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夕焼けの観覧車をただ見つめてる
増した光は私を突き刺す
海の見える、独りだけの空間で
ただ、円を描いた
「今日は独りだよ」
昨年まで、見つめ合えたのに
「何処に行ったの」
その先にあなたはいなくて
視線を泳がせて
街並みと、空を見る
この時間帯、残ってるのは
幸せな2人組、とか
笑顔溢れる家族連れで
あの日の、体育の授業を思い出してしまう
綺麗なあなたにはもうずっと
埃が溜まっていって
分解されてしまうから
「ねぇ、何て言ってくれたっけ」
って
もう分からない
くらいなら─────
……あと1歩
あと1歩…
あと1歩
その距離だったら
とめられたのかな
やめられたのかな
「ありがとう」
って最期まで
私に優しくしてくれたのに
その時間だけは
永遠であって欲しいのに
耳を劈いた
何かの折れる音
幸せが終わる音
命が壊れる音
まだ
脳にこびりついて、離さない
全部、全部忘れてしまうのに
こんな辛いことは覚えてるなんて
まるで、これは私への
「報い」
とでも
言うように
吊るした紐は、不自然に切れて
丁度、道路工事が始まって
線路は、分厚く凍って
海に行けないほど雨が降って
また、廻る、廻る、
あなたを追えないまま、廻る
苦しい、苦しい、から
もう笑えないの
……見本を見せたのは、私なのにね
夕焼けの観覧車に乗り込んで
沈んだ光は私を責める
海も、黒ずむ独りだけの空間で
ただ、円を描き終わる
橙が、紫、紺と変わって
海から────
夜空が顔を出す
窓から、見えるは
満天の夢
無数の塵が
光を反射して
淀んだ眼を照らし出す
それに呼応するように
街も火を灯して
願うならば
あなたの元へ
過去形の愛なんて要らないから
夜は晴る
あなたの笑顔のように
躊躇っていた、「前を向ける」ように
さようなら
さようなら
こんなに良い日に、別れを告げるの
暖かく、零れた哀を拭って
たった20分間で、大きく、円を描いて
きっと、この事実も薄れていく
ただこの先は
星に映えてる
あなたがいるから
「大丈夫」
って少し強がって
「ありがとう」
って教えた下手な笑顔で
優しく、地に堕ちる