あの子なら大丈夫
ひなたは、いつも笑っている優しい女の子だった。
誰かが困っていれば助け、落ち込んでいる人がいれば寄り添う。
周りからは「ひなたなら大丈夫」と言われる、そんな子だった。
いとこのなつきも、ひなたのことを誰より知っていると思っていた。
好きなものも、嫌いなものも、笑うところも。
ずっと一緒にいたから、ひなたのことなら何でも分かると思っていた。
ある日、ひなたは何気なく言う。
「もし私が死んだら、泣いてくれる?」
なつきは笑って返した。
「なに縁起でもないこと言ってんだよ」
その言葉の本当の意味に気づくのは、もう少し後だった。
ひなたがいなくなった時、なつきは初めて知る。
自分が見ていたのは、本当のひなたではなかったことを。
明るいひなた。
優しいひなた。
大丈夫なひなた。
でも、本当のひなたは――。
これは、「大丈夫」という言葉の奥に隠れていた、一人の少女の物語。