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死にたい

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死にたい

1 - 死にたい

♥

8

2020年06月12日

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斗真

ああ、死にたい。

仕事を持ち、妻を持ち、順風満帆かと思われた人生だったが

仕事で重大なミスを犯し、会社をクビになってから生きる心地がしなくなっていた

斗真

ロープを買ってきたものの、いざとなると行動に移せないな

その理由は死への恐怖からではなかった

斗真

「自害シタ者ハ輪廻転生カラ追放サレ、ソノ親族モマタ同様ニ無ニ帰ス」…か

斗真

要するに、自殺した奴とその家族は地獄よりもきつい思いをするってことか

斗真

ただの家系の言い伝えみたいなものだが

斗真

ガキの頃から言われてたせいか妙に信じちまう

斗真

俺にもまだ親がいるし一応な

そこで斗真はふと思いつく

斗真

ってことは他殺ならいいってことじゃないか?

思いつきを突き飛ばすかのように声が聞こえた

陽菜

ねぇーなんか最近構ってくれなくない?

妻がソファーに体を預けながら嫌味ったらしく言う

斗真

だから前にも言っただろ?仕事を無くして今は────

陽菜

貯金まだあるからいいじゃん

妻は俺が仕事をクビになったのを収入源が無くなったとしか思っていないようだ

陽菜

私に構ってくれないのもしかして浮気とかじゃないよね?

出会った頃は彼女の真っ直ぐな愛に惹かれ、付き合い、結婚をしたが、

陽菜

ねぇ聞いてる?

この前、俺のスマホをチェックし、女性の連絡先を次々と消していく所を見てしまった。

今では彼女はいわゆる「メンヘラ」という人種らしい

斗真

ああ、聞いてる。それで?

陽菜

だーかーらー
最近斗真が感じ悪いんだって

彼女の言葉を聞き流しつつ、俺はあることを思いついた

斗真

(俺が浮気をしている風に見せて彼女を怒らせて俺を殺させればいい)

普通ならありえないが、この妻なら有り得る

俺は早速準備に取り掛かった

斗真

───ってことなんだ

蒼太

とは言ってもな、それは俺に友達を殺せって言ってるようなものだろ?

斗真

その友達の最後の願いなんだ!

蒼太

共通の友人とはいえ「旦那さんが浮気してるっぽいよ!」とか言うだけで殺すか?普通

斗真

そこは心配いらない

蒼太

だがなぁー

斗真

やんねぇんなら本気で自殺するぞ?

蒼太

は?
でもそしたら家族まで悲惨なことになるかもなんだろ?

斗真

そこまでしても俺は死にたい

蒼太

そうか、こりゃ精神科行っても治んねえよな

斗真

ああ、

蒼太

そこまでするんならやるよ
俺もお前には天国に行くか、生まれ変わって欲しいもんな

斗真

ありがとう…

斗真

ふぅ、そろそろ帰ってもいいかな

蒼太から 「デマの情報話したぞ、携帯のきしむ音がして電話が切られた」 との連絡を受け取り、斗真は家に帰ろうとしていた。

斗真

(なんだろうな、この感じ)

斗真

(恐怖と言うより興奮だ)

やっと解放される。 そのワクワクが全身をなぞった

ガチャッ と、家の前の扉を開ける。 そこに立っていたのは、

斗真

陽菜…

斗真の顔が少しにやける

陽菜

斗真…遅かったね?
どこ行ってたの?

両手で血管が浮き出るほど強く 包丁を持っていた

斗真

い、いや別に

陽菜

いいんだ、そんなこと。

陽菜

ずーと一緒にいよっ?

包丁が真っ直ぐ斗真の腹めがけて突っ込んでくる。 それを斗真は受け入れる

グサッ

一瞬だったがスローに見えた

斗真

ブハッ、は、ハは

陽菜

っ!斗…真…が悪いんだよ…

斗真は玄関のドアにもたれながら陽菜を見る

陽菜は部屋に走り出す。 そして、リビングで椅子と斗真が買ってきたロープを持つと…

首を吊った

陽菜はロープを掻きむしる 首の血でロープが少し赤くなる

陽菜

グッ、ガ、ギッ!

しばらくたって 陽菜"だったもの" はユラユラ揺れていた

斗真はその様子をボーッと見ていた

斗真

(俺…も もう、すぐ…)

斗真は真っ赤に彩られた玄関で死んだ

斗真

(?)

斗真

(ここは?)

そこには陽菜も神も悪魔さえもいなかった

そこはただの

無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無無

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8

コメント

2

ユーザー

妻と斗真も親族だからね

ユーザー

ロープを掻きむしる描写が、何だかリアリティ感じられてゾクリとした(>.<)

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