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曲パロ『彗星列車のベルが鳴る』

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曲パロ『彗星列車のベルが鳴る』

7 - 第5話 エピローグ(srr視点)

♥

50

2023年06月12日

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一体どれくらいこの列車に乗っているだろう

1時間…いや もしかすると3時間はここに乗っているかもしれない

列車が線路を走っていく音しか聞こえない

少し孤独だけど、この後まふまふを 探しに行くのだと思えば、どうってことはない

そんなことを考えてさらに列車に 揺られていると、とある場所で 列車は動きを止めた

列車を降りると、そこには無限に続く野原と、中央に立つ一本の樹があった

今までの夜空のような景色とは違って、まるで昼のような青空が広がっていた

   

(ここは…、一体何なんだろう)

取り敢えず、俺は中央に立つ樹の元へ 行ってみることにした

   

(そういえば、俺ってなんでいなくなっちゃったんだっけ……)

何が原因とか、どこでどうやってとか そういうのがまったく思い出せない

気づいたら体が透明になっていて、暫くショックだったのをよく覚えている

そして気づいたら、あの場所にいて 目の前にはまふまふが寝ていた

今思えば、あいつは俺を自分の夢に呼んだのかもしれないな

   

……てか、改めて見ると大きいな、これ

そんなことを考えていると、樹の元に 辿り着いた

   

どうしてこんなところに樹が…?

ピカッ!!

そんなことを考えて樹に触れると 突然眩しい光が樹から出てきた

   

っ……!何これ…?

あまりの眩しさに、俺は両手で 目を覆った

俺はそこで意識がぷっつんと切れてしまって……

 

気がついたら転生していた

   

………

    

『ソラ』!

   

えっ、あ…何?

    

ちょっと手伝ってほしいの!

   

分かった……

俺は『ソラ』という別の人間として、別の人生を歩んでいた

一体何があってこんなことになったのかはわからない

でも確実に分かることは、俺は日本じゃない別の国で生まれ変わって、『そらるの人生』じゃない人生を歩んでいること

そして俺には『そらるの人生』の記憶がはっきり残ってることも

だから俺の頭の中には、『まふまふ』の 顔も、声も、何もかもがしっかりと 焼きついている

あの時2人で交わした約束通りに、もしかしたらまふまふも別の人生で 俺を探しているのかもしれない

   

(まあ、幸い見た目もそらると似てるし…)

   

(もしかしたら本当に、まふまふがここにいるかもな…)

それからしばらく経って、俺が 『ソラ』として生きることに慣れてきた頃

   

? ねぇ、この本って何?

    

あぁ、それ?

    

それはこの町に住んでる人たちみんなで撮った写真が貼ってあるの

    

みんな写真が好きだからね、こうやって保存しておくのよ

   

っ!!

   

(この町の人みんなってことは、もしかしたら…!)

そう考える前に、俺の手は その本を開いていた

   

(どこだ…?どこに………)

   

………あっ!

俺がめくったページに写っていたのは、とある1人の青年

白髪に赤色の目、そしてこの くしゃっと笑ったような表情……

   

(間違いない、まふまふだ…!)

   

あの、この人って……

    

ん?あぁ、ユキさん

   

ユキ、さん……

    

懐かしいわね、その写真

    

ユキさんが『まだ元気だったころ』のものかしら

   

は……?それってどういう……

    

実はユキさん、あなたが生まれてきたすぐ後くらいに

『病気で亡くなっちゃったのよ』

   

………は?

    

結構若い人だったんだけどねぇ

    

体が弱かったみたいだから……

    

……ソラ?

   

…………

   

(そうか、じゃあもうあいつは……)

俺がソラとして生き始めた頃には、もう何もかもが遅かったことを

俺はこの時思い知った

それから俺は、ソラの寿命が尽きるまで生きた

本当はあの時、まふまふの後を追って 死のうとも思った

でも、俺は弱かったから そんなことはできなかった

それに、『後を追う』なんて 俺があの時まふまふにして欲しく無かったことだ

だから多分、まふまふもそれを望まない

そう思ったから、俺はこの人生を 最期まで生き抜いた

そしてソラの人生が終わってから、また俺は別の世界で生まれ変わった

その時は、そらるの人生の記憶とソラの人生の記憶を持ったまま生まれ変われた

でも、その世界でもまふまふは見つからなくて

何度も何度も諦めようと思ったけど

どうしてもまふまふに会いたかったから

俺は諦めずに探し続けた

そして俺が『そらるの人生』を 終えてから、4度目の人生を迎えた

 

   

(忘れものも無いし……)

   

いってくる〜

『そらるの人生』を終えてから 4度目の人生

現在、俺は『空流』という 18歳の高校3年生として生活している

そして今日は、色々あって引っ越した先の高校に初めて行く日だ

   

(…ていうか、元々の活動名と本名一緒とか、偶然にしては凄すぎるでしょ…)

   

(しかも結構見た目も、あの時と変わらないし…)

   

(まふまふがもし活動名と本名同じだったら大変なことになりそー…ww)

と、そんな事を考えながら 俺は新しく通う学校に向かった

 

   

はぁ……なんか疲れた…

少し飛んで昼休み

俺は何故か、教室の前に人だかりをつくってしまった

しかもほとんど女子だ……

   

見てみて!あの人だよ!!例の転校生の男子って……

  

わ〜やばい!超かっこいいじゃん!!

   

(正直言って、ちょっとめんどくさくなってきた………)

このまま此処に居続けて、転校初日から教室の入り口を塞ぐわけにもいかない

   

(しょうがない、別の場所に行こう…)

俺は、昼休みになる前に案内された 屋上に早速入ることにした

本当は生徒会や教師以外、私用で使うことは無理らしいが…

   

(まあ今日は天気いいし、少しくらいいいよね…)

   

こら真冬!!廊下を走るな!!

   

すいませ〜ん!!

   

わっ…!?

すると下の階から、ものすごい声が聞こえて来た

   

(声からして、先生だろうけど…)

   

(びっくりした…早く入ろ……)

屋上に出ると、快晴が広がっていた

   

はぁ………疲れた…

初日からこんなんじゃ、卒業する頃にはどうなるのだろうか

そんなことを考えてしまったから、頭の中がグルグルしている

   

(……もし、この世界でもまふまふが見つからなかったとしたら)

   

(俺は、あいつを探し続けられない気がする…)

何度も何度も人生を繰り返して 沢山の失敗を重ねて来た

どの人生でも、まふまふは俺より先に 別の人生に行ってしまう

   

もうこのまま空流として、全部忘れて過ごしたいな……

ガチャっ!!

   

あ、あのぉっ……!

   

? はい……

突然ドアが開く音が聞こえたと思ったら 1人の男子が、息を切らしながら俺に話しかけた

   

っ!!

俺が声の聞こえた方へ振り向いた時、俺は思わず驚いて固まってしまった

   

え、えぇっと……

   

(まさかとは思うけど………)

細身で、肌が透き通るみたいに白くて、それと同じくらい真っ白な髪の毛

何より、あの星空の下で見た時のように輝く赤い瞳

   

…………『まふまふ』?

   

え…?

俺は無意識に、名前を呼んでいた

何年も見てきて、ここにくるまでの何十年も忘れたことのない顔を 俺が見間違えるわけがない

こいつは間違いなく、まふまふだ

   

っ…はい、まふまふですよ

   

…『そらるさん』

   

っ!!

   

……やっぱり、そうだった

その名前を呼ばれたのは、一体いつぶりだっただろうか

思わず笑みが溢れた俺とは反対に、 まふまふは涙を流していた

   

っ……うぅ…っ

   

やっと……やっと会えて……っ!!

   

ごめんね、たくさん待たせて……

   

っそらるさん…!そらるさん…!!

   

うん

まさかそんなに泣くなんて思わなかったな

   

ボク……っずっと待ってて…

   

うん…

あの時も、たくさん泣いてたもんな

   

何回も、何回も生まれ変わってて…っ

   

……っうん

あぁ…もう、そんなに泣かないでよ

   

これが、4回目で……!

   

見つけられて、っ本当によかったよぉ…

   

っ……うん…

俺まで泣いちゃうじゃん……

   

っ……!

段々と視界がぼやけていく

多分まふまふからみた俺は、 今情けなく泣いているんだろう

あの時と変わらないのは、 きっと俺も同じことだ

   

っ………

すると、まふまふは涙を拭って 俺に改めて向き合った

   

約束通り、見つけられましたよ

   

!!

そっか、思い出したんだな

あの時の、夢の中のこと

   

(夢なんて思い出せないって、嘘だったんだな……っ)

   

もう、そらるさん泣きすぎですよ〜

   

だって……っしょうがないじゃん…

そしてあの時と同じように、制服の袖で俺の涙を拭ってくれた

   

(…こういう優しいとこは、いつまでも変わらないままなんだな)

   

っ…まふまふ

   

はい、何ですか?

   

これからも、ずっと一緒にいる?

もうとっくに答えは分かりきってるけど、どうしても言葉で聞きたくて 俺はまふまふにそう聞いた

   

!!

   

もちろんですよ

   

ボクが貴方を待った分、ずっと一緒ですからね

   

っ…うん

   

うん……!

俺がまた泣き始めると、まふまふもまた泣いてしまった

   

っ……う…!

   

よかった…っ本当によかったぁ…!!

   

(結局、夢のことを忘れても、思い出しててよかった…)

   

(俺との約束、守ってくれて)

   

(ありがとうな、まふまふ……)

そのあとは、2人で屋上にうずくまって 一生分泣いた

本当は昼休みの終わりに鳴るチャイムも聞こえてたけど、聞こえないふりをした

だから、まふまふの同級生が見つけに来てくれるまで、2人でボロボロになって泣いていた

でも、その探しに来てくれた同級生の姿を見て、俺はしばらく泣くのを忘れて 固まっていた

後からまふまふがしてくれた説明によると、その同級生はどうやら天月と96猫の生まれ変わりのようで

2人とも記憶はないものの、声や性格は何一つ変わっていないのだとか

固まった俺を見たまふまふは 腹を抱えて笑っていた

もうちょっと早く説明してくれなかったかなとか、思うことはまぁまぁあるけど

せっかく歌い手仲間4人が集まったんだ

今この時間を大切に過ごしていきたいな

   

あ、おはようございます!そらるさん!

   

まふ、おはよう

あの屋上での出来事から、1ヶ月程経った

今日は4人で登校したいというまふの要望により、俺の家の前に集合になっていた

ちなみにまふまふを『まふ』と呼んでいるのは、今のまふまふの名前が『真冬』だから

まふまふもいいけど、『真冬』って名前もピッタリだ

   

あ、まふくんにそらるさん!

   

お〜2人ともおはよー!

   

あ、天ちゃん黒ちゃん!おはよう〜

それにしてもこの2人、まだ会って少しなのにすぐに仲良くなれたな

こういうところも、あの時と変わってない気がする

   

ってヤバっ!もうこんな時間!?
走っていかんと……!!

   

ほら、まふくんとそらるさんも早く!

   

分かった分かった、今行くから…

   

(朝からこんなに元気だなんて、羨ましいなぁ……)

   

まふく〜ん!

   

え、なに?

   

ほら、早く行かんとまた先生に怒られるで!

   

あっ、ちょ、ちょっと待って…

まふはどうやら考え事をしていたらしく、俺たちとは離れたところでぼーっとしていた

   

ほら早く行こう、まふ

   

っ!!

   

今行きます!

そう言って微笑んだまふは、何故かとても煌めいて見えた

   

(多分、日差しが強いせいかな……)

もしかしたら、列車に乗ったときに まふに伝えられなかった言葉を、この世界なら言えるかもしれない

俺は、まふのことを

 

「好きだ」ってことを

 

『エピローグ そらる視点』 fin

1週間後辺り、この作品の裏話を投稿しようと思います

興味がある方は見ていってください

曲パロ『彗星列車のベルが鳴る』

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コメント

4

ユーザー

うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!! そらるさん視点ありがとうございます! なるほど……そらるさんもまふくんを ずっとずっと……探して4回目でやっと 会えたんだね……😭 後追いしないでちゃんと人生の終わりまで 生きたのは偉すぎる……! 末永く幸せになりやがれください! 裏話楽しみに待ってます😊

ユーザー

そらるさん視点ありがとうございます! そらるさん、前の人生ではまふ君とすれ違っちゃってたんだ… でも、ちゃんと後追いせずに生き切ったのは偉すぎる…! それに4回目でようやく会えてよかった…!!( *´꒳​` ) これから2人には、離れ離れだった分末永く一緒にいてほしい!!w おお、裏話!楽しみにしていますっ!!

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