……ん…………
テーブルに突っ伏した顔を上げた
?
おはよー☆
……え?
?
やっと起きたね〜
にこ
シルクハットをかぶり、紳士服を着た青年が笑顔を向けた
……だ、誰?
?
帽子屋♪
帽子屋
よろしくね、おねーさん
帽子屋
ところでお腹、空いてない?
テーブルの上には、お茶とお菓子が所狭しと並べられている
帽子屋
遠慮しないでいいからね♪
…………
空腹感を覚え、目の前のカップケーキを一口食べた
(──おいしい)
あの、ここ……どこなの?
帽子屋
ここはおねーさんのような
帽子屋
“罪人“が来るところだよ♪
罪人……?
帽子屋
だって、おねーさん──
帽子屋
今まで何人もの命を奪ってるよね?
……?!
帽子屋
しかも嘘つき──
…………
帽子屋
顔色が変わったね? 図星かな
帽子屋
帽子屋
おねーさん、気に入った人間を見つけると──
帽子屋
人気のない場所に誘い出して
帽子屋
殺してるでしょ?
帽子屋
相手は丸越なのに──
…………
帽子屋
それだけじゃなくて
帽子屋
『時間内に逃げ切ったら、命だけは助けてあげる』とか、うそぶいて
帽子屋
で、逃げ切った相手の命を──
帽子屋
平気で奪うんだから
帽子屋
ヤバいねー
帽子屋
どこ行くの?
ガシッ
は、離して……!
帽子屋
怖いの?
狂気を含んだ笑顔に恐怖を感じた
帽子屋
あのね、うつし世と繋いでるドアがあるんだ──
え?
帽子屋
そのドアを見つければ、帰れるかもしれないね
…………
帽子屋
“見つかれば“だけど
それから、死にものぐるいでドアを探した
時間はかかったが、ようやくそれらしきドアを見つけた
あった……!
ドアを開けると、真っ白な空間が広がっている
これで帰れる……!
彼女を拒むかのように、見えない壁が阻んだ
な、なんで……?!
どうして、向こうへ行けないの……?!
帽子屋
無理だよ♪
帽子屋
おねーさんは、もう二度と──
帽子屋
うつし世には帰れないから
いつの間にか、帽子屋がそばに立っていた
どういうこと?
帽子屋
だって──
帽子屋
お菓子食べちゃったでしょ?
帽子屋
あのお菓子はね、ヨモツヘグイなんだ
ヨモツヘグイ……?
帽子屋
さっき、帰れるかもしれないって言ったけど
帽子屋
ゴメンね、あれ──
帽子屋
嘘だよ