかだろ

それに対し少し太ってる男が 話しかけた

厨二病

は、黙れ!腹にドラゴンの卵を
植え付けられし鬼神め!!

腹にドラゴンの卵を植え付けられし鬼神

はぁぁああん?!
黙れよ厨二病が!

ジュン

(『厨二病』、それに『腹にドラゴンの卵を植え付けられし鬼神』?!
そんな名前の奴が居るのか?!)

ジュン

(世界って広いな…)

ジュン

(ずっと部屋にこもってたからわからなかった…)

「ピーンポーン パーンポーン」

ジュン

(なんの音?!)

「ガラガラ」

チャイムの音がなり終わると同時に 誰かが教室の前側のドアから 入ってきた

山根先生

はーいみんな席に着いてー

クラスのみんな

はーい

みんなは先生に従い、席に着き始めた

山根先生

いやぁー今日から中学2年生としての
学校生活が始まりますねぇ

山根先生

2年生は中だるみの時期って
よく言われますし、みんなもハメを外しすぎないようにー

山根先生

でもいい意味では外してください

クラスのみんな

はーい

ジュン

(俺って確か、さっきまで
中学3年生だったよな…)

ジュン

(中学2年生ってことは本当に
戻ったのか…?)

山根先生

んー?ツグター
なんでそんなニコニコしてんのー?

ツグタ

え、いやぁそりゃあ

ツグタ

転校生が来るって言うからァ

山根先生

え、なんで知ってるの!

ツグタ

え、ユリが言ってましたよ

ユリ

ツグタ、あれ嘘よ笑笑

ツグタ

は、嘘なのかよ!

山根先生

いや、本当だわ

ユリ

え!本当なんですか!!

山根先生

うん

山根先生

じゃあ早速来てもらおうかしら

山根先生

アイナさん!
入ってきていいわよー

???

は、はい…

そう先生が呼ぶと女の子が前側の ドアから入ってきた

???

は、初めまして…

???

梅森アイナです…

クラスのみんな

か、可愛い…

アイナの綺麗なロングヘアと 可愛らしい顔付きにみんなが驚いた

ツグタ

ま、まじ、期待以上…

ユリ

え、惚れそう

ヒカル

ほーう…

厨二病

これは天界から導かれし
天使か?!

腹にドラゴンの卵を植え付けられし鬼神

普通に天使が来たって言えよ

ジュン

…!

みんながアイナの可愛さに純粋に 驚いている中、 ジュンだけは違う捉え方をしていた

ジュン

(あれって…)

『ジュンくん!』

星が降る夜に、彼女は笑っていた。

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