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#ギャンブル
りんご
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19
朽華 歌仙
78
コメント
1件
読み終えました……。 第5試練、来ましたね。投票で誰かを選ばなきゃいけないって、もう選択肢の時点で心が重くなります。第4試練のDELETEが、こんな形で次の試練に組み込まれてるんだ……って気づいたとき、ぞっとしました。 浅井さんの震える声とか、若林さんの「自分が選ばれるかも」って怯えが、赤い部屋の不気味さと合わさって、すごくリアルで。誰かを「残すべきじゃない」って選ぶことの残酷さ、ちゃんと描かれてて胸が苦しいです。 菜々美が「絶対に忘れないから」って海凜のことを心に誓ったシーン、泣けました。この物語、ただのデスゲームじゃなくて、選択の重みとか、人間関係のほころびみたいなものが丁寧に書かれてて、本当に好きです。 次の第1問、何が表示されるんだろう……ドキドキしながら待ってます。
慈悲の名を冠した第4試練でさえ、休息ではなかった。
温かい湯も。
柔らかなベッドも。
会いたかった人との再会も。
すべて、生徒たちの心を揺さぶり、選択させるために用意されていた。
生徒ナンバー32・三島海凜――
彼女は《DELETE》を選び、その選択を理由に【SYSTEM】から脱落させられた。
菜々美の頭には、今も2つの文字が焼きついている。
《ACCEPT》――
《DELETE》――
生島菜々美
心で繰り返しても、海凜の声はすでに遠くなり始めていた。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
残された15人は、再び動く床に乗った。
誰も口を開かない。
9時間の休息で身体の疲れは和らいだはずだった。
それなのに、心は以前より重い。
ここでは、眠っていても安全ではない。
愛する人への思いさえ、命を奪う材料にされる。
もはや、1秒も気を抜けなかった。
生島菜々美
菜々美は目を閉じた。
高速で運ばれていく感覚だけが伝わる。
時間も。
距離も。
試練を重ねるたび、何かが少しずつ曖昧になっていく。
やがて動く床が止まり、菜々美は目を開けた。
そこは、赤い部屋だった。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
天井からの赤い光が、室内を不吉に染めていた。
中央には、15脚の椅子が大きな円を描いて並んでいる。
背もたれは円の内側を向き、座った者は中央ではなく赤い壁を見る配置だった。
椅子の背面には、生徒ナンバーを示す2桁の数字が刻まれている。
【SYSTEM】
生徒たちは警戒しながら、自分の椅子へ向かった。
菜々美は、“03”と刻まれた椅子に腰を下ろす。
正面には赤い壁。
隣の生徒とは2メートルほど離れている。
カチッ。
乾いた音とともに、両側から金属製のベルトが伸びた。
胸元。
腰。
両腕。
冷たい金属が、菜々美の身体を締めつける。
生島菜々美
さらに、各椅子の周囲を半透明の膜が覆っていく。
隣の生徒の姿が、赤い霞の向こうへ消えた。
声は聞こえる。
けれど、顔も動きも見えない。
誰が怯えているのか。
誰が冷静なのか。
誰が自分を見ているのか。
何もわからない。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
生島菜々美
自分が誰かの命を選ぶのか。
誰かが自分の命を選ぶのか。
どちらにも逃げ道はない。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
菜々美が端末へ目を落とすと、半透明のモニターが展開された。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
9人。
菜々美の喉が鳴った。
15人中、9人。
過半数を超えている。
少数を犠牲にして終わる試練ではない。
多くの生徒が、誰かに選ばれる。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
その瞬間、菜々美の頭に“DELETE”が浮かんだ。
第4試練では、自分を傷つけた相手を消すか選ばされた。
今度は、クラスメートから消す相手を選ばされる。
生島菜々美
前の試練で生まれた感情が、姿を変えて組み込まれている。
そんな気がした。
浅井香流
震える声を上げたのは、生徒ナンバー01・浅井香流だった。
黒いロングヘアに、大きな釣り目。
細く整った輪郭の、和風美人を思わせる少女。
学外では茶道サークルに所属し、制服も常に正しく着こなす。
世斐羅女子学院の模範生と呼ぶにふさわしかった。
浅井香流
【SYSTEM】
【SYSTEM】
浅井香流
予想していた答えだった。
それでも、告げられると胸が押し潰されそうになる。
投票しなければ、自分が死ぬ。
投票すれば、誰かを死へ近づける。
選ばない選択肢は、最初からなかった。
新倉穂乃花
生徒ナンバー25・新倉穂乃花は、赤いフィルターの内側で唇を噛んでいた。
新倉穂乃花
新倉穂乃花
生真面目な穂乃花にとって、他人の生死を左右する投票は重すぎた。
誰かを選ぶ理由はない。
けれど、選ばないことも許されない。
生徒ナンバー38・若林安曇は、椅子に縛られたまま震えていた。
ピンク色の細い縁の眼鏡をかけた、“眼鏡っ娘4人組”の1人。
茶色に染めたショートヘア。
安曇は、学内で友人が少なかった。
家庭が貧しいわけではない。
それでも3つのアルバイトを掛け持ちし、小金を貯めている。
放課後に同級生と過ごす機会は少なく、いつしか周囲から浮いていた。
若林安曇
自分が誰に投票するかより、誰が自分に投票するか。
その恐怖で、息が浅くなる。
フィルターの向こうにいる全員が、自分の名前を選んでいる気がした。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
生島菜々美
【SYSTEM】
赤い光が、一段強くなったように見えた。
生徒たちの鼓動が速くなる。
恐怖だけではない。
誰かを選ばなければならない。
誰かを嫌う理由を、自分の中から探さなければならない。
赤い光が、押し殺してきた不満や嫉妬を煽っているようだった。
第5試練へ参加する15名。
生徒ナンバー01・浅井香流。
生徒ナンバー03・生島菜々美。
生徒ナンバー07・小野田摩智。
生徒ナンバー09・加藤麻冬。
生徒ナンバー17・曽我部小恋奈。
生徒ナンバー18・立花瞳子。
生徒ナンバー19・田所孔美。
生徒ナンバー20・津田心路。
生徒ナンバー21・土橋怜那。
生徒ナンバー22・手塚詩鶴。
生徒ナンバー25・新倉穂乃花。
生徒ナンバー26・根来歌音。
生徒ナンバー31・牧原志穂。
生徒ナンバー38・若林安曇。
生徒ナンバー39・和久井莉乃。
【SYSTEM】
15人のモニターが、一斉に切り替わった。
赤い光の中に、最初の質問が浮かぶ。
心の奥に隠してきた悪意を、言葉に変えるための問いだった。