命の花の王
その世界には「死の花」という花がある。
花の匂いを嗅げば、寿命を迎える前に確実に死に至ると言われていた。
それは数カ月後かもしれないし、数年後かもしれない。
というのも呪いが発動する周期や条件などに決まりはなく、ただ、漠然とした『死』の意識だけが人々を怯えさせた。
とはいえその花の香りには違う効力もある。
ずばり、簡潔に言うと超人的な力──その世界では『呪縛』と呼ばれている──を手に入れるのだ。空を飛んだり、怪力を得たり、それは人による。
一見、呪いの代わりに与えられた恩恵。
しかしだからこそ花を使った事件なども多発していた。それを納めるために生まれたのが、カースドハンター。
カースドとは花の匂いを嗅いだ人間のことで、ハンター…つまり、カースドを狩る者たちの総称だ。
報酬は高く、狩ったカースドが犯罪を犯したか犯していなかったかは正直関係がない。
人々の不安を取り除くという名目で生まれた彼らは、大抵が金目的なのだ。
そんな残酷な世界の中で、自然に愛された青年は何を願うのか?