テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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【読切】早坂君は声をかけれない

第1話 - 【読切】早坂君は声をかけれない

330

2023年01月18日

#一次創作

#高校生

#青春恋愛

#第3回テノコン読切

×××

高校2年生の僕早坂爽太（はやさかそうた）は

今まさに絶賛片想い中である

早坂爽太

（はぁ〜・・・）

早坂爽太

（やっぱ可愛いなぁ〜）

早坂爽太

（若葉（わかば）さん・・）

片想いの相手は同じクラスにいる碧石若葉（あおいしわかば）さん

碧石若葉

・・・・・

早坂爽太

（読書してる若葉さん）

早坂爽太

（可愛い！可愛すぎる）

早坂爽太

（声をかけたいっ！）

早坂爽太

（その本・・僕も
読んでるんだよって）

早坂爽太

（話かけたいっ！）

早坂爽太

（よかったらLIME交換
してくださいって）

早坂爽太

（話しかけたいっ！）

早坂爽太

（けど・・できない）

え？何でって？

早坂爽太

（あ、いや、それは、その）

教室には僕と若葉さん以外誰も居ないんだから恥ずかしくないだろ！って？

早坂爽太

（違う！そうじゃない！）

早坂爽太

（恥ずかしいとか）

早坂爽太

（そういうんじゃ
無いんだよ！）

え？じゃあ何をそんなに躊躇ってるのかって？

早坂爽太

（うー・・・ん）

早坂爽太

（言葉にしも
伝わらないと思うよ？）

いいから話せって？

早坂爽太

（わかったよ・・・）

早坂爽太

（言うよ・・・）

早坂爽太

（僕はさ、人に
話しかける時に）

早坂爽太

（色んなことを考えて）

早坂爽太

（考えて考えて）

早坂爽太

（考え過ぎるがあまりに）

早坂爽太

（頭の中で勝手に
ストーリーを
作っちゃうんだよ）

え？意味が分からないって？

早坂爽太

（だから言ったじゃないか）

早坂爽太

（言葉にしても
伝わらないって！）

もっと分かりやすく言えって？

早坂爽太

（仕方ないな・・・）

早坂爽太

（わかったよ・・・）

早坂爽太

（そうだな・・・）

早坂爽太

（まぁ、仮に）

早坂爽太

（今この場で若葉さんに
僕がLIMEを交換
しようって話たとするよ？）

どうせ聞けないだろうって？

早坂爽太

（うるさいな！）

早坂爽太

（仮だって
言ってるだろ！）

早坂爽太

（仮だって！）

早坂爽太

（そりゃどうせ
聞けないよ！）

早坂爽太

（そんな事僕が
一番分ってるよ！）

早坂爽太

（というか話が逸れたね）

早坂爽太

（まぁ、仮にそう言う話を
若葉さんにしたとして）

爽太の脳内世界

早坂爽太

わ、若葉さん！

碧石若葉

あ、早坂くん？

碧石若葉

どうかした？

早坂爽太

いやぁ、その・・・

早坂爽太

急にこんな事言われても

早坂爽太

困ると思うんだけどさ

碧石若葉

なに？

早坂爽太

僕とその・・・

早坂爽太

LIME交換
してくれないかなぁ

早坂爽太

なんて・・・

碧石若葉

LIME？

早坂爽太

いや、そんな変な意味
とかじゃなくてさ

早坂爽太

若葉さんがいつも
読んでるその本

早坂爽太

実は僕も読んでてさ

碧石若葉

あ、そうだったの？

早坂爽太

実はそうなんだよね

碧石若葉

へー！知らなかった

早坂爽太

だから、できたら、その

早坂爽太

感想なんかを
語り合えたらなぁ

早坂爽太

なんて・・・

早坂爽太

あ、め、迷惑だったら
遠慮なく言ってよ！

早坂爽太

もうこんな事
言ったりしないからさ

碧石若葉

迷惑なんて思わないよ

碧石若葉

LIME交換しよ♫

早坂爽太

本当に？

優しい若葉さんなら、僕なんかが LIME交換しようって言っても笑顔で交換してくれると思う

でも僕が居ない友達とかの前だったら

クラスメイト

え？若葉って早坂と
LIME交換したの？

碧石若葉

うん・・・

碧石若葉

なんか私がいつも
読んでる本を

碧石若葉

早坂も読んでるらしくて

クラスメイト

ふむふむ

碧石若葉

なんか感想を
語り合いたいとか
言われてさ

クラスメイト

なんかソレ
胡散臭く無い？

碧石若葉

だよね・・・

碧石若葉

絶対別の目的だよね？

クラスメイト

あの早坂って
ムッツリそうだしね

碧石若葉

てか、私とほぼ
喋った事無いくせに

碧石若葉

いきなり若葉さんって
下の名前で言ってきたんだよ

碧石若葉

どう思う？

クラスメイト

うわぁぁキモ過ぎ

クラスメイト

いきなり
下の名前はないわ〜

碧石若葉

私もちょっと
キモいって思った

クラスメイト

なんか変な事
要求されたりしたら

クラスメイト

ウチらに言いなよ？

碧石若葉

うん・・・

碧石若葉

その時は相談する

早坂爽太

（って会話をしてるん
じゃないかって）

早坂爽太

（想像しちゃうんだよ）

考えすぎだって？

早坂爽太

（だってしょうがないだろ）

早坂爽太

（もうこの考えすぎる性格は）

早坂爽太

（昔からなんだよ・・・）

早坂爽太

（考えないようにしても）

早坂爽太

（頭の中で勝手に
ストーリーが再生
されちゃうんだ・・）

え？そもそも交換の仕方が下手だって？

早坂爽太

（だって僕と若葉さんの
共通の話題なんて）

早坂爽太

（同じ本を読んでる
って事くらいしか・・）

君の事好きだから交換してくれ！で、いいだろって？

早坂爽太

（ば、ばか言うなよ！）

早坂爽太

（無理だよ！そんなの！）

早坂爽太

（放課後の教室の片隅で
若葉さんの事を
眺める事しか出来ない）

早坂爽太

（陰キャな僕には無理だよ）

早坂爽太

（仮にそんな話したら──）

爽太の脳内世界

碧石若葉

ちょっと聞いてよ

クラスメイト

なに？どうかした？

碧石若葉

あの陰キャ早坂から

碧石若葉

告られたんだけど

クラスメイト

え！？まじで？

碧石若葉

うん・・・

クラスメイト

きゃはは！ウケる

碧石若葉

笑ってんじゃねーよ

碧石若葉

まじキモかったんだから

碧石若葉

吐くのを我慢すんの
どれだけ大変だったか！

クラスメイト

てかアイツも無謀よね

クラスメイト

よりにもよって
若葉に告るなんて

クラスメイト

絶対に無理だって
分からなかったのかな？

碧石若葉

私がいつも本
読んでるから

碧石若葉

同類だって
勘違いしたのかな？

碧石若葉

まじ気分悪いわ・・・

クラスメイト

まぁ！まぁ！若葉！

クラスメイト

今日はカラオケ行って
パーっと盛り上がって

クラスメイト

あんな陰キャの事
なんか忘れようよ！

碧石若葉

そうしよっか・・・

早坂爽太

（わぁぁぁぁぁ）

早坂爽太

（無理！無理！無理！）

早坂爽太

（ぜーったいに無理！）

早坂爽太

（好きだなんて
言える訳がないよ！）

若葉さんはそんな事言わないって？

早坂爽太

（なんでそんな事
分かるんだよ！）

早坂爽太

（若葉さんと
喋った事無いくせに！）

早坂爽太

（そういう風に
人を期待させる言葉を）

早坂爽太

（簡単に言うなよな！）

え？

僕は若葉さんの事をそんな言葉を平気で使うヤツって思ってるのかって？

早坂爽太

（そ、そりゃ・・違うけど）

早坂爽太

（だ、だからって・・・）

早坂爽太

（僕が若葉さんと
仲良くできる保証は
どこにも無い・・・）

早坂爽太

（そりゃ君からしたら）

早坂爽太

（女の子に声を
かけるなんて）

早坂爽太

（造作もない事
かもしれないよ・・）

早坂爽太

（けど・・・）

早坂爽太

（世の中には僕みたいに）

早坂爽太

（声をかけるのに
とてつもない勇気が
必要なヤツだって居るんだ）

早坂爽太

（僕の事をたいして
知りもしないくせに）

早坂爽太

（勝手な事ばっかり
言うなよ！！）

碧石若葉

・・・・・

碧石若葉

（早坂くん・・・）

碧石若葉

（また急に走り出して
帰って行っちゃった）

碧石若葉

（なんなんだろ・・・）

碧石若葉

（それにいつも
こんな時間まで）

碧石若葉

（何もせずに
うつむいてるだけって）

碧石若葉

（早坂くんって不思議な人）

早坂爽太

・・・・・

早坂爽太

（僕だって・・・）

早坂爽太

（声かけたいよ・・・）

早坂爽太

（僕の気持ちを伝えたいよ）

早坂爽太

（好きだって言いたいよ）

早坂爽太

（でも・・出来ないんだよ）

早坂爽太

（何でこうも僕は
ヘタレなんだ・・・）

早坂爽太

（クソっ・・・）

碧石若葉

・・・・・

碧石若葉

（早坂君ってなんだか
不思議な人だなぁ）

碧石若葉

（何でいつもあんなに）

碧石若葉

（思い出したように
走って帰ってくんだろ？）

碧石若葉

（明日・・聞いてみよっかな）

翌日

早坂爽太

（また放課後に
なってしまった・・）

碧石若葉

・・・・・

早坂爽太

（はぁ・・・）

早坂爽太

（僕はいつまで
おんなじ事を
繰り返すんだ？）

早坂爽太

（若葉さんをただ
眺めていたって
何も変わらないのに）

早坂爽太

（ただ・・虚しい
だけなのに・・・）

碧石若葉

・・・・・

早坂爽太

（あれ？若葉さん？）

早坂爽太

（今日はもう帰るのかな？）

早坂爽太

（いつもより早いな）

早坂爽太

（って僕はストーカーか！）

早坂爽太

（ってあれ？
なんか若葉さん・・）

早坂爽太

（僕の方に
近づいてきてない？）

早坂爽太

（いやいや！そんな訳──）

碧石若葉

あの・・早坂くん？

早坂爽太

！！！！！！

早坂爽太

あ、ああ、あ・・・

早坂爽太

（若葉さんに・・・）

早坂爽太

（話しかけられてる・・）

早坂爽太

（嘘？ホント？まじで？）

早坂爽太

（いやいや！ありえない！）

早坂爽太

（そうだ！夢だ！）

早坂爽太

（これは夢に違いない！）

碧石若葉

ねぇ？聞いてる？早坂くん

早坂爽太

（いや、これは現実だ！）

早坂爽太

（あの若葉さんが
僕に話しかけてくれてる）

早坂爽太

（こ、応えなきゃ！）

早坂爽太

（せっかく若葉さんが
僕みたいな陰キャに
話しかけてくれてるんだ）

早坂爽太

ど、ど、どうか
したんですか？

碧石若葉

早坂くんってさ──

碧石若葉

いつも思うんだけど──

早坂爽太

え！？

早坂爽太

（も、もしかして──）

爽太の脳内世界

碧石若葉

いつも私の事
ジロジロ見過ぎ

早坂爽太

え！？

碧石若葉

いや、え？じゃなくて

碧石若葉

いつも放課後まで
教室に残って

碧石若葉

私の事ジロジロ
見てるじゃん

碧石若葉

気づかないとでも
思ってた？

早坂爽太

あ、いや・・・

碧石若葉

ハッキリ言って
気持ち悪いから！

早坂爽太

ご、ごめんなさい・・

碧石若葉

つーかさっさと帰れよ

碧石若葉

私の視界から消えて

碧石若葉

いつも──

早坂爽太

すいませんでした！
ごめんなさいっ！

碧石若葉

え？早坂くん？
ちょっと待って！

早坂爽太

（終わった！終わった！）

早坂爽太

（僕の学園生活終わった！）

早坂爽太

（絶対に若葉さんに
嫌われてるんだ！）

早坂爽太

（そうだよ・・・）

早坂爽太

（別に何かを
してる訳じゃないのに）

早坂爽太

（ずっと放課後まで残って）

早坂爽太

（そりゃ疑われちゃうよ！）

早坂爽太

（バレたんだ・・・）

早坂爽太

（バレちゃったんだ！）

早坂爽太

（いつも若葉さんの事
考えてるってバレたんだ）

え？なんだよ！今はそんな余裕ないよ

え？若葉さんは僕と話したかったんじゃないかって？

早坂爽太

（そんな訳ないだろ）

早坂爽太

（あんな可愛い若葉さんが）

早坂爽太

（僕みたいな陰キャと
話したいなんて）

早坂爽太

（思ってくれてる
訳ないじゃないか！）

早坂爽太

（だから言っただろ？）

早坂爽太

（そんな期待させる
ような言葉は──）

碧石若葉

あっ・・・

碧石若葉

早坂くん・・・

碧石若葉

カバン忘れてる

早坂爽太

（あっ！しまった！）

早坂爽太

（慌てて走って
出てきちゃったから）

早坂爽太

（教室にカバン
忘れてきちゃった）

早坂爽太

（でも今教室に戻ったら──）

早坂爽太

（まぁ、明日も
同じ教室に行くんだ・・）

早坂爽太

（カバンは明日にして──）

碧石若葉

あっ！早坂くん！居た

早坂爽太

（わ、若葉さん！）

碧石若葉

待ってよ早坂くん！

早坂爽太

（やばい！逃げろ！）

碧石若葉

だから待ってってば

早坂爽太

何で僕を
追っかけるんですか！

碧石若葉

カバン！

早坂爽太

え？

碧石若葉

だからカバン
忘れてるってば！

早坂爽太

（あ、僕のカバン・・・）

碧石若葉

はぁ・・はぁ・・

碧石若葉

やっと追いついた

早坂爽太

あ、すいません・・

早坂爽太

わか・・

早坂爽太

（いや、ダメだ）

早坂爽太

碧石さん・・・

碧石若葉

もう、いつも
そうなんだもん・・

早坂爽太

え？いつも？

碧石若葉

いつも放課後急いで
帰っちゃうでしょ？

早坂爽太

（若葉さん・・・）

碧石若葉

はい！カバン！

早坂爽太

あっ！すいません

早坂爽太

申し訳ないです・・

碧石若葉

ふふふ

碧石若葉

早坂くん！謝りすぎ！

早坂爽太

あ、ごめんなさい・・

早坂爽太

あっ・・・

碧石若葉

ふふふ、また謝ってる

碧石若葉

早坂くんって面白いね

早坂爽太

え？そ、そうですか？

碧石若葉

うん。面白い♫

早坂爽太

そうですか・・あはは

早坂爽太

（やばい！）

早坂爽太

（凄い嬉しい）

早坂爽太

（今・・僕）

早坂爽太

（若葉さんと喋ってる）

碧石若葉

まぁ、カバン渡せたし

碧石若葉

もう帰ろっかな

碧石若葉

じゃあ早坂君！
また明日ね！

早坂爽太

は、はい・・・

早坂爽太

また・・明日・・・

早坂爽太

（今日はいい日だ・・・）

早坂爽太

（若葉さんと
あんなに話せた・・・）

早坂爽太

（でも何で若葉さんは
僕なんかに話かけて
くれたんだろ・・・）

早坂爽太

（それに”いつも”
急いで帰るって・・・）

早坂爽太

（いかにも、日頃から
僕の事を気に
かけてるみたいに）

早坂爽太

（！！！！！！）

早坂爽太

（いや、まさかね・・・）

早坂爽太

（やめよう！やめよう！）

早坂爽太

（都合よく考えるのは）

早坂爽太

（とりあえず続き読もう）

早坂爽太

（あれ？カバンに
本が入ってない・・）

早坂爽太

（やばっ！学校に
忘れてきたのかな？）

早坂爽太

（はぁ〜・・・）

早坂爽太

（まぁ、多分机の
中にでも入ってるんだろうな）

翌日

早坂爽太

（あれ？入ってないな）

早坂爽太

（落とし物として職員室に
届けてあるのかな？）

碧石若葉

早坂くん！

早坂爽太

（あ、若葉さん・・・）

早坂爽太

あ、おはようございます

碧石若葉

おはよ♫

早坂爽太

（登校早々若葉さんが
話しかけてくれるなんて）

碧石若葉

あの・・・

碧石若葉

コレなんだけど・・

早坂爽太

（ん？）

早坂爽太

あ・・・

早坂爽太

（それってもしかして）

碧石若葉

昨日の放課後に
自分の本と間違えて
持って帰っちゃって

早坂爽太

あ、そうだったんですね

碧石若葉

ごめんなさい！

碧石若葉

早坂君の本なのに・・

早坂爽太

（え！若葉さんが頭を）

早坂爽太

（やばい！クラスメイト
だって居るのに・・）

早坂爽太

（こんなの見られたら・・）

爽太の脳内世界

クラスメイト

おい！おい！早坂！

クラスメイト

碧石に何してんだ？

早坂爽太

あ、いや、これは、その

クラスメイト

まさかイジめてるとか？

早坂爽太

え？イジ──

クラスメイト

うわぁ、引くわぁ

早坂爽太

いや、これは

クラスメイト

サイテーだなお前

早坂爽太

だから違うんだって！

クラスメイト

もう大丈夫だよ若葉！

早坂爽太

（ダメだダメだ！）

早坂爽太

（みんなから
誤解されちゃうよ！）

早坂爽太

（早く言わなきゃ！）

早坂爽太

頭あげてくださいよ

早坂爽太

碧石さん！

早坂爽太

別に怒ったり
してませんから！

碧石若葉

ホント？

早坂爽太

はい！

碧石若葉

よかったぁ・・・

クラスメイト

ねえ！若葉！

碧石若葉

なに？

クラスメイト

若葉って早坂と
仲良かったっけ？

早坂爽太

（あ・・・）

爽太の脳内世界

クラスメイト

若葉さぁ！
こんなやつに
話しかけちゃダメだよ

碧石若葉

あ、いや・・・

クラスメイト

そう！そう！

クラスメイト

そんな陰キャ無視して

クラスメイト

ウチらと話す方が
有意義な時間だって！

早坂爽太

（・・・・・）

早坂爽太

（まぁこんな感じだろうな）

碧石若葉

うん！昨日
仲良くなったの

早坂爽太

（え？）

早坂爽太

（碧石さん・・・）

早坂爽太

（いいの？みんなの前で
僕なんかと仲良いなんて）

早坂爽太

（そんな事言っちゃって）

早坂爽太

（というかそもそも
僕と仲良くなったって
思ってくれてたの？）

クラスメイト

へー！

碧石若葉

というか早坂君？

早坂爽太

は、はい！

碧石若葉

早坂君って
この本好きなの？

早坂爽太

（あっ・・・）

早坂爽太

（そうだ・・・）

早坂爽太

（今・・伝える時だ！）

早坂爽太

（共通の話題で
若葉さんと・・・）

早坂爽太

（でも本当にいいのかな？）

早坂爽太

（そりゃ若葉さんと
本の話が出来るのは
嬉しいけど・・・）

早坂爽太

（僕なんかと
本の話なんかして）

早坂爽太

（若葉さんが周りから
変な目で見られたり
しないかな？）

早坂爽太

（それが心配だ・・・）

早坂爽太

（好きだからこそ・・・）

早坂爽太

（若葉さんの迷惑に
なるような事はしたくない）

早坂爽太

（ここは、この本は
あまり詳しくないって
嘘を言った方が・・）

え？正直に言えって？

早坂爽太

（で、でも・・・）

このチャンスを物にしなきゃ僕は一生変われないって？

早坂爽太

（そんなの分ってるよ！）

早坂爽太

（けど・・けど・・）

え？もうとっくに気づいてるだろって？

早坂爽太

（何を・・・）

太爽坂早

ずっと話しかけて
いたのが

太爽坂早

もうひとりの
自分だって事だよ！

早坂爽太

・・・・・

太爽坂早

お前は自分の事を
過小評価しすぎなんだよ

早坂爽太

だって僕なんて

早坂爽太

地味な陰キャだし・・

早坂爽太

コレと言った
取り柄もないし・・

太爽坂早

あのな・・・

太爽坂早

周りって自分が
思ってるほど
お前の事見てねーぞ？

早坂爽太

そんな事、なんで
断言できるんだよ！

早坂爽太

そんなのみんなに
聞いてみるまで
分からないじゃないか！

太爽坂早

だいたい自分で
おかしいと思わね？

早坂爽太

な、なにがだよ・・

太爽坂早

僕なんて！僕なんて！
って言ってる割には

太爽坂早

自分が頭のなかで
思い描く物語では

太爽坂早

みんなお前の事を気にしてる

早坂爽太

あっ・・・

太爽坂早

本当に周りがお前を
気にしてねーんだとしたら

太爽坂早

お前の頭の物語に
出てくる奴らだって

太爽坂早

お前のした事に
無関心なはずだろ？

早坂爽太

・・・・・

太爽坂早

ようは！心の底じゃ
自分なんて！って
思ってねーんだよ！

太爽坂早

自分の本当の
気持ちに嘘ついて

太爽坂早

本心隠してるうちは
一生このままだな！

早坂爽太

わかってるけど・・

太爽坂早

お前は若葉の事が好きか？

早坂爽太

ああ！好きだよ

太爽坂早

まぁ、俺から言わせれば
お前の好きって気持ちは
まだまだ！ヒヨッ子だ！

早坂爽太

え？どう言う意味だよ

太爽坂早

本当に人を好きに
なる時ってのはな

太爽坂早

自分と周りが
見えなくなるもんなんだ

早坂爽太

自分と周りが・・・

太爽坂早

恋は盲目ってヤツだな

太爽坂早

だから周りの目を気にして

太爽坂早

自分を周りと比較して

太爽坂早

自己嫌悪に陥ってる
お前の好きって気持ちは

太爽坂早

まだまだ！

早坂爽太

またまだ・・・か

早坂爽太

そうかもしれないな

早坂爽太

若葉さんの為だ！
とかなんとか言っても

早坂爽太

結局自分が傷つくのが
怖いだけなんだよな

太爽坂早

・・・・・

早坂爽太

でも・・・・

太爽坂早

大丈夫！

早坂爽太

なんでそう
断言できるんだよ

太爽坂早

俺はお前だからだ！

早坂爽太

・・・・・

太爽坂早

俺が大丈夫だって
言ってんだから

太爽坂早

大丈夫だって！

早坂爽太

・・・・・

早坂爽太

う、うん・・・

早坂爽太

僕・・・

早坂爽太

勇気を出してみるよ

早坂爽太

僕も本が好きって
言うだけだけど

早坂爽太

僕・・・

早坂爽太

若葉さんに伝えるよ

太爽坂早

おう！一歩踏み出せ！

太爽坂早

大丈夫！お前ならできる

早坂爽太

あ、ありがとう

早坂爽太

僕・・やってみるよ！

早坂爽太

実はそうなんですよ

碧石若葉

ホントに！？

早坂爽太

はい・・・

早坂爽太

この作者の本は
昔から好きで

早坂爽太

全部初版で
買ってるんです

碧石若葉

わぁ！すごーい！

碧石若葉

ならさ！もしかして

碧石若葉

「怒りの日殺人事件」
とかも初版で買ったの？

早坂爽太

ま、まぁ、一応・・・

碧石若葉

ね！ね！早坂くん！

碧石若葉

もしよかったら
今度貸してくれない？

早坂爽太

え？いいですけど・・・

クラスメイト

よかったじゃん！若葉！

碧石若葉

今プレミアついてて
一冊10万もするから
諦めてたんだよね

早坂爽太

あ、確か、発売してすぐ

早坂爽太

内容が過激だからって
発売中止になった
んでしたよね・・・

碧石若葉

そうなの！

碧石若葉

電子でも発売してないから

碧石若葉

もう読めないんだって
諦めてたんだけど

碧石若葉

まさか、こんな近くに
初版で買ってる人が
居ただなんて！

碧石若葉

こんな偶然あるんだ！

早坂爽太

なら今度持って──

碧石若葉

いや！いや！
それまで待てないから

碧石若葉

今日早坂くんの家に
行ってもいいかな？

早坂爽太

え！？家にですか？

碧石若葉

いいじゃん！

早坂爽太

は、はぁ・・・

クラスメイト

早坂！えらいヤツに
気に入られたな

クラスメイト

こいつ相当なオタク
だから苦労するよ？

碧石若葉

失礼な言い方しないでよ

早坂爽太

ははは・・・

碧石若葉

じゃあ今日放課後
よろしくね！

碧石若葉

爽太！

早坂爽太

あ、は、はい・・・

早坂爽太

碧石さん・・・

碧石若葉

むっ！

早坂爽太

え？何か怒ってます？

碧石若葉

私が爽太！
って言ったんだから

碧石若葉

そこは碧石さん！
じゃなくて

碧石若葉

若葉！でしょ！

早坂爽太

あ、は、はい・・・

碧石若葉

なら──

碧石若葉

もう一回
私のこと呼んで

早坂爽太

わ、わ、わ、若葉っ！

碧石若葉

えへへ、よろしい！

早坂爽太

（か、可愛い・・・）

クラスメイト

てか若葉！

クラスメイト

早坂の敬語は
問題ない訳？

碧石若葉

あっ！そうだよ！

碧石若葉

今日から敬語禁止ね！

早坂爽太

あ、いや・・

碧石若葉

わかった？

早坂爽太

は、はい・・・

碧石若葉

はい？

早坂爽太

わかった！

早坂爽太

敬語はやめるよ！

碧石若葉

よし！

碧石若葉

わぁ！すっごい！

碧石若葉

まるで図書館だ！

早坂爽太

いや、大袈裟だって！

碧石若葉

いやいや！凄いよ！

碧石若葉

私も本はかなり
持ってる方だって
思ってたけど

碧石若葉

こりゃ完敗だわ・・

早坂爽太

勝ち負けなんて
関係ないよ・・・

早坂爽太

本が好きな物同士
仲良くやればいいじゃん

碧石若葉

お！今のかっこいい！

早坂爽太

え、そ、そう？

早坂爽太

そうかな・・あはは

碧石若葉

いや、案外普通な台詞か

早坂爽太

ちょ！なんだよそれ！

早坂爽太

舞いあがっちゃったじゃん！

碧石若葉

ふふふ

碧石若葉

爽太の反応面白い

早坂爽太

からかわないでよ！

碧石若葉

あっ！そうだ！

碧石若葉

じゃあ今度
ウチにも来てよ！

碧石若葉

いろんな本
読ませてあげるから

早坂爽太

うん！是非
行かせてもらうよ

僕の前進は人が見たら「その程度かよ！」って笑われちゃうかもしれない

けど僕にとっては人生が明るくなるレベルの前進だ

他人と比べる必要なんてなかったんだ

自分を卑下する必要なんてなかったんだ

自分が勇気を出せば周りはそれに応えてくれる

そしていずれは──

碧石若葉

何にニヤニヤしてんの？

碧石若葉

なんかやらしいよ？

早坂爽太

し、失礼だな！

碧石若葉

あはははは

碧石若葉

冗談だよ！冗談！

早坂爽太

あっ！そうだ！

早坂爽太

忘れないウチに
渡しておくね！

早坂爽太

はい！約束の本ね！

碧石若葉

わぁ！本物初めて見た！

碧石若葉

カンドー♫

早坂爽太

返すのはいつでも
いいから！

碧石若葉

ありがとう爽太！

早坂爽太

どういたしまして

爽太が想いを伝える事ができる日はいつになるのだろうか？

To Be Continued？

この作品はいかがでしたか？

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10件

凄く良いお話でした✨ 私も物事をネガティブに考えてしまう癖があるので早坂くんの気持ちの分かりみが深かったです…笑

すごく良い話！感動しました！

×××

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【読切】早坂君は声をかけれない

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