TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

奴隷チップ

一覧ページ

「奴隷チップ」のメインビジュアル

奴隷チップ

3 - 奴隷チップ 第3話

♥

3,866

2020年03月15日

シェアするシェアする
報告する

麗華

あのサラリーマン

麗華は、ホームの長椅子に座っている1人の男を指差す。

サラリーマン

…………

麗華

今から電車に飛び込むわ

大和

飛び込む?

麗華

…………

麗華が何も答えずにいると、

サラリーマンは長椅子から立ち上がった。

アナウンス

まもなく快速電車が通過します

サラリーマン

………

男は、ゆらゆらとホームの先までやってくる。

大和

(まさかな…)

アナウンス

白線の内側までお下がりください

サラリーマン

…………

サラリーマンの足は止まらない。

大和

おいおい…

サラリーマン

…………

大和

ちょっと、あんた!

どすん

大和

(線路に…落ちた…)

麗華

電車に乗れると思ったのに残念

大和

どういうことだ!?

大和

(いや、それより)

大和が助けに向かおうとしたその瞬間、

キキィー!

大和たちの目の前を

ぐちゃ

ぐちゃ

電車が通過した。

大和

!!!

何かが潰れる音がした後…

肉が焦げたような匂いが周囲に立ち込める。

女性

きゃあああああっ!!

あちこちで叫び声があがった。

大和

…………

麗華

あまり動揺してないのね

大和

…なぜ飛び込むのがわかった?

麗華

あの人も奴隷よ

淡々と麗華は答える。

大和

奴隷…?

麗華

彼が座っていた椅子を見て

麗華の視線を大和も追った。

老人

…………

そこには、白髪まじりの小柄な老人がいた。

大和

!?

老人

ぐふふふ

大和

…笑ってる?

麗華

あの人が主人よ

麗華

自分の奴隷を殺して、それを見て楽しんでいるの

老人

ぐひっぐひひひひ

老人は、楽しくて仕方ないといった様子だ。

大和

知り合いなのか?

麗華

一度、ウチの屋敷にきたことがあるわ

麗華

その時の連れてきた奴隷の首を

麗華

その場で切り落として笑っていた

大和

首を…

麗華

世の中にはあちこちに奴隷がいるの

麗華

それに、多くの人は気づいていないだけ

大和

…………

大和

なぜあのサラリーマンは

大和

自分が死ぬような命令にまで従ったんだ?

大和

死んだら元も子もないだろ?

麗華

大事なのは思い込ませること

大和

思い込ませる…

麗華

知っている?

麗華

虐待され続けた犬は、首輪を外されても逃げ出さないんだって

麗華

『自分はどう頑張っても逃げることができない』って

麗華

思い込んでしまうの

大和

自分で考えることを放棄するってことか…

麗華

その通りよ

老人

ぐひっぐひひひひ

老人は今なお、楽しそうに笑っている。

麗華

見つかると面倒ね

麗華

行きましょう

数時間後

麗華

お待たせ

紳士服売り場から麗華が戻ってくる。

大和

目当てのものは買えたのか?

麗華

ええ

麗華はニッコリと笑うと、

買い物袋の中から伊達眼鏡を取り出した。

麗華

あなたへのプレゼントよ

大和

…俺がかけるのか?

麗華

そうよ。かけてみて?

大和

だが

麗華の手が胸のペンダントへと伸びる。

大和

!!!

大和

分かった、かける!

麗華

ふふふ

麗華

あ、やっぱり似合う!

大和

……………

大和

なぜ俺に?

麗華

ただの気分よ

麗華

さぁ、帰りましょう

上機嫌で歩き出した麗華の足が、急に止まる。

大和

どうした?

麗華

え…なんでもないわ

麗華の目線の先を、大和は辿ってみた。

大和

あのレストランがどうかしたのか?

麗華

べ、別になんでもないわよ

麗華

入ってみたいなんて全く思ってないから

大和

気になるのなら行けば良い

麗華

ほ、本気で言ってるの!?

麗華

だ、だってそれってつまり、買い食いってことでしょ!

大和

いや、買い食いではない

麗華

大人だわ…

大和

(こいつ、俺の話聞いてないな…)

そしてブツブツとつぶやき始めた。

麗華

ど、どうするべきかしら

麗華

今日は電車の切符も1人で買ったし、かなり頑張った方だと思うけど

麗華

…ううん。何事も経験よ!こんなチャンスはきっとない

麗華

大和!!

麗華

私…買い食いするわ!

大和

…そうか

大和

じゃ、行くぞ

麗華

あ、待って!

麗華が大和の服の袖を掴む。

麗華

良い?さっきの買い物とはわけが違うわ

麗華

ずっと私のそばにいること!わかったわね!

麗華

勝手にどっかに行ったりしないように

麗華

これは、私とあなたの間のルールよ

大和

…分かったよ

麗華

ふふふ

麗華

やっぱり、こういう時はナポリタンよね

テーブルの上にはナポリタンと、サンドイッチが置かれている。

麗華

よっと

大和

………

大和は、ピーマンだけを避けている麗華を見ていた。

麗華

なに?

大和

いや

麗華

…………

麗華

…食べられるわよ?

麗華

無理に食べたいと思わないだけだから

大和

別に何も言ってないが

麗華

見てなさい?

麗華はピーマンを一切れ口に運ぶ。

途端、顔をしかめた。

麗華

にが…

麗華

あ、でも大丈夫!ちゃんと全部食べるから!

大和

無理に食わなくても良いだろ

麗華

え?

大和

別に死ぬわけじゃない

途端、麗華の顔がパッと明るくなった。

麗華

そうよ!そうなのよ!

麗華

お母様には好き嫌いしちゃダメってよく言われたけど

麗華

でもピーマンって人間が食べるものじゃないと思う

その時、麗華のスマホが鳴る。

麗華

麗華の顔が曇った。

大和

(不思議なやつだ)

大和

(冷酷な表情をするかと思えば、)

大和

(幼児園児みたいな純粋な顔をする時もある)

麗華

…まずいわね

大和

どうした?

麗華

厄介な客がウチに来ているみたい
loading

この作品はいかがでしたか?

3,866

コメント

57

ユーザー

ちょっと可愛いとこあるじゃん麗華...

ユーザー

ピーマン…(ピーマン丸ごと生でかじって吐いた人

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚