翌日
目が覚めると朝ごはんのいい匂いがした
隣にはたっくんがいて
拓郎
優しく頭を撫でてくれる
もう怖い夢を見ることもなくなっていて
嬉しくてたっくんにしがみつくと
拓郎
たっくんは恥ずかしそうに笑った
郁美
いっちゃんの声がして
でもまだ一人で行けなくて
たっくんに抱っこされてキッチンへ
食卓にはトーストとベーコンエッグと
暖かいコーンスープが並べられていて
郁美
いっちゃんが塗ってくれたバターの香りが
辺り一面に広がっていく
私のために用意された子供用の椅子
私のために用意された子供用の食器
ファミリーレストランに出てくるような
お子さまランチのコアラのお皿
お皿の端っこには手作りのプリン
郁美
幸せなひととき
こんな朝を迎えたのは初めてで
時間がかかっても注意されないし
足りなくてしょんぼりすることもない
美味しい美味しいいっちゃんの朝御飯を
心ゆくまで堪能して
郁美
拓郎
たっくんは慌ただしく着替え始めた
拓郎
郁美
いっちゃんは軽く食器を片付けると
大急ぎでたっくんの元へ
バタバタと準備をする二人
残された私は
徐々に不安な気持ちが増していき
美結
郁美
拓郎
涙が止まらなくなってしまった
美結
美結
慌てて戻ってきてくれたいっちゃんにしがみついて
私はなかなか離れることができなかった
郁美
郁美
拓郎
たっくんは泣いている私の頭を撫でながら
拓郎
拓郎
拓郎
そそくさと部屋を出ていった
郁美
郁美
ほんの少し離れただけだった
でもそのほんの少しの時間でさえ
一人になると不安で泣いてしまう
今にして思えば
いっちゃんにはかなり迷惑をかけたと思うけれど
当時の私はそんなことを考える余裕もなく
亮二
美結
美結
亮二
美結
美結
亮二
美結
まだ幼かったあの頃の私には
今の自分なんて想像もつかなくて
こんなにも幸せな日々を過ごすことになるなんて
思いもしていなかった
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