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さ、さくらちゃん⋯
さくら
真波
さくら
さくら
さくら
真波
さくら
さくら
真波
さくら
真波
真波
真波
真波
さくら
さくら
真波
真波
真波
さくら
さくら
真波
真波
さくら
わたしは勉強机にノートを広げ
幼い園児たちに読み聞かせする 絵本の構想を練っていた
さくら
さくら
さくら
さくら
さくら
わたしの本棚には かつて読んだいろんな本が
すべて揃っている
いわばわたしの 「読んだ!」リストのようなものだ
さくら
さくら
さくら
さくら
さくら
さくら
左から右へタイトルを追っていったが
めぼしい本はなかった
さくら
さくら
本棚の端に
黒い背表紙が見える
さくら
さくら
わたしはそれを取り出して
じっくり外装をみるが
タイトルも著者名も
どこにも書かれていないのだ
さくら
真波の言葉が頭をよぎった
さくら
さくら
さくら
さくら
さくら
わたしは思い切って
絵本を開いた
最初のページには
「スマイル」 とだけ書かれている
さくら
さくら
そう思いながらも
怖いものみたさで
次のページを見た
さくら
ぼくのなまえはスマイル みんなを笑顔にするよ!
さくら
さくら
さくら
予想とずいぶんちがう中身に 拍子抜けしてしまった
さくら
きみのことも笑顔にするよ! いまからおうちまでいくよ!
さくら
さくら
次のページ
いま近くまできたよ! きみのおうちは○○県××市2369-4で 合ってるかな?
さくら
さくら
次のページだ
いまきみの部屋の前まできたよ! ドアをあけてみてね!
さくら
わたしの嫌な予感は
いよいよ頭をもたげてきた
わたしは絵本を開いたまま床に置き
部屋のドアに内鍵をかけた
突然ドアを叩く音がした
ゴンゴンゴンゴン!と 扉が破れるほど大きな音で
さくら
ふと絵本のある方をむくと ページがめくれたのか
あの絵が違う絵になっていた
それを見たときから
開けてくれないんだね 残念だなあ
あのノック音がやんだ
さくら
さくら
わたしは絵本を手に取った
どうしてかは分からない
無意識のうちに 絵本を拾いあげたのだ
風もふいていないのに ページがぱらりとめくれた
でも安心して! 別の方法を見つけたんだ
さくら
するとまたページがめくれた
見ーツケタ
さくら
絵本が手から抜け落ちた
するとまた ゴンゴン!と激しいノック音があった
さくら
すると聞き覚えのある声が聞こえた
母
母
さくら
鍵を開けたドアから お母さんがあらわれた
母
母
さくら
お母さんの袖口をぎゅっとつかんで 涙をぽろぽろ落とす
母
さくら
母
母
さくら
わたしはふたりの様子を
部屋の中からみていた
おかしい
身体が動かない
それに わたしとはべつの
さくらがわたしを見ている
さくら
さくらはわたしにそう呟くと
にいっと笑って階下へ降りた
部屋のドアがバタン!と閉まる
わたしは体を動かせない
身体が言うことを聞かない
わたしの手が 親指を立てるような形になり
顔の前まで運ばれる
そして両指は わたしの見開かれた両目に
ずぶりと突き刺さる
痛いという感覚があるのに
うめくこともできない
まるで
絵本の中に取り込まれた とでも言えばいいのか
黒い視界は やがて地の底へ溶けていった
真波
真波
真波
真波
真波
真波
真波
真波
真波
真波
真波
ぼくの名前はスマイル! みんなを笑顔にするよ!
ひょっとして お友達を探しているの?
さくらちゃんだよね! ぼくとも友達だからよく知ってるよ!
さくらちゃんはね…
こんな顔になっちゃった
Fin. 最後までお読みくださり ありがとうございました
この物語は フィクションです