オーディションが終わり、何日が経過しただろう。
ピロンッ
鳴海
ん...?
鳴海
鳴海
オーディション結果のお知らせ⁉︎
私は気持ちが高揚した状態でメールを開いた。
鳴海
鳴海
えっ...
だが現実はそう甘くはないことを改めて痛感した。
鳴海
鳴海
不合格...
私の夢へのチャンスは途絶えたのだ。
私は絶望し、部屋から出ないようなことが暫く続いた。
その後、落ち着きを取り戻した私は学校に行くことにした。
鳴海
はぁ...
落ち着いたはいいものの、やはり思い出したくない。
鳴海
...よしっ‼︎
顔を両手で叩いて、私は教室の扉を開けた。
ガラガラ‼︎
鳴海
おっはよー‼︎
B太
おっ、久しぶりに来たな。
A美
もう待ちくたびれたよ‼︎
鳴海
ごめんごめん笑
鳴海
色々忙しくってさ...
B太
しっかし、お前もやるじゃん。急に大きな仕事が次々に来たんだろ?
A美
一気に有名人になって〜‼︎このこのぉ〜‼︎
鳴海
あ、あはは...そんなことないよ‼︎
不合格通知が来てから私は仕事がたくさん来たと嘘をついて休んでいた。
鳴海
....
B太
ん?どうした?
鳴海
い、いやぁ⁉︎何でもないよ‼︎
A美
ちょっと鳴海、疲れてんじゃないの?
鳴海
な、何で...⁉︎ほら、私は元気いっぱいだよ‼︎
私は両手で力こぶを作って上下に振ってみせた。
B太
空元気は身体に毒だぞ。
鳴海
だ、だから元気だって‼︎
するとA美は何か閃いたように私に提案をしてきた。
A美
じゃあさ、『透明人間』に見て貰えばいいんじゃない?
鳴海
とうめいにんげん...?
鳴海
何?その都市伝説的なやつ...
それは屋上に住み、悩みを解決してくれるという変な噂話だった。
鳴海
バカバカしい。そんなのある訳ないじゃん笑
B太
俺も音和に一票。
A美
ひどっ‼︎
A美
でも『透明人間』に会った人は必ず幸せになれるらしいんだよ‼︎
A美
だから騙されたと思って一回行ってみなよ‼︎
鳴海
...分かったよ。じゃあ今日の放課後行ってみるよ。
私はA美の押しに負け、放課後に行ってみることにした。
放課後
HRが終わり帰ろうと教室を出た時、私はふと朝のことを思い出した。
鳴海
(屋上に行けば『透明人間』に会える...)
鳴海
ダメ元で行ってみるか...
屋上
屋上に辿り着くと、扉はガチガチに施錠されていた。
鳴海
えっ、何これ。絶対に無理じゃん。
開く訳ないと思ったが、一応私はレバーハンドルに手をかけてみた。
ガチャッ
鳴海
鳴海
ゑ。
鳴海
(いやいやいや‼︎鍵掛かってるじゃん‼︎なのに何で開くの⁉︎)
私は戸惑いながらも、ゆっくりと扉を開けた。
すると水色の髪をした女の子が体育座りで空を見ていた。
鳴海
(先客かな...?)
扉を閉めて、屋上へ足を踏み入れたとき女の子は私に気付きこう言った。
水鏡
さあ、君はどんな悩み事があるのかな?
鳴海
えっ...?
少し驚いたが、他とは違う存在感を放つ女の子を見て私は思った。
鳴海
まさか...
鳴海
鳴海
あなたが『透明人間』なの...?
水鏡
もっちろん‼︎私が校内噂ランキング堂々1位の水鏡 雫ちゃんだっ‼︎
その時、私は女の子の変な自己紹介が屋上全体に響き渡ったのを感じた。